相続で残高証明書はいつの時点のものが必要か?銀行別取得方法や日数も解説【行政書士監修】
残高証明書の取得方法は、各金融機関によって違いがあるのをご存じでしょうか。
遺産分割協議や相続税の申告をするときには、預貯金の正確な残高を知る必要があります。預金通帳を確認することでもおおよその内容はわかりますが、より正確にわかるのが残高証明書です。
この記事では、残相続で残高証明書がどのようなときに必要なのか、いつの時点のものが必要か、取得する方法や注意点、被相続人の口座が把握できていないときの探し方などをご紹介します。
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- 亡くなった人の預金の相続開始日時点の残高証明書を相続人が請求する
- 遺産分割協議や相続税申告で残高証明は必要
- 亡くなった方がどこに口座があるか分からないときは家中を探すことになる
この記事の監修者
行政書士法人で勤務後、2018年5月に「のばら行政書士事務所」を開業。相続手続き、遺言書作成支援、許認可申請手続き等を行う。憂いのない相続にするための、終活やエンディングノートについてのセミナー講師実績多数。
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目次
残高証明書とは
残高証明書とは、「指定の口座の残高」を証明するために銀行が発行する書類です。該当する金融機関の口座に、指定した日にいくらの残高があったのかを証明できます。
預金通帳を確認することで、口座の残高を確認することは可能です。多くのケースで通帳の残高と残高証明書の残高は一致するのですが、稀に一致しないケースも起こりえます。また、残高証明書を請求することで、相続人が知らなかった口座や借入金が見つかったというケースもあります。
相続の際には、被相続人の財産を正確に知るためにも、必要に応じて金融機関に残高証明書の請求をおこないます。
ひとつの金融機関に普通預金や定期預金など複数の口座がある場合は、すべての口座の残高証明書を請求します。また、被相続人が株取引などをしていたときには、「証券口座」についても、同じように残高証明書を発行してもらうことができます。
相続の手続きでは、被相続人(亡くなった人)の残高証明書を口座名義人ではない相続人が請求することになるため、やや手続きが煩雑になります。
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相続の手続きで残高証明書が必要なとき
相続の手続きの中で、残高証明書が必要になるのは次の2つです。
- 遺産分割協議
- 相続税の申告
遺産分割協議で残高証明書が必要な理由
「遺産分割協議」では、まず財産の内容とその額(評価額)を、正確に知る必要があります。そのために、預貯金についても被相続人の口座を漏れなくリストアップし、各口座の正確な残高を残高証明書で確認します。
財産の内容があいまいな状況で遺産分割協議をおこなうと、不要な争いを招きかねません。相続人同士のトラブルを避けるためにも残高証明書で預貯金の額を明らかにしましょう。
相続税の申告で残高証明書が必要な理由
被相続人の遺産の総額が基礎控除よりも多いときには、相続税の申告が必要です。相続税の申告の際には、残高証明書は提出書類として指定されてはいませんが、正確な集計と、その根拠書類のために実務上必要です。
根拠書類として、金融機関の口座の解約書類を使用する人もいますが、利息の計算など気をつけなければならないことが増えるため注意が必要です。
一方で、残高証明書は、指定した時点での口座の残高だけが記載されており、取引の流れまではわかりません。税務署は、被相続人の過去の取引(3~5年)に遡って生前贈与がなかったか、大きな取引はなかったか、などの調査もします。
このような場合では通常、通帳を根拠書類とできますが、通帳が揃っていないときには、残高証明書とは別に「過去の取引明細」を発行する必要があります。
相続税の基礎控除
相続税の基礎控除額は、法定相続人の数で決まります。 計算式は、
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=基礎控除の金額
です。
また、配偶者が相続人のときにはこれとは別に「配偶者の税額の軽減」によって1億6,000万円までは非課税です。ただし、この制度の利用には、別途手続きをする必要があります。
残高証明書はいつの時点のものが必要か?
