【保存版】相続の手続きに必要な書類まとめ|手続き別の必要書類と取得方法【行政書士監修】
本記事の内容は、原則、記事執筆日(2020年7月7日)時点の法令・制度等に基づき作成されています。最新の法令等につきましては、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの専門家等にご確認ください。なお、万が一記事により損害が生じた場合、弊社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承ください。
相続の手続きにはさまざまな書類が必要となります。必ず必要なものもあれば、状況によって必要となる書類。さらに、必ず必要ではないけれど、あると便利な書類などもあります。この記事では、相続の流れを簡単にご説明した後に、各種相続に必要な書類やその取得方法について、場面ごとにまとめています。
遺言書には主に、公正証書遺言、自筆証書遺言、そして秘密証書遺言があります。なお、遺言書の偽造や変造を防ぐため、公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所に提出し検認の手続きが必要となります。
被相続人の戸籍がすべて集まったら、その記載内容を確認して法定相続人を確定します。
法定相続人とは、まずは被相続人の配偶者や子(第1順位の相続人)が該当します。子がいない場合、被相続人の父母や祖父母など直系尊属(第2順位の相続人)が相続人となります。第1、2順位の相続人が誰もいない場合、被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)が相続人となります。相続人で被相続人より先に亡くなっている人がいればその人についても出生から死亡までの戸籍を取得します。
期間の目安は被相続人の死亡から1ヵ月程度です。
まずは相続の対象となる財産の一覧表を作成します。基本的には、被相続人が死亡日時点で所有していた財産や権利のほか、借金など負の財産や義務を調査します。
主な相続財産は、土地、家屋・建物、有価証券、預貯金、生命保険があります。相続財産を確認するには、戸籍謄本や身分証明書の他、金融機関等が発行する証明書の場合は相続人の実印や印鑑証明書などが必要です。
その他、通帳のない銀行の預金や海外の銀行預金、最近では仮想通貨やネットバンキングなど、調査漏れしやすい相続財産が増えてきていますので注意してください。
遺産分割協議は、被相続人が遺言書を残していない時に実施されます。遺産がすべて現金や銀行預金の場合は法定相続分に応じて分割できますが、土地などの不動産や車などの動産は共有状態では売却することが難しく、どのように分割するかでもめごとになるケースが多くあります。
分割方法は大きく3つあります。1つ目の現物分割は、遺産を現物のまま分割する方法です。2つ目の代償分割は、特定の相続人が自分の相続分を超えて相続財産を取得する代わりに、自分の手持ちの現金または不動産等を他の相続人に支払う方法です。最後の換価分割は、相続した財産を売却してその売却代金で分割する方法です。
被相続人の預貯金口座を解約し、各相続人の口座に相続分を振り込む手続きになります。金融機関によって、添付書類が異なるので注意が必要です。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは,その事実を知った日から3ヵ月以内)に、被相続人の死亡地・本籍地、または届出人住所がある役所に届け出ます。死亡届を提出するためには、医師に死亡診断書(死体検案書)を書いてもらう必要があります。
なお、届出人が後見人、保佐人、補助人および任意後見人の場合は、その資格を証明する「登記事項証明書もしくは裁判所の謄本」が別途必要になります。
死亡届を提出する際に、火葬許可証の申請も同時に提出し、これらが受理されると火葬許可証が発行されます。
なお、被相続人より前に亡くなった子がいる場合は、被相続人より前に亡くなった子の出生から死亡までの連続した戸籍が加えて必要になります。また、直系尊属で死亡している方がいる場合は、直系尊属の死亡の記載のある戸籍も必要になります。
また、被相続人よりも前に亡くなった子や兄弟姉妹がいる場合は、被相続人の亡兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍が加えて必要になります。
1つ目が自筆証書遺言です。被相続人が自宅等に保管している場合が多いです。作成しても無効になってしまうなど有効な遺言書を作るためにはしっかりとした知識が必要です。自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要になり、その検認調書が必要になります。
