自動車の相続 所有者が亡くなったときの名義変更や注意点、軽自動車についても解説!
この記事はこんな方におすすめ: 「車を相続する人、相続する可能性のある人」
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- 車の所有者が誰なのかを確認することが重要
- 100万円以上の普通自動車の相続手続きには遺産分割協議書が必要な場合もある
- 普通自動車と軽自動車では、手続きの場所や書類が異なる
故人が所有者として登録されている車は相続財産です。相続人が複数人いる場合は、その車を誰が相続するのか等を決めた後に、実際の名義変更などの手続きをすることになります。
この記事では、車を相続することになったときの確認事項や手続き、注意点などについて解説していきます。是非参考にしてください。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
車の名義変更前に必要なこと
車の所有者が亡くなると、その車は遺産分割の対象になります。相続人全員で新たな所有者を決めるなど、実際に車の名義変更などの手続きに入る前にしなくてはならないことは次の3点です。
- 車の所有者の確認
- 新たな所有者の決定
- 遺産分割協議書の作成
順番に説明していきます。
1.車の所有者の確認
まず、車の所有者が誰かを調べます。故人の愛車が、実は他者の名義だったという場合もあるからです。所有者を確認するには、自動車検査証(車検証)の記載を見れば分かります。
ローンを組んでいたり、リース契約をしている車であれば、車の所有者がローン会社やリース会社になっている可能性がありますので、よく見て確認しましょう。
所有者が被相続人ではなかったとき
自動車ローンが残っていて所有者が車のディーラーなどの場合、その車本体は相続財産の対象にはなりません。
しかし、そのローンはマイナスの相続財産となるため、相続人全員で、遺産分割協議をして車をどうするのかを決めることになります。
リース会社が車の所有者になっているときは、リース会社に連絡し契約を解除しますが、その際に規定損害金(違約金)等の支払いを求められる可能性があります。
2.新たな所有者の決定
遺言書がない場合は遺産分割協議でほかの相続財産と合わせて車を誰が相続するかを決めます。
車を複数人で所有することもできますが、ローンなどの残債がある場合は、その負担をどのようにするか、使用方法はどうするかなど、後々にトラブルが起こらないように事前に細部までしっかりと決めておきましょう。
3.遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果を書面にまとめたものです。
車(車両本体の査定額が100万円以下の車と軽自動車を除く)の他、不動産や預金などの相続の手続きに使用することがあります。
なお、遺産分割協議書が不要なケースは以下の場合などが該当します。
- 遺言書があり、その通りに遺産分割する場合
- 相続人が一人の場合
遺産分割協議成立申立書とは
遺産分割協議成立申立書とは、相続される車両(軽自動車を除く)本体の査定額が100万円以下の場合に、遺産分割協議書に代えて手続きできる書類です。
提出時に添える署名押印や印鑑証明、戸籍謄本といった書類は車の新たな所有者のものだけがあれば良く、相続人全員分を準備しないで済むというメリットがあります。
ただし、車の価格が100万円以下であると確認できる査定証か、査定価格を確認できる資料の写しなどをあわせて提出する必要があります。
▼まず、どんな相続手続きが必要か診断してみましょう。▼車の名義変更手続き
車の相続人が決まったら、名義変更手続きを進めていきます。
名義変更をおこなう車が普通自動車か軽自動車かによって、手続きをする場所や必要書類が異なります。
必要書類には発行後何ヵ月以内と定められているものもありますので注意しましょう。 また、相続人の中に未成年者がいるときは別途注意事項がありますので、各手続きの窓口や行政書士などの専門家にご相談ください。
普通自動車の名義変更手続き
普通自動車の名義変更をおこなう場所は、車の新所有者の住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所です。
普通自動車の名義変更のために準備する書類は、新所有者となる相続人を含む全相続人が手続きを行う場合と、遺産分割協議で決められた新所有者となる相続人(代表相続人)が手続きする場合で用意する書類が一部異なりますので、それぞれについて以下で説明していきます。
新所有者を含む全相続人が手続きを行う場合
新所有者となる相続人を含む全相続人が手続きを行う場合に準備する書類は以下の通りです。
- 印鑑証明書(全相続人のもの)
- 実印(全相続人のもの)
- 新所有者以外の相続人全員の譲渡証明書
- 自動車検査証
- 戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書(死亡の事実および相続人全員が確認できるもの(氏名等の変更があった場合はそれが確認できるもの))
- 車庫証明書(新所有者が被相続人と同居していたときは不要となる場合があります。
- 申請のための所定の書類(運輸支局などでの手続き当日、窓口で入手できます。事前にウェブサイト等でダウンロードして準備することもできます。)
遺産分割協議で決められた新所有者となる代表相続人が手続きする場合