ほとんどの場合、相続発生日時点の日付のものが必要です。
相続手続きをするのは相続発生日(通帳の持ち主が亡くなった日)以降になりますが、銀行で「相続発生日時点の残高証明が欲しい」と伝えれば発行してくれます。先方から日付の指定があればそれを伝えましょう。
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残高証明書の取得の手続き
残高証明書の取得方法は、各金融機関で少しずつ異なりますが、一般的な流れについてご説明します。
残高証明書を取得する一般的な流れ
1. 口座のある支店に連絡をする
「口座のある支店」の窓口で手続きをするのが最も速く発行してもらえる方法です。
支店が遠方にあるときなど別の支店で手続きをしたいときには、口座のある支店に電話で連絡して確認することをおすすめします。基本的にはほかの支店でも発行してもらえます。ただし、地方銀行などでは、口座のある支店以外では発行できないケースもあるため、注意が必要です。
ネット銀行では、専用の窓口やカスタマーセンターに連絡します。
2. 手続きに必要な書類などを集める
手続きに必要なものは、次のようなものが挙げられます。
- 被相続人の口座の通帳やキャッシュカード
- 被相続人(名義人)が死亡したことがわかる戸籍謄本(全部事項証明書)など
- 被相続人と申請者の関係がわかる書類(戸籍謄本など)
- 申請者の実印と印鑑証明書
- 手数料(金融機関により異なる)
金融機関によっては、これ以外の書類の提出を求められることがあります。
法定相続情報証明制度とは
「戸籍謄本」は、「法定相続情報一覧図の写し」でも代用できます。 「法定相続情報証明制度」とは、法務局の登記官に被相続人と法定相続人の関係を認証してもらう制度です。認証に必要な書類は「法定相続情報一覧図」と戸籍謄本になります。一度認証されると、その後は無料で何通でも証明書(法定相続情報一覧図の写し)の発行が可能です。 法定相続情報一覧図の写しは「相続登記」などでも使用できるので、何通も戸籍謄本を取り寄せるより、手続きの負担が減るのではないでしょうか。
申請ができる人
残高証明書の申請ができる人は以下の人です。
- 相続人
- 遺言執行者
- 相続財産管理人
残高証明書の請求に関しては、相続人が複数いるときも代表者一名だけで手続きができます。
指定された窓口などで手続き
支店の窓口や郵送など指定された方法で手続きをします。
発行までの日数は、3~5営業日程度と考えておきましょう。ただし、金融機関や口座がある支店、手続きの方法や口座の状況によってはさらに時間がかかることがあるので、余裕をもって請求するようにしてください。
取得する残高証明書の日付について
被相続人が亡くなった日を指定します。これは、被相続人の死亡日が相続発生日になるためです。
何も指定しないと、請求日の残高証明書が発行されてしまうこともあるので注意してください。残高に変わりがなくとも利息の計算が変わってくるため、再発行が必要になってしまいます。
既経過利息について
残高証明書は、指定された日(基準日)に口座にある金額だけが書かれています。しかし、実際には、「前回利息を受けとった日から相続発生日」までの利息も名義人には権利があります。結果として、相続人にその権利が相続されるわけです。そのため、この利息も相続財産として計算します。それが「既経過利息」です。
通帳や残高証明書に既経過利息が記載されていなくとも、解約時に受け取ることはできます。
しかし、相続税の申告では、定期預金は普通預金より利息が高額なので、定期預金に限り「元本」に税引き後の既経過利息を上乗せしたものが評価額です(普通預金などそのほかの預金に関しては、既経過利息があっても少額であれば申告額は口座残高通りでいいことになっています)。
自分で計算することもできますが、間違えてしまうとあとあと大変なことになる可能性もありますので、請求をするときに定期預金は既経過利息を記載してくれるよう依頼しましょう。
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残高証明書を取得するときの注意点
金融機関に被相続人が亡くなったことを連絡すると、口座は凍結されます。そのため、公共料金の引き落としなどが被相続人の口座になっているときには、早めに変更してください。
葬儀費用や被相続人の医療費を被相続人の預貯金から支払いたいケースがあると思いますが、そのようなときには、振り出してもらえることもあるので、口座のある金融機関に確認しましょう。
事業用の口座について
被相続人が事業主のときには、事業用の口座も凍結されます。そうなると、取引先への支払いはもちろん、取引先からの入金も受け取ることができません。信用問題にも関りますので、注意しましょう。
被相続人が亡くなる前から事業を承継する人が決まっているのであれば、事前に対応をしておきます。決まっていないときや被相続人が突然亡くなられたときなどは、急いで手続きをする必要があります。
遺産分割前の相続預金の払戻し制度について
被相続人が急になくなると配偶者など家計を同一にしている人は、被相続人の口座が凍結されることで、生活に困ることもあります。また、葬儀費用の支払いを故人の預貯金でおこないたいケースも多いでしょう。