2つ目が公正証書遺言です。公証人が作成した公正証書遺言は公証役場で保管されています。作成には所定の費用がかかりますが、遺言の有効性は保証されています。
被相続人の戸籍謄本は、本籍地のある市町村役場で取得できます。 印鑑証明書は印鑑登録をしている市区町村から発行してもらえます。
まず、一度合意した遺産分割協議は原則として全員の合意なく内容変更できません。また、相続人の中に、未成年者や、認知症の方がいると、実印を押すことができないので、代わりに実印を押す代理人を選ばなければなりません。相続人の中に海外に住んでいる人がいる場合は、印鑑証明書がないので代わりに、大使館や領事館でサイン証明を取得する必要があります。
したがって、遺産分割協議書の作成義務はないが、相続手続きを円滑に進めていくためには作成しておく必要があります。
「相続人から司法書士への委任状」は司法書士が用意しますので、自身で作成する必要はありません。司法書士が発行した委任状に相続人が署名や捺印をし、署名捺印された委任状をもって司法書士が手続きに行くという流れです。
また、「相続人全員の現在の戸籍謄本」は、各相続人の本籍地のある市役所や区役所の役所で取得します。「相続人全員の住民票」は、各相続人の住所地の市役所や区役所で取得します。
「不動産の固定資産税評価証明書」は、不動産の所在地の市役所や区役所場で300円前後の手数料で取得することができます。
法定相続分での相続のメリットとデメリットを簡単に紹介します。メリットは、相続人間での協議・調整の必要がないことです。また、登記申請の際に必要な書類が少なくてすみます。一方、デメリットは、後々揉め事になりやすいことです。また、共有関係を解消しようとすると費用が高くなることもデメリットと言えるでしょう。
相続人の中に実印を押印できない未成年者や認知症の方がいる場合、代わりに実印を押してもらう人を選ばなければなりません。未成年者の相続人がいる場合、特別代理人を家庭裁判所に選んでもらいます。認知症の相続人がいる場合、成年後見人を申し立てて代理してもらうことになります。
また、相続人に海外在住者がいる場合、印鑑証明書の代わりに大使館や領事館で「サイン証明」を取得します。それも難しい場合、日本に一時帰国した際に住民票を日本に移してその場で印鑑証明書を取るという方法や、公証人に「私署証明の認証」をしてもらうという方法もあります。相続人に受刑者がいる場合、刑務所長に「奥書証明」を書いてもらい、印鑑証明書の代わりとすることになります。
被相続人が所有者の場合、新所有者の所在地を管轄する運輸支局で名義変更手続きを行います。また、販売店等が所有者で被相続人が使用者の場合、所有者に対し残債がないか確認した後に変更手続きを行います。
変更手続きに主な必要な書類は以下のとおりです。
1つの戸籍にはすべての記録が書かれているわけでありません。結婚や転籍、法改正(戸籍法が改正され、新しい様式の戸籍に書き換えが行われた場合の書き換えをする前の戸籍を改製原戸籍という)などで新しく戸籍が作られるためです。したがって、連続した一綴りの戸籍を取得するためには、順を追って、死亡した時点から出生した時点までさかのぼって取得する必要があるのです。
戸籍の取得方法は、被相続人の死亡時の本籍地のある市区町村役場で、戸籍を発行してもらいます。
相続関係説明図とは、被相続人の全相続人を列挙し図にまとめたものを言い、相続関係説明図を法務局に提出すると、戸籍の原本を返してもらうことができます。本来なら、各手続きごとに戸籍謄本の提出が必要になり、手間がかかってしまいますが、相続関係説明図があればスムーズに手続きをおこなうことができます。相続関係説明図は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、被相続人の最後の住所を証明する住民票、相続人の戸籍謄本、相続人の住民票をもとに作成します。
これにより、相続手続き全般において、戸籍謄本等一式を必要とせず、法定相続情報一覧図のみで相続関係を証することができます。法定相続情報一覧図は、被相続人の戸籍謄本、被相続人の最後の住所を証明する住民票、相続人全員の戸籍謄本をもとに作成します。
最近では銀行や保険会社も相続の相談をおこなっています。しかし、登記や税申告などはもちろん、トラブルの代理もできませんし、書類の作成も業務としておこなうことはできません。相続人が納得して終れるように弁護士や司法書士、税理士や行政書士など士業の専門家に相談する方が良いかもしれません。
目次
相続の流れ
相続の主な流れは、一般的に次のような順序で進みます。- 遺言書の有無の確認
- 相続人の確定
- 相続財産の確認
- 遺産分割方法の確認(遺産分割協議)
- 相続手続き
役所での死後手続き(死亡届、火葬許可証の申請)
親族が亡くなった場合に、最初に役所へ手続きをいくつかしなければなりません。まず「死亡届」と「火葬許可申請書」の提出が必要になります。なお、こちらの手続きは代理申請も可能なので葬儀社が代理してくれることが多いです。遺言書の有無の確認
