相続経験者からのアドバイス│生前にしておけばよかった3つのこと
「いい相続」(鎌倉新書)では相続手続きの実態を把握するため、実際に相続手続きを経験された方へ調査を実施しています。
「第2回 相続手続きに関する実態調査(2024年)」の調査結果を発表しました。
この記事では、調査発表には書かれていない貴重なご意見をご紹介します。
これから相続手続きをする方、相続対策を考えている方は是非参考にしてください。
なお、調査結果については「第2回】相続手続きに関する実態調査(2024年)─相続手続きに関わる方の7割が相続登記の義務化について認知─」をご覧ください。
1.会話・コミュニケーションをしておけばよかった!
相続実態調査のフリーコメントには「生前元気なうちに、相続について絶対に相談しておくべきです。」といったアドバイスが多数よせられました。それらの内容ごとにまとめてご紹介していきます。
相続を前向きにとらえる
死にまつわることはなかなか話し辛いものです。それがご本人に関することならなおさらでしょう。
以下に書かれているのはアンケートに寄せられた相続の先輩たちの貴重な体験談ですので、普段のなにげない会話の中で「相続の調査でこんな意見があったらしいよ」と話題にあげてみてはいかがでしょうか。
「相続ということはなかなか人の死に関与することなので話題にしにくいが、もしものときに困ることがないように決めておこうということを、悪いことや暗い悲しいこととして捉えるのではなくて、前向きな話題として、話し合っておいてほしい。」
「まだまだ相続なんて先だと思っていたが、ある日突然ということもある。 自分の時は、だれが相続人になるかを考えて元気なときに伝えておきたい。 いざという時のために日頃から、そんな話ができる関係を作りたい。」
「財産目録を作ってあると、比較的楽に進めることができると思う。常日頃からざっくばらんに相続の話ができる環境を作ること大切。自分が亡くなったら残った家内や子供たちにどうして欲しいのか財産処分を含めて書き残してもらう。これは自分の息子に言われていることです。」
相続準備も生活の一部と感じていらっしゃるようなご意見でした。深刻にならず、あくまで自然な話題として受け入れられるとよいですね。
相続する側の負担の解消
「本人が元気な内に、それとなく相続の話題もしていた方が、残された相続人が助かる。」
「相続人の間で揉めることが必ずあります。相続が発生する前から、相続人同志でも話し合いや意思の疎通を計っておくことが必要です。個人の意思もさりげなく確認しておくのも大切だと思います。」
「相続人同士で相続について揉めないと思っていてもやはり揉める可能性が高いもの。後回しにせず、被相続人が生きているうちにできるだけ具体的な相続について協議しておくことで、いざ相続するときには、心理的負担も軽減され、スムーズに相続手続きがすすめられるようになると思います。」
これらのご意見を下さった方々は、相続手続きをしているうちに、何か困ったことがあったのでしょうか。だからこそ、これから手続きをおこなう人が自分とは同じことにならないようにとの金言として受け止めたいですね。
後悔しないように
「親とは元気なうちに少しでも話し合っておくことで、後悔の念が軽減されると思います。」
「うちの場合、相続人同士で揉めることはありませんでしたが、果たして故人の希望通りだったかは認知症かつ遺言書等がなかったため、わかりません。どうしたいのか話し合える機会を作ることは大事だと思います。」
「相続税対策は、前もってしておくべきだとおもった。なかなか、父から具体的な話しがなかったから、こちらから聞いたけど、もっと色々話しておくべきでした。」
「私の場合は膨大な残された本をどう処理したかったのか、生前決めておかなかっことを悔いています。なんでも話し合っておいた方がいいと思います。」
みなさんが故人を思いやるからこその優しさを感じるご意見でした。あと一歩、深いコミュニケーションを取っておけば・・・という後悔が伝わってきます。
2.相続の準備をしておけばよかった!
