相続税の基礎知識|相続税の対象になる財産と計算方法、控除額、申告と納税の仕方【税理士監修】
相続に関する法律や制度の改正により、一部のお金持ちだけでなく一般の人にも身近になった相続税。かつての相続税は相続件数の約4%のみが課税対象で、一部の富裕層のみに関係する税金でした。
しかし、平成27年の税制改正では基礎控除額が大幅に引き下げられ、課税対象者が約2倍に拡大しました。現在では首都圏を中心とする不動産価格の上昇も相まって、対象者はさらに増加傾向にあります。
「自分には関係ないから」「難しそうだから」と避けていたら、相続税で大変な思いをする可能性もあります。
この記事では、法定相続人や基礎控除などの基礎知識から、相続財産の評価方法や必要書類などの申告に必要な情報、さらに相続税対策までまとめて解説します。
この記事の監修者
大手監査法人での上場企業の監査への従事や、相続専門大手税理士法人での相続税申告業務を経て、2019年に税理士法人ブライト相続を設立。これまでに対応した相続税申告の案件は約300件に上る。相続税申告、相続対策、家族信託・遺言作成コンサルティングなどの資産税業務を中心に活躍中。
▶ 税理士法人ブライト相続
目次
相続税の基礎知識
平成30年に亡くなった1,362,470人のうち、相続税の対象となったのは116,341人でした。相続の12件に1件で相続税が発生したことになります。ここでは、相続税の基本的な知識から説明していきます。
法定相続人とは
民法で定められた財産を相続する権利のある人(相続人)を法定相続人といいます。
法定相続人と優先順位
法定相続人には順位があり、亡くなった人(被相続人)の配偶者は常に相続人になります。同時に、第1順位の「直系卑属」である子どもが相続人となり、子どもが死亡している場合は孫が相続人となります。養子については実子と同様、第1順位の相続人となります。
子どもがいない場合は、第2順位の「直系尊属」である父母が相続人になり、父母が死亡している場合には祖父母が相続人となります。
さらに直系尊属が誰もいない場合には、第3順位の「傍系血族」である兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が死亡している場合はその子どもにあたる甥や姪が相続人となります。
このように、配偶者以外は優先順位の高い相続人のみが相続人となり、違う順位の相続人が同時に相続人となることはありません。
相続税とは
被相続人の財産を、相続人などが引き継ぐ際にかかる税金が相続税です。
遺言によって遺産を受け継いだ場合(遺贈)や、亡くなったら贈与する契約をしていた場合(死因贈与)にもかかります。
相続税の基礎控除
基礎控除とは、相続財産から差し引くことのできる金額です。遺産が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかからず申告も不要です。
基礎控除の額は、次の計算式で求められます。
相続税の基礎控除額
この金額は法定相続人の続柄を問いませんので、法定相続人が1人増えるごとに基礎控除も600万円増えることになります。
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の場合は、
相続税の基礎控除額(法定相続人が配偶者と子ども2人の場合)
となります。
なお、遺言書により法定相続人以外の人が遺贈を受ける場合でも、法定相続人の数は変わらないため、基礎控除が増えることはありません。
相続税の控除・特例
相続税には、基礎控除以外にも次のような控除や特例があります。
配偶者の軽減税率 | 配偶者が取得する財産が法定相続分以内または1億6,000万円であれば非課税 |
---|---|
小規模宅地等の評価減の特例 | 被相続人の配偶者や同居家族等が自宅を相続する場合、土地の評価額が最大80%減 |
未成年者控除 | 10万円 ×(20歳※-相続人の年齢) |
障害者控除 | 一般障害者:10万円 ×(85歳-相続人の年齢) 特別障害者:20万円 ×(85歳-相続人の年齢) |
相次相続控除 | 10年以内に続けて相続があったとき、2回目の相続で1回目の相続税の一部を引くことができる |
贈与税額控除 | 相続開始3年以内に贈与を受けた場合は相続財産に加算されるため、支払った贈与税は控除される |
*民法の成人年齢引き下げにより、2022年4月1日以降は18歳
相続税の対象となる財産
相続税の対象となるのは、預金や不動産などのいわゆる財産だけでなく、被相続人が亡くなることで受け取る保険金や、負債なども含まれます。
プラスの財産
一般的に思い浮かべる「遺産」とは、現金や不動産など目に見える財産がありますが、相続税は、基本的には「お金で売買できるもの」にかかるため、お金で売買できる「権利」もプラスの財産となります。
プラスの財産にはこのようなものが該当します。
プラスの財産に含まれるもの
- 現金や預金などの現物財産
- 土地や建物等の不動産や賃借権などの不動産上の権利
- 株式、投資信託等の有価証券
- 自動車、貴金属、骨董品、家財道具などの動産
- 著作権や特許権などの知的財産権
- 生命保険契約に関する権利
- 火災保険等の解約返戻金請求権
保険事故が発生していない生命保険の権利