遺言書の有無によって、相続の内容は変わってくることが予想されます。まずは遺言所の有無を確認しましょう。遺言書には主に、公正証書遺言、自筆証書遺言、そして秘密証書遺言があります。なお、遺言書の偽造や変造を防ぐため、公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所に提出し検認の手続きが必要となります。
相続人の確定
被相続人の死亡後速やかに、戸籍によって法定相続人を確定する必要があります。被相続人の戸籍は、出生から死亡まで一日の切れ間もないように複数の連続した戸籍をすべて取得します。被相続人の戸籍がすべて集まったら、その記載内容を確認して法定相続人を確定します。
法定相続人とは、まずは被相続人の配偶者や子(第1順位の相続人)が該当します。子がいない場合、被相続人の父母や祖父母など直系尊属(第2順位の相続人)が相続人となります。第1、2順位の相続人が誰もいない場合、被相続人の兄弟姉妹(第3順位の相続人)が相続人となります。相続人で被相続人より先に亡くなっている人がいればその人についても出生から死亡までの戸籍を取得します。
相続財産の確認
相続人を確定したら、次は、相続財産を確認します。期間の目安は被相続人の死亡から1ヵ月程度です。
まずは相続の対象となる財産の一覧表を作成します。基本的には、被相続人が死亡日時点で所有していた財産や権利のほか、借金など負の財産や義務を調査します。
主な相続財産は、土地、家屋・建物、有価証券、預貯金、生命保険があります。相続財産を確認するには、戸籍謄本や身分証明書の他、金融機関等が発行する証明書の場合は相続人の実印や印鑑証明書などが必要です。
その他、通帳のない銀行の預金や海外の銀行預金、最近では仮想通貨やネットバンキングなど、調査漏れしやすい相続財産が増えてきていますので注意してください。
遺産分割方法の確認(遺産分割協議)
相続財産が確定したら、誰がどう分けるかを遺産分割協議で確認します。遺産分割協議は、被相続人が遺言書を残していない時に実施されます。遺産がすべて現金や銀行預金の場合は法定相続分に応じて分割できますが、土地などの不動産や車などの動産は共有状態では売却することが難しく、どのように分割するかでもめごとになるケースが多くあります。
分割方法は大きく3つあります。1つ目の現物分割は、遺産を現物のまま分割する方法です。2つ目の代償分割は、特定の相続人が自分の相続分を超えて相続財産を取得する代わりに、自分の手持ちの現金または不動産等を他の相続人に支払う方法です。最後の換価分割は、相続した財産を売却してその売却代金で分割する方法です。
相続手続き
相続人が確定し、相続財産が明らかになり、さらに分割方法が明らかにした上で、実際に相続手続きに入っていきます。多くの人がおこなう代表的な手続きを紹介します。預貯金の口座名義変更
金融機関への手続きとして、預貯金口座名義の変更をします。被相続人の預貯金口座を解約し、各相続人の口座に相続分を振り込む手続きになります。金融機関によって、添付書類が異なるので注意が必要です。
証券口座の相続
被相続人が取引していた証券会社に亡くなったことを伝えて証券を引継ぐ手続きを開始します。 そのために相続人がその証券会社の口座を持っていない場合には口座開設をする必要があります。複数の証券会社との取引がある場合は、複数の口座を作らなければいけません。不動産の相続
土地や建物など不動産を相続した場合は、登記簿上の所有者名義を被相続人から相続人へと変更します。 そのためには、登記手続きを管轄の法務局にて行います。この手続きは、司法書士に代理してもらうのが良いでしょう。自動車の相続
自動車の所有者名義が誰なのか、車種は何か、によって手続きが変わります。 まずは自動車検査証(車検証)の使用者と所有者を確認し、その後、管轄の運輸支局にて各手続きに入ります。市区町村役場での各種手続きと、手続きに必要な書類
市町村役場での代表的な手続きに必要な書類を紹介します。死亡時の手続きと必要な書類
親族が亡くなった場合に、まずおこなう手続きが死亡届です。死亡届に必要な書類等は「死亡届」と届出人の認印です。死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは,その事実を知った日から3ヵ月以内)に、被相続人の死亡地・本籍地、または届出人住所がある役所に届け出ます。死亡届を提出するためには、医師に死亡診断書(死体検案書)を書いてもらう必要があります。
なお、届出人が後見人、保佐人、補助人および任意後見人の場合は、その資格を証明する「登記事項証明書もしくは裁判所の謄本」が別途必要になります。
死亡届を提出する際に、火葬許可証の申請も同時に提出し、これらが受理されると火葬許可証が発行されます。