そのような状況に対応できるように民法が改正され2019年7月1日から、遺産分割前でも一定額以内であれば、相続人が被相続人の預貯金を払い戻すことができるようになりました。
遺産分割前に相続預金の払い戻しができる制度は2つあります。
- 家庭裁判所の判断を経ずに払い戻せる制度
- 家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度
「家庭裁判所の判断を経ずに払い戻せる制度」では、以下の式で口座ごとに払い戻せる金額が決まります。
相続発生日の預金額×3分の1×申請者の法定相続分=払い戻せる金額
ただし、同一金融機関から払い戻せる金額の上限は150万円(複数の口座があるときには全体で150万円)です。払い戻しは、複数の相続人がいても単独でおこなうことができます。
払い戻しに必要な書類は以下の通りです。
- 申請者の印鑑証明書
- 被相続人の除籍謄本、出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
金融機関によってはこれ以外の書類が追加で必要になることもあるので、手続きの前には各金融機関に確認してください。また、遺言書があるケースでは、制度が利用できないこともあります。
「家庭裁判所の判断により払い戻しができる制度」は、遺産分割の調停や審判が申し立てられているときに利用する制度です。家庭裁判所に申し立てをして、認められると払い戻しができます。払い戻しが認められるのは、共同相続人の利益を害しないときだけです。また、金額も家庭裁判所によって決定されます。
払い戻しに必要な書類は以下の通りです。
- 申請者の印鑑証明書
- 家庭裁判所の審判書謄本
この制度でも、相続人は単独で払い戻しを受けることができます。
▼今すぐ診断してみましょう▼被相続人の口座が把握できていないとき
残高証明書を請求するには、被相続人の口座がどの金融機関にあるのか把握している必要があります。しかし、家族のメインバンクは把握していてもそれ以外はよくわからないということもあります。そのようなときには、次のような方法で口座の有無を確認します。
- キャッシュカード/通帳を探す
- 通帳がある口座への本人名義の振り込みを探す
- パソコンのブックマークを確認する
- メールの履歴で金融機関からの通知などを確認する
- スマートフォンのアプリを確認する
- ダイレクトメールを確認する
- 本人の自宅や勤務先の周辺など、口座があると思われる金融機関で確認をする
ネット銀行は、キャッシュカードや通帳がない場合もあります。そこで、ネット銀行の口座を探すときには、パソコンのブックマークやスマートフォンのアプリで確認をします。
また、キャッシュカードがないということは、ATMが利用できないので、本人名義のキャッシュカードがある口座に振り込んでいることもあるので、通帳の取引履歴を確認しましょう。
最近は、通帳のある金融機関でもオンライン取引をしている方も多いので、通帳やキャッシュカードがみつけられないときには、ネット銀行と同じ方法で探すことも可能です。
ゆうちょ銀行の現存調査とは
ゆうちょ銀行については、ゆうちょ銀行、または郵便局の窓口で手続きをすると、民営化前の口座も含めて被相続人が口座を持っていたかどうか調査をしてくれます。それが「既存調査」です。
既存調査に必要な書類は以下の3つになります。
- 貯金等照会書
- 本人確認書類
- 被相続人が亡くなったことが証明できる書類(死亡診断書など)
- 請求者と被相続人の関係がわかる書類(戸籍謄本など)
「貯金等照会書」は、既存調査の依頼書です。窓口、またはダウンロードで入手できます。
手続きをすると後日結果の連絡がきます。調査には数日かかりますので余裕をもって手続きをしましょう。
名寄せとは
一般の預金は、銀行が破綻しても1,000万円までは保護されるという制度があります。このとき保護される1,000万円は、口座ごとではなく「金融機関ひとつにつき」となっているため、ある金融機関に同一の名義人の口座がいくつあるかを調査する必要があります。これが「名寄せ」です。
ある金融機関に普通預金の口座があることだけわかっていて残高証明書を依頼した場合でも、名寄せによって被相続人の口座すべての把握ができます。そのため、残高証明書を発行したところ相続人が知らなかった借り入れがみつかったというケースもあるので、万が一相続放棄が必要な事態になっても間に合うように残高証明書は早めに請求しておく必要があります。
相続放棄と限定承認について
被相続人に多額の借金などがあるケースで、すべての財産を相続しないのが「相続放棄」、相続したプラスの財産の範囲内でマイナスの財産も相続するのが「限定承認」です。この2つの手続きは、「熟慮期間」の3ヵ月以内に手続きをしなければいけません。 遺産分割協議は期限がないからと、3ヵ月を過ぎてから残高証明書を請求し、多額の債務がみつかっても手続きが間に合わないので注意しましょう。
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主な金融機関の残高証明書の取得方法
大手金融機関の具体的な残高証明書の取得方法をご紹介します。