妻に生命保険を掛けていた夫が亡くなり、妻がこの保険の契約を引き継ぐ場合などは、その生命保険の権利について相続税の対象となります。
契約者が誰なのかで取り扱いが変わり、被相続人が保険契約者・保険料負担者・保険金受取人で、相続人が被保険者の場合にプラスの相続財産となります。 一方、被保険者・保険契約者が妻で保険料負担者・保険料受取人が夫だった場合は、次の項目の「みなし相続財産」となります。 いずれも相続開始日における解約返戻金が評価額となるため、解約返戻金のない掛け捨ての保険は対象外となります。 生命保険契約に関する権利関係の詳細は、国税庁のこちらのページからご確認くださいマイナスの財産
マイナスの財産に含まれるもの
- 債務など
- 借金、ローンなどの負債
- 損害賠償責務
- 未納の税金など、公租公課
- 未払い代金などの買掛金
被相続人の債務のうち、相続開始後に支払うことが確定しているものは、債務控除の対象になります。具体的には下記のようなものが挙げられます。
債務控除の対象になるもの
- 所得税、住民税、固定資産税などの公租公課
- 病院に対する未払医療費
- 金融機関からの借入金
- 水光熱費、電話代などの公共料金等の未払金(被相続人が使用していた期間に限る)
債務控除の対象にならないもの
一方、被相続人の債務であっても次のようなものは債務控除の対象になりません。
- 団体信用生命保険付きの住宅ローン
- 墓地や仏壇など相続税非課税財産の未払金
団体信用生命保険が付いた住宅ローンを借りた人が亡くなると、団体信用生命保険から住宅ローンが返済されるため、債務控除の対象にはなりません。
また、相続開始後に発生する相続財産の名義変更費用や相続税申告にかかる税理士費用についても、債務控除の対象になりません。
みなし相続財産
生命保険金や死亡退職金など、被相続人の死亡に伴い受け取る財産をみなし相続財産といいます。死亡保険金などは故人の財産ではなく受取人の財産になるため、遺産分割の対象にはなりません。しかし、税金の計算上は相続財産とみなし、一定の条件を満たす場合は相続税の対象となります。
みなし相続財産
- 生命保険金
- 死亡退職金
生命保険金
被相続人自身が契約していた生命保険の保険金は、みなし相続財産に該当します。ただし、非課税限度額があるため、一定額までは相続税はかかりません。
例えば、父親が亡くなり、母親と2人の子どもが法定相続人となった場合は、1,500万円までは非課税です。
生命保険金は相続税以外の対象になる場合も
被相続人と契約者の関係により対象となる税金が変わります。被相続人=契約者のときは相続税の対象となりますが、異なる場合は所得税や贈与税の対象となります。
死亡保険金の課税関係
税の種類 | 被保険者 | 保険料の負担者 | 死亡保険金の受取人 |
---|---|---|---|
所得税 契約者=保険金受取人 |
父親 | 子供 | 子供 |
相続税 被保険者=契約者 |
父親 | 父親 | 子供 |
贈与税 被保険者≠契約者≠保険金受取人 |
父親 | 母親 | 子供 |
死亡退職金
死亡退職金とは、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与です。被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは相続税の課税対象となります。
死亡退職金も、生命保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」までは非課税となります。
相続税の課税対象となる贈与財産
相続開始から3年以内に贈与された財産
駆け込み的な生前贈与によって被相続人の財産が減少し、相続税の課税を回避されるのを防ぐため、相続開始から3年以内に贈与された財産については、相続税の課税価格に加算されます。例えば、父親が亡くなる2年前に子どもに100万円の現金を贈与していた場合、この100万円も相続税の課税価格に加算されます。
また、3年以内の贈与で贈与税を支払っていた場合は、相続税から引くことができます。
ただし、この制度は相続または遺贈により財産を取得した者にのみ適用されるため、相続人になっていない孫などに贈与された財産は相続税の対象にはなりません。
相続時精算課税制度を利用して贈与された財産
相続時精算課税を利用すると、2,500万円までの贈与なら贈与税が発生しませんが、相続発生時には、相続財産に生前贈与分の財産を加算した金額に対して相続税がかかります。
基本的に相続財産は相続開始時点の時価で評価を行いますが、相続時精算課税制度で贈与を受けた財産は、贈与時の価格が評価額となります。例えば、贈与された時点では評価額が2,000万円の不動産が相続時に1,000円に下がっていたとしても、相続財産には2,000万円を加算します。
債務控除される費用
相続開始後に相続人が負担した費用の一部は、相続税の相続税の課税対象から差し引くことが可能です。これを債務控除といいます。
葬式費用
葬式費用は遺族が支払うもので被相続人の債務ではありませんが、債務控除の対象となります。
どのようなものが葬儀費用に当てはまるについて、国税庁で次のようなルールが定められています。
相続財産から控除できる葬式費用
- 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