死亡時に必要な書類
- 死亡届
- 死亡診断書(死体検案書)
- 火葬許可証申請書
- 場合によっては登記事項証明書もしくは裁判所の謄本
年金受給停止の手続き
未支給年金は相続財産に含まれないので、もらえる人が限定されています。もらえる人がいない場合は、受給権者死亡届(報告書)を日本年金機構に提出し、年金受給停止手続きをする必要があります。なお、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている場合は、原則として年金受給停止手続きは必要ありません。年金受給停止手続きに必要な書類
- 受給権者死亡届(報告書)
- 亡くなった方の年金証書
- 死亡の事実を明らかにできる書類(戸籍抄本、死亡診断書のいずれか)
介護保険資格喪失の手続き
介護保険制度による介護保険を受けている人が亡くなった場合は、市区町村の介護保険課に対して保険証の返納手続きが必要になります。 返納手続きに必要な書類等は「介護保険資格喪失届」「介護保険証」と認印です。 場合によっては、「戸籍謄本等死亡を証明するもの」が必要な場合があります。介護保険資格喪失の手続きに必要な書類
- 介護保険資格喪失届
- 介護保険証
- 場合によっては、戸籍謄本等死亡を証明するもの
世帯主の変更の手続き
亡くなった人が、3人以上の世帯の世帯主であった場合は、新しい世帯主を決めなければいけないので世帯主変更届をします。 そのために必要な書類は「世帯主変更届」「届出人の認印」「届出人の本人確認書類」です。世帯主の変更の手続きに必要な書類
- 世帯主変更届
- 届出人の認印
- 届出人の本人確認書類
相続人の確認に必要な書類
実際に相続手続きをおこなう前の準備段階である相続人確認の必要書類を紹介します。すべてのケースで必要な書類
相続人を確定するために必要な書類のうち、すべてのケースで必要な書類は3点です。被相続人の戸籍謄本
まず必要となるのは、被相続人が出生から死亡までの連続した戸籍謄本です。被相続人の法定相続人となる人を確定するために必要です。被相続人の死亡時の本籍地のある市区町村役場で、最後(死亡記載)の戸籍からさかのぼることができるものまで発行してもらいます。その一番古い戸籍から、その前の戸籍はどこの役場に請求すればよいかを確認します。相続人全員の現在の戸籍謄本
次に、相続人全員の現在の戸籍謄本です。請求先は前述の被相続人のケースと同様です。法定相続人の中で亡くなっている人があれば、その人の出生から死亡までの戸籍を再度取得し、この作業を繰り返して法定相続人を確定します。相続人全員の印鑑証明書
そして相続人全員の印鑑証明書も必要です。これは、残高証明書から預貯金残高を確認するなど、金融財産の証明書を請求する際などに必要となります。その際、相続人の実印も必要となることに注意が必要です。印鑑証明書は、全国の法務局で取得可能です。ケースによって必要な書類
被相続人の子供が亡くなっている場合
「その子供の出生から死亡までの戸籍」を取得し、法定相続人を確定する必要があります。代襲相続が発生する場合
被相続人に関する戸籍に加えて被代襲者の出生から死亡までの戸籍と代襲相続人全員の戸籍が必要になります。直系尊属が相続人になる場合
被相続人に関する戸籍に加えて直系尊属全員の戸籍が必要になります。なお、被相続人より前に亡くなった子がいる場合は、被相続人より前に亡くなった子の出生から死亡までの連続した戸籍が加えて必要になります。また、直系尊属で死亡している方がいる場合は、直系尊属の死亡の記載のある戸籍も必要になります。
兄弟姉妹が相続人になる場合
被相続人に関する戸籍に加えて被相続人の亡父母の出生から死亡までの戸籍と、兄弟姉妹全員の戸籍が必要になります。なお、被相続人の父母以外の直系尊属がいる場合、被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍が加えて必要になります。また、被相続人よりも前に亡くなった子や兄弟姉妹がいる場合は、被相続人の亡兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍が加えて必要になります。
銀行口座や証券口座の相続に必要な書類
金融機関の口座の相続・名義変更は意外と煩雑で大変だと感じる人が多くいらっしゃるようです。ここでは、銀行口座や証券口座の相続に必要な書類を、いくつかのケースごとに分けてご紹介していきます。遺言書がある場合の手続きと必要書類
- 遺言書
- 検認調書(自筆証書遺言の場合)
- 被相続人の戸籍謄本
- その預金を相続される方の印鑑証明書
1つ目が自筆証書遺言です。被相続人が自宅等に保管している場合が多いです。作成しても無効になってしまうなど有効な遺言書を作るためにはしっかりとした知識が必要です。自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要になり、その検認調書が必要になります。