今回ご紹介する5つの金融機関では、戸籍謄本の原本還付(指定された方法でコピーした戸籍謄本と原本を一度提出し、原本は返却してもらうこと)が即日可能です。戸籍謄本の請求手数料を抑えたい人は活用しましょう。原本還付の詳しい方法は、相続の戸籍謄本に関する記事を参照してください。
みずほ銀行
被相続人が亡くなったら、口座のある支店、または最寄りの支店に電話連絡をします。口座のある支店に電話をしたほうがスムーズでしょう。
残高証明書を発行するときには、窓口に出向きます。
手続きに持参するものは以下の通りです。
- 手数料 880円/通
- 残高証明依頼書(相続用)
- 申請者の実印と印鑑証明書(発行後6ヵ月以内)
- 被相続人が亡くなったことが確認できる戸籍謄本など※
- 申請者が相続人であることを証明できる戸籍謄本など※
※法定相続情報一覧図の写し(法務局の発行する認証文付きの書類原本)を提出すれば、戸籍謄本の提出は原則必要ありません。
残高証明依頼書は店舗、またはダウンロードで入手することができます。
口座のある支店だけでなく、最寄りの支店の窓口でも手続きができますが、口座のある支店で手続きをするよりも日数が必要です。3~5営業日が目安になります。
三井住友銀行
被相続人が亡くなったら、受付フォーム、または専用フリーダイヤルで連絡をします。
残高証明を発行するときには、窓口に出向いて手続きをします。
手続きに持参するものは以下の通りです。
- 手数料880円/通
- 被相続人の取引内容がわかるもの(通帳・キャッシュカード・証書など)
- 申請者の実印と印鑑証明書(発行後6ヵ月以内)
- 被相続人が亡くなったことが確認できる戸籍謄本など
- 申請者が相続人であることを証明できる書類
残高証明書は、手続き後、約1週間~10日ほどで郵送されます。
未払利息(既経過利息)の証明が必要なときは、合わせて依頼することが可能です。
三菱UFJ銀行
被相続人が亡くなったら、相続オフィスへ電話連絡します(店舗からテレビ電話で取り次いでもらうことも可能です)。連絡をするときには、通帳やキャッシュカードが必要です。
残高証明書を発行するときには、窓口に出向いて手続きします。
手続きに持参するものは以下の通りです。
- 残高証明書の手数料 770円/通
- 経過利息計算書 2,200円/通
- 申請者の実印と印鑑証明書
- 被相続人の死亡年月日がわかる戸籍謄本など※
- 申請者が相続人であることを証明できる戸籍謄本など※
※法定相続情報一覧図の写し(法務局の発行する認証文付きの書類原本)を提出すれば、戸籍謄本の提出は原則必要ありません。
残高証明書は、窓口、または郵送で受け取れます。郵送で受け取るときには、約1週間~10日必要です。
りそな銀行
被相続人がなくなったら、口座のある支店、または最寄りの支店に電話連絡します。口座のある支店に連絡した方がスムーズでしょう。
残高証明書を発行するときには、取引店の窓口に出向きます。
手続きに持参するものは以下の通りです。
- 残高証明書の手数料 2,200円/通
- 申請者の実印と印鑑証明書(発行後6ヵ月以内)
- 被相続人が亡くなったことが確認できる書類
- 申請者が相続人であることを証明できる書類
埼玉りそな銀行・関西みらい銀行は、取り扱いが異なることがあるので、各銀行の取引店に確認してください。
ゆうちょ銀行
被相続人が亡くなったら、「相続確認表」をゆうちょ銀行、または郵便局の貯金窓口に提出します。相続確認表は、窓口、またはダウンロードで入手可能です。
残高証明書を発行するときには、窓口に出向きます。
手続きに持参するものは以下の通りです。
- 手数料 1,100円
- 本人確認書類
- 申請者の印鑑
- 被相続人が亡くなったことが確認できる戸籍謄本など
- 申請者が相続人であることを証明できる戸籍謄本など
手続きは最寄りのゆうちょ銀行、または郵便局の貯金窓口でおこなうことができます。残高証明書は、即日受け取りが可能です。
▶ゆうちょ銀行の相続手続きは手続きが普通の銀行とは少し違います。詳しくはこちらの記事へ
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼
専門家に相談した方がいいケース
残高証明書の取得そのものはそれほど難しくないのでご自身でおこなうことができるでしょう。
しかし、次のようなときには、専門家に相談することも検討してください。
- 時間がなく戸籍謄本などを集めるのが難しい
- 口座の数が多く把握しきれない
- 相続人の間に争いがある
- 遺産分割協議のための財産のリストを専門家に作って欲しい
口座の調査やその他財産の評価額など知りたいときには税理士、戸籍謄本を集めたり書類の作成をしたりするのを代行して欲しいときには行政書士または司法書士、手続きやほかの相続人との調整なども含めて依頼したいときには弁護士にそれぞれ依頼するのがいいでしょう。
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残高証明書に関するよくある疑問
残高証明書に関するよくある疑問とその答えをご紹介します。
Q:兄弟3人で父の遺産を相続します。残高証明書の取得には全員で行くのですか?