- 遺体や遺骨の回送にかかった費用
- 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
- 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
- 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
葬儀を行うにあたり、お手伝いいただいた方への心付けは、社会通念上相当と認められる額のみが葬式費用に入れることができます。また、心付けやお布施など領収書が出ないものは、支払った日と金額、支払先をメモしておくことで費用に入れることが可能です。
なお、次のようなものは葬式費用に含めることはできません。
相続財産から控除できない葬式費用
- 香典返しのためにかかった費用
- 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
- 初七日や法事などのためにかかった費用
法会に要する費用とは、初七日や四十九日などの法要にかかった費用です。繰り上げ初七日等を葬儀と同時に行い費用が区別されない場合は、葬式費用に含めることができます。
相続税の対象にならない財産
墓地・仏壇・仏具などの祭祀財産
墓地や墓石・仏壇・仏具・神棚など、日常礼拝をしているようなものについては相続税の対象にはなりません。ただし、骨董的価値のある仏像や純金のおりんなどといった投資の対象となるものや、礼拝目的ではなく商品として所有しているものは相続税がかかります。
寄付財産
相続や遺贈によって取得した財産のうち、相続税の申告期限までに寄付を行ったものは相続税の対象になりません。寄付を行う先は、国、地方公共団体(市区町村等)、公益を目的とする事業を行う法定の法人(ユニセフや日本赤十字等)が対象となります。
公益事業用財産
公益事業を行っている個人が相続または遺贈によって取得した財産のうち、その公益を目的とする事業に使用すること確実なものは、相続税が非課税となります。
公益事業とは、社会福祉法や更生保護事業法に掲げられている事業、学校教育法において規定されている教育事業、育英事業、科学技術の普及、研究などを推進する事業、図書館や博物館などの事業、宗教の普及などの事業等の公益性の高い事業を指します。
公益事業の詳細は、国税庁のこちらのページから確認することができます。
相続財産の評価方法
相続財産は、基本的に相続発生時の価格で評価を行います。現金や預金のように価格が分かりやすいものもありますが、不動産のように素人では評価が難しいものもあります。
代表的な相続財産について、評価方法をご説明します。
現金・預金
普通預金は亡くなった日(相続開始日)の残高がそのまま評価額になりますが、定期預金については残高に加えて相続開始日に解約した場合に受け取ることのできる利子(既経過利子)も加算されます。評価手続きとしては、預金のある金融機関に相続開始日現在の残高証明を発行してもらいます。定期預金については利息計算書も必要となります。
また、いわゆる「タンス預金」のような現金も相続税の対象となりますので、実際の金額を課税対象に入れる必要があります。課税対象に含めずに申告した場合も、生前の収入や預金を引き出した記録などから税務署に発見されることは多いようです。
土地
土地の評価方法は路線価方式と倍率方式があります。どちらかを選ぶのではなく、相続する宅地と接している道路に路線価が設定されていれば路線価方式、路線価格が定められていない地域であれば倍率方式で評価します。
路線価方式は「路線価×各種補正率×宅地面積」で計算します。補正率には、奥行きが長い場合の「奥行き長大補正率」間口が狭い場合の「間口狭小補正率」などがあります。また、複数の道路に面している場合は「路線価×奥行価格補正率」が最も高くなる路線価を基準として計算します。
路線価は主に市街地に設定されているため、市街地の宅地についてはおおむね路線価方式となります。
倍率方式は「固定資産税評価額×評価倍率」で計算します。固定資産税評価額は市町村役場にある固定資産課税台帳で、評価倍率は評価倍率表から知ることができます。
路線価図や評価倍率表、各種補正率は国税庁のこちらのページから確認可能です。
小規模宅地等の評価減
被相続人が住居用や事業用として使っていた土地は、一定の基準を満たせば小規模宅地等の評価減の特例を適用することができます。
なかでも高い評価減を受けられるのは、被相続人が居住用に使用していた宅地で、次のいずれかの要件を満たせば、330㎡まで80%の割引となります。
小規模宅地等の評価減の特例
- 被相続人の配偶者が取得する
- 被相続人と同居していた親族が取得し、申告期限まで引き続き居住用に使用する
- 被相続人に配偶者も同居していた親族もいない場合、持ち家のない一定の別居親族が取得し、申告期限まで引き続き所有する
これにより、自宅の土地を配偶者が相続するケースでは、ほとんどの場合評価額は80%減となります。
建物
被相続人の住宅や貸付事業以外の事業用の建物は、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になります。固定資産税評価額は、都の税事務所や市町村役場の固定資産税課で確認することができます。