2つ目が公正証書遺言です。公証人が作成した公正証書遺言は公証役場で保管されています。作成には所定の費用がかかりますが、遺言の有効性は保証されています。
被相続人の戸籍謄本は、本籍地のある市町村役場で取得できます。 印鑑証明書は印鑑登録をしている市区町村から発行してもらえます。
遺言書がない場合の手続きと必要書類
遺言書がない場合には、遺産協議書がある場合とない場合によって、異なります。ここでは遺産協分割協議書の有無、2つのケースでご説明します。遺産分割協議書がある場合
- 遺産分割協議書
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の通帳
- 被相続人のキャッシュカード
まず、一度合意した遺産分割協議は原則として全員の合意なく内容変更できません。また、相続人の中に、未成年者や、認知症の方がいると、実印を押すことができないので、代わりに実印を押す代理人を選ばなければなりません。相続人の中に海外に住んでいる人がいる場合は、印鑑証明書がないので代わりに、大使館や領事館でサイン証明を取得する必要があります。
遺産分割協議書がない場合
遺産分割協議書がなくても金融機関の口座の名義変更は可能ですが、相続人同士の話し合いがつかない場合は、家庭裁判所の調停または審判の手続きを利用することになります。したがって、遺産分割協議書の作成義務はないが、相続手続きを円滑に進めていくためには作成しておく必要があります。
不動産の相続(相続登記)に必要な書類
家や土地など不動産を相続する場合、法務局で名義変更の登記申請を行います。その際に必要となる書類は、遺産分割協議による場合と遺言書による場合とで異なります。遺言書の通りに相続をおこなう場合
遺言書の通りに不動産の相続をおこなう場合に必要な書類は、次の通りです。- 遺言書
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 不動産を取得する人の戸籍謄本
- 不動産を取得する人の住民票
- 不動産を取得する人の印鑑証明書
- 不動産の全部事項証明書
- 不動産の固定資産税の評価証明書
- 相続人から司法書士への委任状
「相続人から司法書士への委任状」は司法書士が用意しますので、自身で作成する必要はありません。司法書士が発行した委任状に相続人が署名や捺印をし、署名捺印された委任状をもって司法書士が手続きに行くという流れです。
法定相続分割合で相続をおこなう場合
法定相続分割合で相続をおこなう場合に必要な書類は次の通りです。- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
- 不動産の固定資産税評価証明書
また、「相続人全員の現在の戸籍謄本」は、各相続人の本籍地のある市役所や区役所の役所で取得します。「相続人全員の住民票」は、各相続人の住所地の市役所や区役所で取得します。
「不動産の固定資産税評価証明書」は、不動産の所在地の市役所や区役所場で300円前後の手数料で取得することができます。
法定相続分での相続のメリットとデメリットを簡単に紹介します。メリットは、相続人間での協議・調整の必要がないことです。また、登記申請の際に必要な書類が少なくてすみます。一方、デメリットは、後々揉め事になりやすいことです。また、共有関係を解消しようとすると費用が高くなることもデメリットと言えるでしょう。
遺産分割協議書によって相続をおこなう場合
遺産分割協議で合意した内容を元に遺産分割協議書を作成して相続する場合、全員が実印を押印して印鑑証明書を添付します。相続人の中に実印を押印できない未成年者や認知症の方がいる場合、代わりに実印を押してもらう人を選ばなければなりません。未成年者の相続人がいる場合、特別代理人を家庭裁判所に選んでもらいます。認知症の相続人がいる場合、成年後見人を申し立てて代理してもらうことになります。
また、相続人に海外在住者がいる場合、印鑑証明書の代わりに大使館や領事館で「サイン証明」を取得します。それも難しい場合、日本に一時帰国した際に住民票を日本に移してその場で印鑑証明書を取るという方法や、公証人に「私署証明の認証」をしてもらうという方法もあります。相続人に受刑者がいる場合、刑務所長に「奥書証明」を書いてもらい、印鑑証明書の代わりとすることになります。
自動車の相続・名義変更に必要な書類
被相続人名義の自動車がある場合は、被相続人の死亡後速やかに名義変更をおこなう必要があります。まずは自動車検査証(車検証)の使用者と所有者を確認します。被相続人が所有者の場合、新所有者の所在地を管轄する運輸支局で名義変更手続きを行います。また、販売店等が所有者で被相続人が使用者の場合、所有者に対し残債がないか確認した後に変更手続きを行います。