相続の準備に関してもさまざまなアドバイスがありました。
遺言書
「まずは遺言書を書いてもらっておくこと。 何を毎年申請してるかとか 生命保険、証券などがあるか 複雑な家庭環境なら半血の兄弟がおるのか とか」
「認知症の症状が出る前に遺言書を作ってもらうべき。それを怠ったため、故人と一度も会ったこともない相続人が登場してきて、もはやカオス。」
「相続人が複雑になればなるほど、生前準備が必要。特に遺言書は不可欠」
「遺言書があれば、早く手続きが開始出来る。」
遺言書というと、なんだかお金持ちが書き記しておくもの、というようなイメージがありませんか?。実は遺言書には相続手続きを早く進められる効果もあるのです。
財産目録・エンディングノート
「最前に財産の目録を作成しておくと、突然死の場合には特に有効。不動産がある場合で相続時に売買する時は、土地や建物についての売買契約書や修繕などの契約書、登記に関する書類の確保。近隣とのトラブルの有無と解決済みかどうかなど事前に調査しておく。また、相続税と売却益税は別ものなので、不動産売却益税の手続きは節税の観点から税理士に依頼した方が良い。売却益を分割相続する場合は換価後分割という手法を取れば税金を二重取りされずに済むので良さそう。」
「財産目録があると相続がスムーズに進められます」
「エンディングノートはとても大切で手続きに役立ちます。」
「少なくとも故人の財産については生前元気なうちにメモ書きでいいから残しておいてもらったほうがいいです。 私自身、親の財産を確認することはタブーに思われていて気が進まず何となく聞けずにいるうちに亡くなってしまったのですが、遠慮せずハッキリさせておくことが先立つ者の責任かなと思います。」
相続財産は貯金や不動産が主なものですが、それらの書類がどこにしまわれているかご存じでしょうか?
防犯意識の高い方だと、以外な場所に隠していることもあります。相続手続きの前に時間をかけて家探しをするというのも珍しいことではありません。
相続の勉強
「早めに相続の準備や勉強をしておくことをオススメします。 また、親戚一同の所在確認や健康状態などを把握しておくとスムーズになるかもですね。」
「矢張り事前の知識はある程度持っていたほうが、慌てなくて済みます。それにネット上このようなサイトで専門家に簡単に相談できる事はありがたいことで大いに利用してもらえたらと思います。」
「突然の相続手続きで困らないように、ある程度の知識は必要。」
相続は人生で何度も経験することがないのに、法律で決められていることがたくさんあります。
3.財産の整理をしておけばよかった!
相続手続きなんて役所に行けば全部教えてくれるでしょ?と思っている方も多いのですが、残念ながら、手続きは一つ一つを管轄している場所や会社を訪ねることになります。さらに昨今は個人情報の保護で手続きをする人の身分の証明は必須。故人との関係性を証明するために集めなくてはいけない書類もあるのです。
現金・預金
「休眠口座は解約しておく。取引銀行は減らしておく。クレカは解約し、現金生活をする。依頼する専門家に払う報酬は、細かい所まで打ち合わせしておく。」
「通帳等はまとめて置いてもらうこと。生命保険の証書類も。」
「生前に大切な書類や通帳などは分かるところに置いていた方が良いです。 慌てて探す時間をなくせるからです。」
不動産
「被相続人が存命の間に相続人、物件などを明らかにしておいたほうが良い。」
「生前から代々所有している土地、財産、借金も含め、地図付きや細かく明記した物を残して貰っておいた方が良い」
「土地 家屋は処分しておくべき」
その他
「生前に借金を含めての財産の把握をキチンとしておいたほうが良い事と、ドナー登録の有無を周囲に知らせておいてほしかった。」
「被相続人の財産をなるべく使って相続の範囲内に減らすことをお勧めします。」
まとめ
以上、相続実態調査に寄せられたコメントの一部をご紹介しました。
実際に経験していないとピンとこないこともたくさんあるでしょう。
ただ、この記事のみなさん声に共通しているのは、生前に話しておけばよかった、生前に準備しておけばよかった、という少しの後悔です。話して下さった経験者の方々のその思いを感じ取っていただけたらと思います。
次回は、「相続経験者からのアドバイス│手続きを自分でやりたい人、専門家に頼みたい人へ」をご紹介します。
いい相続では相続に強い専門家をご紹介していますので、相続手続きでの不安や疑問があれば遠慮なくご相談ください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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