マンションについては建物部分と土地部分で別々に評価するため、「建物部分の固定資産税評価額+マンションの敷地全体の評価額×持ち分割合」で計算します。
株式・投資信託等の有価証券
相続財産には、株式や投資信託などの有価証券が含まれていることも多くあります。有価証券はその種類によって評価の方法が異なるため、代表的なものについてご説明します。
上場株式
ほとんどの財産は、相続発生時の価格が評価額となりますが、値動きの激しい株式を相続発生日の終値で決めてしまうと相続人が値動きによる不利益を被る可能性があります。このため、上場株式には4通りの評価額があり、このうちの最も低い金額で評価します。
- 相続発生日の終値
- 相続が発生した月の終値の平均額
- 相続が発生した月の前月の終値の平均額
- 相続が発生した月の前々月の終値の平均額
証券会社に残高証明書を依頼する際に、株式数だけでなく時価、利率、相続税評価額等を記載してもらえば、評価はさほど難しくありません。
非上場株式
取引相場のない株式については、3種類の方法を用いて評価を行います。
純資産価額方式 | 純資産価額を発行済み株式で割って計算 |
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類似業種比準方式 | 業種が類似する上場会社の株価と、1株当たりの配当・利益・純資産を元にして計算 |
配当還元方式 | 配当金から逆算して株価を求める |
オーナー社長自身が所有する株式については、大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種比準方式と純資産価格方式の併用、小会社は純資産価格方式で評価を行います。
一方、会社の支配権をほとんど持っていない株主(小数株主)については、配当還元方式で評価を行います。配当還元方式で算出した価格が他の方式による価格より高い場合は、オーナー社長と同じ評価方法を選ぶこともできます。
非上場株式の評価は素人には難しいため、税理士に相談するのが良いでしょう。
投資信託
投資信託は、相続開始日において解約または買取請求した場合に、支払われる価額により評価します。残高証明書は「解約価額」ではなくその日の時価である「基準価額」により発行されるため、残高証明書の価格そのものが評価額にはなりません。
投資信託の種類により、次のような計算を行います。
中期国債ファンドやMMFなど日々決済型 | 1口当たりの基準価格×口数+未収分配金-源泉税相当額-解約手数料等 |
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そのほか一般的な投資信託 | 1口当たりの基準価格×口数-源泉税相当額-解約手数料等 |
ETF、REITなど上場している投資信託 | 上場株式に準じる |
金融商品に詳しくない方には難しく感じられると思いますので、税理士や証券会社に相談するのが良いかもしれません。
公社債
公社債とは国債や地方債、社債などの総称で、商品によって評価の方法が異なります。
個人向け国債 | 額面価格+経過利子相当額-途中換金調整額 |
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上場利付公社債 | (相続開始日の終値+既経過利息-源泉税相当額)×券面額÷100 |
上場割引債 | 相続開始日の終値×券面額÷100 |
上記以外にも評価方法が異なるものが多くあります。このため、評価にあたっては、税理士への相談をおすすめします。
そのほかの財産
そのほか、相続されることの多い財産について評価方法をご紹介します。
外貨建て財産 | 取引金融機関が公表する、相続開始日の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場を元に日本円に換算した価格 |
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ゴルフ会員権 | 取引相場のある会員権: 相続開始日の取引価格×70%(預託金がある場合はその評価額をこれにプラスする) 取引相場のない会員権: ・株主でなければならない会員権 → 株式としての評価額 ・預託金等を預託しなけらばならない会員権 → 預託金の評価額 ・株主かつ預託金がある会員権 → 株式としての評価額+預託金 |
自動車 | 同車種の中古買取り業者の販売価格やオークションサイトでの落札価格、中古車買取り業者の見積もり額など、相続開始日に売った場合の価格で評価 |
書画骨董 | 買い取り業者の査定価格や美術商に依頼して得られた鑑定額 |
そのほかの家庭用財産 |
売買実例価額、精通者意見価格、また、これらが不明な場合には次の算式で評価 相続開始日の新品の小売価額-償却費の額 |
家庭用財産については家具や家電・衣類・食器などが対象になりますが、1つずつ評価を行い明細にすると大変なため、1組5万円以下のものについては「家財一式」としてまとめて評価可能です。一般的な家庭における家財一式は、10万~30万円で計上されることが多いです。
相続税の計算方法
相続税は分割方法で税額が変わってしまうため、単純に各相続人のが取得した財産額に税率を掛けただけでは計算できません。まず、法定相続分通りに相続をした場合の相続税の総額を求め、その後に各相続人の相続財産に応じてそれぞれの相続税額を決定します。