変更手続きに主な必要な書類は以下のとおりです。
自動車の名義変更
必要書類を持って新たな所有住所地を管轄する運輸支局で行います。- 申請書(陸運局で入手)
- 自動車検査証
- 戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書
- 遺産分割協議書
- 全相続人の印鑑証明書
- 車庫証明(証明後1ヵ月以内)
- 自動車税自動車取得税申告書
- 認印
自動車保険の名義変更
- 自賠責保険名義変更届
- 自動車保険契約異動申請書
- 保険証券
相続税申告に必要な書類
実際の遺産分割に関わりなく遺産総額および法定相続人・法定相続分という客観的な基準に基づいて相続税の総額を算出したのち、実際の相続割合に応じて按分して各人が負担する相続税額を算出します。相続税申告に必要な主な書類は下記のとおりです。- 相続税の申告書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本と住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産税の課税明細書
- 金融機関の残高証明書
- その他相続財産の価値を示す書類等
相続の必要書類の収集・作成方法
相続手続きで必要な書類の中には一般の方だと用意するのが大変なものも多いです。そこで相続に詳しい専門家に書類を収集、作成してもらう必要があります。ここでは、代表的な書類について紹介します。戸籍
戸籍が必要な相続手続き
- 相続放棄又は限定承認の申述の申立て
- 不動産の名義変更
- 自動車の移転登記
- 相続税の申告
- 預貯金や証券口座の名義変更
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
謄本はその戸籍に入っている全員の事項を、内容すべてを写したものです。全部事項証明書とも呼ばれています。 抄本は戸籍に書かれた内容一部のみを写したものです。個人事項証明書とも呼ばれています。1つの戸籍にはすべての記録が書かれているわけでありません。結婚や転籍、法改正(戸籍法が改正され、新しい様式の戸籍に書き換えが行われた場合の書き換えをする前の戸籍を改製原戸籍という)などで新しく戸籍が作られるためです。したがって、連続した一綴りの戸籍を取得するためには、順を追って、死亡した時点から出生した時点までさかのぼって取得する必要があるのです。
戸籍の取得方法は、被相続人の死亡時の本籍地のある市区町村役場で、戸籍を発行してもらいます。
遺産分割協議書
遺産分割協議書が必要な手続き
- 預金相続
- 不動産の名義変更
- 相続税の申告
相続関係説明図
相続関係説明図があると便利な手続き
- 不動産の名義書換え
- 預貯金の解約、払い戻し
- 家庭裁判所での遺産分割調停申立
相続関係説明図とは、被相続人の全相続人を列挙し図にまとめたものを言い、相続関係説明図を法務局に提出すると、戸籍の原本を返してもらうことができます。本来なら、各手続きごとに戸籍謄本の提出が必要になり、手間がかかってしまいますが、相続関係説明図があればスムーズに手続きをおこなうことができます。相続関係説明図は、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、被相続人の最後の住所を証明する住民票、相続人の戸籍謄本、相続人の住民票をもとに作成します。
法定相続情報一覧図
- 不動産の名義書き換え
- 相続税の申告時
- 銀行や証券会社の相続手続き
- 保険金請求手続き
これにより、相続手続き全般において、戸籍謄本等一式を必要とせず、法定相続情報一覧図のみで相続関係を証することができます。法定相続情報一覧図は、被相続人の戸籍謄本、被相続人の最後の住所を証明する住民票、相続人全員の戸籍謄本をもとに作成します。
まとめ
相続の手続きには様々な書類が必要です。戸籍を取り寄せるのにも時間、労力がかかりますし、遺産分割協議書などの書類を作成するにいたっては、各手続先で正当なものとして受け付けてもらえなければ意味がありません。これには、専門的な知識と経験が必要になります。また、相続人同士のみだと争いになったときに話の折り合いがつかず、互いに納得する相続ができない場合も多いです。最近では銀行や保険会社も相続の相談をおこなっています。しかし、登記や税申告などはもちろん、トラブルの代理もできませんし、書類の作成も業務としておこなうことはできません。相続人が納得して終れるように弁護士や司法書士、税理士や行政書士など士業の専門家に相談する方が良いかもしれません。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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