相続登記で固定資産税評価証明書が必要書類である理由や取得方法を見本付きで解説
相続登記では固定資産税評価証明書(または課税明細書)が必要です。
「相続した不動産の名義変更をするのに、なぜ税金の証明書が必要なのだろう?」
「故人が税金をきちんと払っているか証明しないと相続登記できないのだろうか?」
こんな疑問や不安はないでしょうか。
結論から言うと、法務局では相続した不動産の評価額を見るために固定資産税評価証明書(または課税明細書)が必要なのです。
では、どうして評価額を見るのでしょうか。
この記事では固定資産税評価証明書の見本も付けてわかりやすく説明していきます。是非参考にしてください。
目次
相続登記に固定資産税評価証明書が必要な理由
不動産を相続した場合は、相続登記が必要です。
相続登記には登録免許税がかかり、以下の計算式で求めます。
この登録免許税を計算するために固定資産税評価証明書が必要なのです。
計算方法の詳細は「相続登記にかかる登録免許税はいくら?計算方法・免税条件から納付方法まで全解説」を参照してください。
登録免許税とは?
登録免許税は、登記や登録等をする際にかかる税金です。
登録免許税は不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定および技能証明について課税されます。出典:国税庁No.7190 登録免許税のあらまし
固定資産税評価証明書とは?
では、相続した不動産の評価額の必要書類とされる固定資産税評価証明書とは何が書かれているものなのでしょうか。
固定資産評価証明書は、固定資産課税台帳に登録されている以下のような事項を証明する書類です。
- 固定資産の所有者
- 所在
- 地目・地積(土地の場合)
- 種類・構造・床面積(家屋の場合)
- 固定資産評価額
- 課税標準額
以下に見本をご紹介します。書式については発行する自治体によって様式が異なります。
出典:大阪市ホームページ固定資産税評価証明書は最新年度のものが必要
不動産の登記申請に固定資産評価証明書を添付する場合は、申請日の年度の固定資産評価証明書を用います。つまり最新年度のものが必要です。
ここで注意したいのが、暦年の「年」ではないところです。「年度」なので、4月から3月までを期間として考えます。
最新年度の考え方
2023年3月に登記申請をする場合・・・令和4年度の固定資産評価証明書が必要
2023年4月に登記申請をする場合・・・令和5年度の固定資産評価証明書が必要
固定資産税の課税明細書でも登記できる場合がある
相続登記では、固定資産税の課税明細書でも登記できる場合があります。
固定資産評価証明書は取得するのに手数料がかかるので、他の書類で可能な場合は代用するとよいでしょう。他の書類で代用可能かどうか登記を申請する法務局で一度確認してみましょう。
ただし、固定資産税の課税明細書での代用を考えていている場合も、4~5月に登記申請をするときには注意が必要です。最新のものがまだ送られてきていない場合があるからです。
固定資産税の課税明細書は年に一度発送される
納税通知書または固定資産税通知書といった名前で不動産の所在地の自治体からその不動産の所有者に発送されます。
その時期は地域によって異なりますが、毎年4月から6月頃です。
以下に固定資産税の課税明細書の見本をご紹介します。
出典:法務局万一紛失してしまったら再発行はされませんので大切に保管しましょう。
固定資産評価証明書の取り方・取得方法
固定資産評価証明書の取得方法は、役所の窓口で取得する方法と郵送で取得する方法があります。
ここでは窓口で取得する方法を主に説明していきます。
固定資産評価証明書を取れる人
固定資産評価証明書は、誰でも取得できるわけではありません。固定資産評価証明書を取得できる人は、次のような人です。
- 固定資産税の納税義務者(共有者も含みます)
- 納税義務者の法定相続人
- 遺贈を受けた人
- 遺言執行人
固定資産の所有者(被相続人)以外が取りに行く場合は、本人確認の書類などの他に所有者との関係を証明する書類が必要になります。
相続人の場合は、本人確認書類の他に、相続権及び被相続人の死亡が確認できるもの(戸籍・除籍謄本、登記官が証明した法定相続情報一覧図等)が必要です。
固定資産評価証明書はどこで取得できるか
固定資産評価証明書を取得できる場所は、大抵の場合は、対象の不動産の所在地の市区町村の役所で取得できます。
東京23区(特別区部)の場合は、都税事務所で取得しますが、対象の不動産がある区の都税事務所でなくても、どの都税事務所でも取得できます。
大阪市や福岡市では、対象の不動産がある区でなくても、市内のすべての市税事務所・区役所・区役所出張所等で請求できます。
固定資産評価証明書の費用
手数料については、東京23区の場合は、1件につき400円です(1回の申請で同一種類の証明を2件以上申請する場合は2件目以降1件につき100円)。
手数料は、自治体によって異なりますが、おおよそ1件200~400円くらいの費用で取得できるでしょう。
固定資産評価証明書の郵送での取り方・取得方法
郵送での取得方法については東京23区を例として説明していきます。
東京23区の場合、次のものを同封して郵送します。
- 必要書類
- 手数料(定額小為替)
- 返信用封筒(宛先を記入し、郵便切手を貼ったもの)
郵送先は、東京23区の場合は「〒112-8787 東京都文京区春日1-16-21 都税証明郵送受付センター」です。
他の自治体の場合は、自治体のウェブサイトで確認するか、電話等で問い合わせるとよいでしょう。
必要書類については、窓口で取得する場合と異なります。
申請書については、郵送用のものが用意されていることがあるのでそちらを使用します。レポート用紙に必要事項を書けば良いという自治体もあります。
本人確認書類について、固定資産税の納税通知書の送付先と同じ住所で証明書を受領する場合は、本人確認書類は不要です。別の住所への送付を希望する場合は、送付希望住所が申請者または代理人の住所であることが確認できる本人確認書類(コピー可)が必要になります。
手数料は、有効期限内の定額小為替(無記名)を過不足なく同封します。定額小為替は、郵便局やゆうちょ銀行で購入できます。
相続登記の必要書類一覧
相続登記では、固定資産税評価証明書の他にも必要書類があります。相続登記の手続きをするところや書類などを大まかにまとめました。
相続登記の手続き | |
---|---|
提出先 | 不動産の所在地を管轄する法務局 |
提出できる人 | 不動産を相続する人、代理人 |
費用 | 不動産の固定資産税評価額の0.4%(登録免許税) |
必要なもの | 登記申請書(ダウンロード)、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、故人の住民票除票または戸籍附票、相続人の戸籍謄本、住民票、遺言書または遺産分割協議書と印鑑証明書、固定資産税評価証明書など |
相続登記の方法は「相続登記の手続きと必要書類、放置した場合のリスクまで徹底解説【司法書士監修】」を参照してください。
この記事のポイントとまとめ
最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 固定資産税評価証明書は、登録免許税の計算に必要。
- 最新年度の証明書が必要。
- 固定資産税評価証明書は、不動産の所在地の自治体で手数料を支払って取得できる。
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