相続税計算の流れは、次のようになります。
①遺産総額の計算
遺産の総額(課税価格)は、財産を取得した各相続人がそれぞれ取得した財産の評価額です。課税価格は次の手順で計算します。
- 相続した財産の評価額を計算する
- みなし相続財産の金額から非課税金額を引いたものを加える
- 相続時精算課税制度を利用した贈与財産の評価額を加える
- 葬式費用や債務を引く
- 相続開始前3年以内に贈与された財産の評価額を加える
②基礎控除の計算
次に基礎控除額を計算します。基礎控除額は次の計算式で求めます。
③相続税の総額を計算
相続税の総額は、課税価格の合計から基礎控除額を引いた額を法定相続分の通りに分割したと仮定して計算します。
相続税の総額は次の手順で計算します。
- 課税価格の合計額から基礎控除額を引き、課税遺産総額を出す
- 課税遺産総額に各法定相続人の法定相続分を掛け、各法定相続人の仮取得金額を出す
- 各法定相続人の仮取得金額に税率を掛け、各法定相続人の仮相続税額を求める
- 各法定相続人の仮相続税額を合計し、相続税の総額を出す
相続税は、貧富の格差を緩和するための「富の再分配」を行うため、所得税と同様に課税対象が増えれば税額も増える累進課税となっています。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | – |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
④相続税の総額を取得割合で分ける
各相続人の税額は、相続税の総額にそれぞれが取得した財産割合をかけて算出します。
例えば、相続財産の半分取得した場合、「相続税の総額×1/2」で計算できます。
⑤相続人ごとの税額を計算
被相続人との関係や個々の事情により、各相続人の最終的な税額は変わります。どのような場合に変わるのか見ていきましょう。
- 相続税額の加算
被相続人との血縁関係が近い人と遠い人(もしくは血縁関係のない人)の相続税が同等なのは不自然なため、被相続人の配偶者と1親等の血族以外は、相続税が2割加算となります。子どもがすでに亡くなっていて孫が代襲相続する場合は対象外になりますが、養子となった直系卑属(孫養子など)は2割加算の対象になります。
- 配偶者の税額軽減
配偶者は、被相続人の財産形成に貢献していることや、亡くなった後再度相続が発生することから、1億6,000万円か法定相続分のどちらか多い金額までの取得財産については、相続税がかからないという制度です。
そのほかにも、次のような税額控除があります。
相続税の税額控除
適用対象となる相続人 | 控除できる金額 | |
---|---|---|
贈与税額控除 | 過去3年以内に贈与税を払った相続人 | 相続人が過去3年以内に支払った贈与税の金額 |
未成年者の税額控除 | 未成年者の相続人 | 10万円 × その未成年者が満20歳※1になるまでの年数*2 |
障害者の税額控除 | 障害のある相続人 | (一般障害者)10万円×その障害者が満85歳になるまでの年数*2 (特別障害者)20万円×その障害者が満85歳になるまでの年数*2額 |
相次相続控除 | 過去10年以内に相続税を払った相続人 | 最初の相続でかかった相続税の一部 |
外国税額控除 | 外国にある相続財産を相続し、外国で相続税に相当する税金を支払った相続人 | 外国で支払った相続税に相当する税金の額と相続税額のうち海外の財産にかかる分のどちらか少ない額 |
相続時精算課税制度を選択したときの贈与税控除 | 相続時精算課税制度の特別控除を越えて贈与された相続人 | 相続時精算課税制度を利用した際に支払った贈与税 |
*1 未成年者の税額控除の年齢は、民法改正により2022年4月1日からは18歳となります。
*2 未成年者の税額控除及び障害者の税額控除の年数は、1年未満の期間は切り上げます。
相続税額計算シミュレーション
次のようなケースで相続税がいくらかかるか、上で説明した①から⑤に沿って実際に計算してみましょう。
相続人:妻・長男・長女の3名
生前贈与は行われておらず、配偶者の軽減税率以外に対象となる税額控除はない。
各相続人の取得した財産
妻:不動産4,000万円(特定居住用宅地等の評価減適用後)、現金3,000万円、生命保険金3,000万円、葬祭費用等マイナス500万円
長男:現金1,000万円、株式等3,000万円
長女:現金4,000万円
①遺産総額の計算
妻:4,000万円(不動産)+3,000万円(現金)1,500万円(非課税限度額を引いた生命保険金)-500万円(葬祭費等)=8,000万円
長男:1,000万円+3,000万円=4,000万円
長女:4,000万円
合計:1億6,000万円
②基礎控除の計算
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
③相続税の総額を計算
1.課税価格の合計額から基礎控除額を引き、課税遺産総額を出す
1億6,000万円(遺産総額)-4,800万円(基礎控除)=1億1,200万円
2.課税遺産総額に各法定相続人の法定相続分を掛け、各法定相続人の仮取得金額を出す