残高証明書の取得は相続人の代表ひとりで可能です。
Q:亡くなった父の口座が遠方の支店になっているのですが、その支店に行かないと残高証明は発行できませんか?
一般的に口座のある支店で手続きをするより余分に時間はかかりますが、別の支店でも発行してくれます。ただし、地方銀行などではできないこともあるので、最初に口座のある支店に連絡し、確認してから手続きをしましょう。
Q:被相続人の預金通帳には、亡くなる直前に記帳がしてあるので残高証明はいらないですよね?
亡くなる直前に記帳がしてあっても、通帳の残高は記帳した時の残高であり、残高証明書は該当日の24時の残高のため、記帳した後で入出金の処理がされるなど、何らかの事情で通帳の残高と残高証明書の残高が違うことが稀にあります。正確に把握するため取得してください。
Q:夫が亡くなりました。遺産分割協議はこれからなのですが、葬儀費用や生活費が私の預貯金では足りません。どうすればいいですか?
遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用するといいでしょう。
Q:父から相続する財産は、基礎控除より少なく、兄弟は相続放棄をして母だけが相続をします。そのため、通帳の金額で問題ないので残高証明書はとらなくてもいいですか?
残高証明書を取得すると通帳ではわからない借入金がわかることもあります。念のために取っておくと安心でしょう。
Q:残高証明書をもらうとき間違って発行日の日付でもらってしまいました。このまま使えますか?
亡くなった日の残高証明書を取得しなおすことになるかもしれません。一度先方に聞いてみましょう。
Q:ゆうちょ銀行に被相続人の口座があるか知りたいのですが、どうしたらいいですか?
ゆうちょ銀行では口座の有無がわからないときに調査してもらえます。現存調査の依頼をしてください。
Q:普通預金の既経過利息も計算するのですか?
定期預金以外は、既経過利子の額が少額であれば、預金残高通りの評価で大丈夫です。
Q:別居の父が部屋でひとりでなくなったため、正確な死亡日がわかりません。いつの残高証明書を取得すればいいのですか?
近年、社会の高齢化に伴って孤独死(孤立死)をされる方も増えています。そのようなとき、実際にお亡くなりになった日時は不明です。そのため、死亡診断書の死亡の日付は「推定令和○○年○月○日から○日までの間」のように記載されます。残高証明書を請求するときには、この範囲内の同じ日付で各金融機関に依頼しましょう。ただし、相続税を申告するときには、あらかじめ税務署に相談してください。
▼依頼するか迷っているなら、まずはどんな手続きが必要か診断してみましょう▼
この記事のポイントとまとめ
以上、残高証明書について解説しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 残高証明書とは、「指定の口座の残高」を証明するために銀行が発行する書類
- 遺産分割協議や相続税の申告で残高証明書が必要となる。
- 残高証明書を取得する際には、口座のある支店に連絡して手続きを行う。相続開始日時点の残高証明をとる
残高証明書を発行するときには、「被相続人が亡くなった日(相続開始日)」を指定し、定期預金には経過利息を上乗せしてもらいます。また、銀行に被相続人が亡くなったことを連絡すると、口座が凍結されるので、忘れずに公共料金や家賃の引き落とし口座を変更しましょう。
被相続人の口座を相続人自身ですべてみつけることができないなど、問題があるときには、専門家への相談も検討してください。
いい相続ではお近くの専門家との無料相談をご案内することが可能ですので、残高証明書でお困りの方はお気軽にご相談ください。
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