「相続分の譲渡」をしたときにかかる税金は相続税?贈与税?それとも所得税?
「相続分の譲渡をしたのだから、その財産に関わる税金は自分にはもう関係ないはず」・・・こんな勘違いをしている方はいないでしょうか。
相続分の譲渡をしたからといって必ずしもその譲渡した相続分の税金を支払わなくてもよくなる、というわけではないのです。
相続分の譲渡でも、無料で譲渡したのか、有償だったのか、または、相続人に譲渡したのか、第三者に譲渡したのか、などの条件によって課税される税金の考え方が変わります。
この記事では、相続分の譲渡による税金の考え方について説明します。是非参考にしてください。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
相続分の譲渡
「相続分の譲渡」とは、相続人が自分の相続分を他者に譲り渡すことです。
手続き方法に特段の決まりはなく、極端に言えば口頭でも可能です。また、譲渡する人を他の相続人に相談しなくても自由に選ぶことができます。
ただし、その相続分の中に借金があれば、その返済義務は免れません。
▶相続分の譲渡について詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください。口頭でも相続分の譲渡が可能であると書きましたが、後々のトラブル回避のためには、譲渡証明書を作成しておきましょう。
もし譲り渡す相続分に負債があるようなら、譲渡証明書を作成し、どのように取り扱うのかについても盛り込んでおくとよいでしょう。
相続分の譲渡による税金
相続分の譲渡をおこなったときの税金や課税方法は、譲受人が相続人か第三者か、譲渡をするときに有償だったか無償だったかなどの条件によりそれぞれ異なります。
譲受人が、相続人なのか第三者なのかを分けて見ていきましょう。
「譲受人が相続人のときの税金」条件別早見表
譲渡人が支払う税 | 譲受人が支払う税 | |
---|---|---|
有償のとき | 相続税 | 相続税 |
無償のとき | 非課税 | 相続税 |
無償で譲渡したとき、譲渡人は相続財産を受け取ってないため、相続税はかかりません。譲受人は、自分の相続分と譲渡された分の合計に対して相続税を納めます。
有償で譲渡したときは、譲渡人は譲受人から受け取った金額に対して相続税を納めます。これは、受け取った金額を相続財産とみなされるためです。
また、譲受人は自分の相続分と譲渡された分の合計から、譲渡人に支払った金額を差し引いて相続税を納めます。
※ただし、相続税がかかるかどうかについては遺産総額等によります。
例:母親から息子へ相続分の譲渡をした時
父親が亡くなり、遺産を母親(譲渡人)、息子(譲受人)、娘が相続する場合(相続税は発生するケース)で考えてみます。
母親が相続した分を息子へ相続分の譲渡をした場合、母親が譲渡人になり、息子が譲受人になります。
母親は息子へ有償で相続分を譲渡したら、受け取った金額に対して相続税を納める必要があります。無償の場合は非課税です。
一方、息子は有償でも無償でも相続税を納めますが、有償の場合は母親に支払った金額を差し引くことができます。
相続分の譲渡を受けていない娘は相続分についてだけ相続税を納めます。
「譲受人が第三者のときの税金」条件別早見表
譲渡人が支払う税 | 譲受人が支払う税 | |
---|---|---|
有償のとき | 相続税/(譲渡所得税) | なし |
無償のとき | 相続税 | 贈与税 |
有償のとき、譲渡人は、相続税を納めます。また、譲渡した財産の中に不動産など譲渡所得があると譲渡所得税が課税される場合もあります。
無償のときは、譲渡人は、相続税を納めます。譲受人は贈与税が課税されますので、活用できない不動産などを第三者に引き取ってもらうための譲渡では、トラブルを避けるために贈与税の支払いに関して譲渡前に確認しておくとよいでしょう。
※ただし、相続税がかかるかにどうかついては遺産総額等によります。贈与税や譲渡所得税については譲り受けた金額等によります。
まとめ
相続分の譲渡をしたからといって、税金とはさっぱり無縁になるわけではないことをお分かりいただけたかと思います。
相続にかかわる税金について疑問や不安のある方は、一度税理士に相談してみるのがおすすめです。いい相続ではお近くの税理士との初回無料面談をご案内しておりますので、お電話またはメールフォームよりお気軽にお問い合わせください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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