妻:1億1,200万円×1/2=5,600万円
長男:1億1,200万円×1/4=2,800万円
長女:1億1,200万円×1/4=2,800万円
3.各法定相続人の仮取得金額に税率を掛け、各法定相続人の仮相続税額を求める
妻:5,600万円×30%-700万円=980万円
長男:2,800万円×15%-50万円=370万円
長女:2,800万円×15%-50万円=370万円
4.各法定相続人の仮相続税額を合計し、相続税の総額を出す
980万円(妻)+370万円(長男)+370万円(長女)=1,720万円
④相続税の総額を取得割合で分ける
妻:1,720万円×50%=860万円
長男:1,720万円×25%=430万円
長女:1,720万円×25%=430万円
⑤相続人ごとの税額を計算
妻の納付税額=860万円-860万円(配偶者の税額軽減)=0円
長男の納付税額=430万円
長女の納付税額=430万円
相続税の申告と納付方法
相続税の申告は、課税価格が基礎控除を下回る場合以外は必要となります。
このため、配偶者の軽減軽減によって相続税がかからない場合にも申告は必要です。また、小規模宅地等の評価減の特例により課税価格が基礎控除を下回る場合にも申告は必要です。
ここからは、実際に申告や納付を行う際に知っておきたい内容をご説明します。
申告書類の提出方法
相続税の申告書類は、被相続人が死亡したときの住所地を所轄する税務署に提出します。相続人が遠方に住んでいたり、税務署の業務時間内に窓口に行けないときなどは、郵送での提出も可能です。
相続税の申告期限
相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日(相続開始日、通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヵ月以内に行わなくてはいけません。
お葬式や、法要などがあるなかで、次のような手続きが必要となってきますので。10か月は意外と短く感じられるものです。しかし、申告期限を過ぎてしまうと延滞税が発生するため、相続税の申告準備は早めに進めておく必要があります。
相続税申告に必要な書類
相続税申告の際に必要となる書類は、大きく分けて3種類です。
身分証明に関する書類
被相続人と相続人の身分や関係が分かる書類が必要になります。具体的には次のような書類です(被相続人または相続人の状況によって他の書類が必要となるケースもあります)。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 相続人全員のマイナンバー確認書類
法定相続情報一覧図がある場合は、被相続人及び相続人の戸籍謄本に代えることができます。
相続財産に関する書類
相続財産の内容や価格がわかる書類をそれぞれ用意します。例えば相続財産に不動産がある場合は、次のような書類が必要です。
- 登記簿謄本(全部事項証明書)
- 固定資産税評価証明書
- 固定資産課税台帳(名寄帳)
- 地積測量図の写しや住宅地図等
その他の財産についてどのような書類が必要となるかは、国税庁のこちらのページで確認することができます。
遺産分割に関する書類
遺言書により分割を行った場合は遺言書(公正証書遺言以外は検認を受けていること)、遺産分割協議を行った場合は遺産分割協議書及び各人の印鑑証明が必要です。
法定相続人が1人の場合は、これらの書類は不要です。
相続税申告書
相続税の申告書には第1表から15表まであり、このうち基本となるのはこちらの4種類です。
- 第1表 課税価格、相続税額について
- 第2表 相続税の総額について
- 第11表 相続税がかかる財産の明細書
- 第13表 債務葬式費用などについて
上記以外には、財産の種類や適用となる税額控除などに応じた計算書や明細書があり、国税庁のこちらのページから確認できます。
相続税納付の期限と納付の方法
相続税の納付期限は、申告と同様相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となっています。納付方法は4種類あるため、自分に合った方法を選んで支払うことができます。
税務署に現金を持参
相続税申告書を直接税務署に提出する場合などに、税務署の窓口に直接現金を持参して支払います。申告と同時に支払えるため、期限間際に申告を行う際も、納付が遅れる心配がありません。
金融機関の窓口で納付
納付書を記入し、金融窓口で納付します。銀行や郵便局・信用金庫などほぼすべての金融機関で対応していますが、ATMやオンライン振込には対応していません。
コンビニエンスストアで納付
30万円以内の納付は税務署で発行したバーコード付納付書または、 国税庁のホームページ上で作成したQRコードを用いてコンビニエンスストアで行うことができます。
クレジットカード納付
平成29年1月4日以降、クレジットカードによる納付も行えるようになりました。ただし、決済手数料が発生する、領収書が発行されないなどの注意点があります。また、1回で支払える上限が1,000万円未満となるため、これを超える場合は複数回に分けて納付を行う必要があります。
相続税を支払えない場合の対処方法
相続税の納付は現金一括払いが基本ですが、相続した財産が現金化しにくいなど一括で納めることが難しい場合には、「延納」や「物納」が認められることがあります。
相続税の延納
延納は、相続税を分割して支払う方法です。延納期間、相続財産に占める不動産の割合等に基づき、最高20年まで認められます。なお、延納期間中は利息に相当する利子税がかかります。
延納は次の条件を満たしたときにのみ認められます。
延納の条件
- 納めるべき相続税額が10万円を越える
- 期限内に金銭で納めることが困難な理由がある
- 不動産や有価証券などを担保として提供できる
(延納税額100万円以下で延納期間が3年以内の場合、担保は不要) - 期限内までに延納申請書およびその他関係書類を提出する
物納
延納による分割払いでも現金で納付できない場合に限り物納が認められます。物納は次の条件を満たしたときにのみ認められます。
物納の条件
- 延納しても金銭で納付することが困難な理由がある
- 物納できる(要件を満たした)相続財産がある
- 期限内までに物納申請書およびその他関係書類を提出する
ただし、物納できる財産は、種類ごとに優先順位がある他、物納できない財産についても決められています。物納できない財産の条件は国税庁のこちらのページで確認できます。
相続税の連帯納付義務
相続税の申告は相続人全員で行いますが、納付については各人が相続した財産に応じて個別に行います。このため、一部の相続人が相続税を支払わないということが発生することがあります。
相続税には相続人同士が互いに連帯納付義務があり、相続人の1人が納付期限までに支払わなかった場合、すでに納付した他の相続人が支払いを求められます。
自分以外の納付が心配な場合は、申告と同時に相続人全員で納付を行ったり、物納してもらうなどの対策を検討しましょう。
相続税の申告は自分でできる?
相続税の申告は税理士に依頼するのが一般的ですが、相続人本人が行うことも可能です。
ただし、自分で行うことをおすすめできないケースもあります。
相続税の申告を自分でできるケース
普段から書類作成を得意としている方であれば、記入例などを参考にしながら申告書の作成は可能です。特に、相続財産が預貯金など評価しやすいものだけであれば、さほど難しくはありません。
また、相続財産の額が基礎控除を少し上回るだけであれば、税理士費用を節約するため、自分で申告を行ってみるのも良いでしょう。
相続税の申告を税理士に依頼したいケース
不動産や非上場株式などの評価が難しい相続財産があるときは、税理士に依頼するのがおすすめです。正しく評価してもらうことで評価額が下がり、税額が抑えられることもあります。
また、相続財産が1億円を越える場合なども税理士に依頼したほうが良いでしょう。申告漏れがあった場合、遺産の額が大きければ追徴課税も大きくなる傾向にあります。このため、税理士に依頼して正しく申告を行うことをおすすめします。
相続税の税務調査
税務署は、提出された申告書に誤りや不明な点があったときなどに、税務調査を行います。相続税の税務調査率は所得税や法人税などに比べて高く、相続税を申告した1割以上で調査が行われています。
税務調査の対象になりやすい人
申告漏れがありそうな場合に、税務調査は行われます。このため、申告書の記載間違いや添付書類の不足があった場合、何らかの申告漏れがあるだろうと判断されて対象になりやすくなります。
また、申告漏れがあった場合にその額が大きくなることもあり、相続財産が多い人も税務調査の対象になりやすいです。
税務調査に入られるとどうなる?
税務署から税務調査の対象に選ばれると、事前に日程調整の電話連絡があります。
税務調査当日は、自宅内の状況確認とともに、被相続人の生前の活動などについて質問されます。立ち会いは代表者だけでなく、できるだけ相続人全員に求められます。税理士に依頼して立ち会ってもらうことも可能です。
税務調査の結果は、相続人代表または税理士に伝えられます。申告が正しく行われていた場合はその時点で調査は終了、申告漏れがあった場合には修正申告を行います。
なお、税務調査が行われた8割以上のケースでは、何らかの申告漏れを指摘されています。
相続税を申告しない場合のペナルティー
市町村長は、死亡届を受理した日の翌月末までに税務署に死亡の旨を通知することを相続税法によって義務付けられています。税務署は、KSK(国税総合管理)システムという独自の情報網により納税者の申告、納税の実績、申請、届出の情報などを把握しており、必要な申告が行われない場合は調査を行います。
申告せずにいたことが発見されると、次のようなペナルティーが課されます。
無申告加算税
相続税の申告期限までに申告書を提出しなかった場合は、無申告加算税がかかります。
無申告加算税の税率は、期限後に自主的に申告した場合は追加納付した税金額の5%ですが、税務調査の指摘により申告した場合は金額及びタイミングによって10%~20%に引き上がります。
重加算税
意図的に相続税申告しなかったと判断された場合は、追加納付した税金額の40%が重加算税として課税されます。なお、期限までに申告できなかった正当な理由がある場合は、重加算税ではなく無申告加算税が課税されます。
延滞税
相続税を期限後に納付した場合、延滞税が課税されます。納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて、利息に相当する金額が延滞税として課税されます。
納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは、原則として年7.3%、2ヵ月経過後は原則として年14.6%となっていますが、現在は市場金利を反映した「特例基準割合」を適用して計算されています。現在の特例基準割合は、国税庁のこちらのページで確認できます。
相続税の時効
相続税には時効があります。正しくは除斥期間といいますが、税務署が税金の申告期限から一定の間納税者に税金の請求をしなければ、納税者は納税する義務を免れるというものです。
相続税の除斥期間は、申告期限から5年間です。つまり、税務署から申告期限を5年過ぎてもの何も言われなければ、納税義務はなくなります。ただし、申告の必要があることを知っていて故意に申告をしない悪質なケースでは、除斥期間は7年となります。
相続税はかからないと思ってもまずはチェック
相続税の課税対象者が拡大したことにより、本来申告が必要なのに申告が行われていないケースが増えています。
税務署からの指摘を受けてからでは余分な税金を払うことになるため、まずは国税庁の相続税申告要否判定コーナーで計算してみることをおすすめします。相続税申告の間違いに気づいたら
相続税申告を済ませた後、申告漏れや控除のし忘れなどに気づいたら、どのような手続きを行ったら良いのでしょうか。
本来納めるべき相続税より少なかったら修正申告
申告漏れに気づいたら、できるだけ早めに対処しましょう。相続税の申告期限内に修正した申告書を再度提出すれば、修正ではなく期限内に提出された正しい申告書として取り扱われます。
申告期限が過ぎた後は、修正申告を行います。自主的に修正申告を行えば、延滞税のみで済みますが、税務署の指摘を受けてからだと過少申告加算税がかかります。過少申告加算税は、税務署から事前通知をされてからだと修正申告で納める相続税の5%(金額によってはさらに5%)、税務調査で指摘されてからだと10%(金額によってはさらに+5%)となります。
多く納め過ぎたら更生の請求
相続税を多く納め過ぎた場合は、更正の請求書を税務署に提出します。税務署で納め過ぎの税金があると認めた場合には、納めすぎた相続税が還付されます。
更正の請求ができる期間は、相続税の申告期限から5年以内です。
相続税還付の請求については「続税還付の請求で払いすぎたお金を戻す!時効はいつまで?手順や必要書類などわかりやすく解説」を参照してください。
相続税の節税対策
生前から対策しておくことで、相続税は減らすことができます。どのような方法があるか見ていきましょう。
生前贈与
生前に財産を贈与することで、相続時の財産を減らします。
贈与税の非課税枠を使った110万円以内の暦年贈与を複数人に対しおこなうことで、非課税でかなりの額を贈与することが可能です。
また、婚姻期間が20年以上の配偶者への自宅の贈与、子どもへの住宅購入資金や結婚・子育て資金、孫への教育資金などの特例を利用して生前贈与をおこなうことで、贈与税が免除される場合もあります。
財産の組み換え
一般的に不動産の相続税評価額は売買価格と比べて低くなるため、この差を利用して相続税を減らすことが可能です。また、更地よりも貸家やアパートなどが建っている貸家建付地の方が評価額が下がるため、所有している土地に賃貸物件を建てるのも相続税対策となります。
墓地や仏壇・仏具など祭祀財産の購入
墓地や仏壇・仏具、家系図などは祖先を祀るために必要な祭祀財産とされ、相続税の非課税財産です。このため、亡くなった後にお墓が必要となる場合などは、生前に準備しておけば相続税対策になります。ただし、骨董的価値がある仏像や純金製のおりんなど投資の対象となるものは、相続税の対象となりますので注意が必要です。
養子縁組
養子は実子と同様に法定相続人となるため、養子縁組を行うことで、基礎控除額を上げることが可能です。さらに孫を養子にすることで、財産を1世代飛ばして相続することができるというメリットもあります。
また、配偶者の連れ子は血縁関係がないため相続人になれませんが、養子にすることで相続権が発生します。
生命保険
生命保険は「法定相続人の人数×500万円」の非課税限度額があるため、相続税対策としてよく利用されます。ただし、いつ死亡しても保険金が払われる「終身保険」は保険料が高く、支払った保険料以下の保険金しかもらえないこともあるので注意が必要です。
相続税対策以外にも、受取人に対して確実に財産を遺すことができる、納税資金を確保できるといったメリットもあります。
まとめ
相続税について、基本的な知識から対象となる財産、申告方法や税金対策までまとめてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ここ数年、相続に関する法律や制度の改正が相次でおり、相続をめぐる環境は以前とは様変わりしています。知らないでいると余分な税金を払うことにもなりかねません。このため、相続税に不安がある方は、日頃から相続税に関する情報をこまめにチェックするほか、専門家である税理士に相談してみるのも良いのではないでしょうか。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
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