遺産分割協議で決められた新所有者となる相続人(代表相続人)が手続きする場合に準備する書類は以下の通りです。
- 印鑑証明書
- 新所有者となる相続人(代表相続人)のもの
- 実印
- 新所有者となる相続人(代表相続人)のもの
- 遺産分割協議書(所定の様式)・・・車両の査定額が100万円以下の場合は遺産分割協議成立申立書でも可。
- 自動車検査証
- 戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書・・・死亡の事実および相続人全員が確認できるもの(氏名等の変更があった場合はそれが確認できるもの)。
- 車庫証明書・・・新所有者が被相続人と同居していたときは不要となる場合があります。
- 申請のための所定の書類・・・運輸支局などでの手続き当日、窓口で入手できます。事前にウェブサイト等でダウンロードして準備することもできます。
軽自動車の名義変更手続き
軽自動車の名義変更をおこなう場所は、新しい所有者の住所を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所・分室です。
軽自動車を名義変更するために準備する書類は以下の通りです。
- 自動車検査証
- 亡くなった人の死亡の事実と新しい所有者との関係がわかる戸籍謄本等
- 新しい使用者の住民票
- 新使用者の認印
- 軽自動車税申告書
- 申請のための所定の書類(軽自動車検査協会での手続き当日、窓口で入手できます。事前にウェブサイト等でダウンロードして準備することもできます)。
車の名義変更に必要な費用
名義変更には一定の費用がかかるため、あらかじめ準備しておきましょう。
普通自動車の名義変更の費用
普通自動車の名義変更をする場合、管轄の運輸支局・自動車検査登録事務所に支払う移転登録手数料は500円です(令和5年11月現在)。
ナンバープレートの費用
ナンバーの変更を伴う名義変更の場合はナンバープレート代を支払います。 通常のナンバープレートであれば2,000円位が相場ですが、希望ナンバーや字光式のナンバープレートになると4,000~7,000円程度の費用がかかります。
車庫証明の費用
車の保管場所が変わる場合は、あらたに車庫証明も必要になるので、車の保管場所を管轄する警察署で申請します。
費用は都道府県により違いがありますが、4,000~5,000円位が相場のようです。
手続きをするために、事前に準備する住民票や戸籍謄本や印鑑証明書を発行する手数料、さらにそれぞれの施設へ行くための交通費がかかることにも留意しましょう。
軽自動車の名義変更の費用
軽自動車の名義変更をおこなう場合、軽自動車検査協会に支払う申請手数料は無料です(令和3年3月現在)。普通自動車よりも費用を抑えて名義変更をできるのがメリットです。
ナンバープレートの費用
名義変更により使用の本拠の位置の管轄が変更となる場合はナンバープレート代が必要になります。
軽自動車も普通自動車と同様、通常のナンバープレートであれば2,000円位が相場ですが、希望ナンバーや字光式のナンバープレートになると4,000~7,000円程度の費用がかかります。
車庫証明の費用
軽自動車は車庫証明が必要な地域とそうでない地域があります。
新しく使用者となる方の地域は車庫証明が必要かどうかは車庫を管轄している警察署に確認しましょう。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼車の名義変更は専門家に代行依頼ができる
車の名義変更は、書類を集めたり、所定の場所に手続きに行ったりと意外に手間がかかります。
このような手配を代行してもらえるのが行政書士です。
行政書士は遺産分割協議書など相続に関係する書類作成などにも詳しく、車の名義変更と同時に相続手続き依頼することを考えてみましょう。
普段見慣れない用語や法律知識が必要な相続手続きをことをすることでのストレスや、時間、体力の負担を軽減できます。
また名義変更と同時に売却を考える方は、自動車販売店でも車の名義変更手続きを代行してもらえます。自分にとってベストな方法を検討してみましょう。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼相続した車の名義変更をしないとどうなる?
道路運送車両法では、所有者の変更があったときは15日以内に移転登録の申請をしなければならない。とあります。
引用:e-COV法令検索(移転登録)
第十三条 新規登録を受けた自動車(以下「登録自動車」という。)について所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。
また、車を相続した人が、名義変更せずそのまま乗り続けていたり所有し続けたのち、いざ、廃車にしたい、売却したいと思っても自分の名義でないため手続きすることができません。
預貯金や不動産などの相続の手続きが完了し時間が経ってから、車の相続手続きのために、再度、他の相続人に書類の準備のお願いをすることになれば、先方にとっては二度手間となるため負担をかけてしまう心配もあります。
車を相続したらすみやかに手続きをすませましょう。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼まとめ
ここでは、車を相続するときに発生する手続きや費用など知っておくべきポイントについて説明しました。 相続する車を名義変更する際は以下の流れでおこなうとスムーズです。
- 車の持ち主が亡くなったら、まずは車検証で所有者を確認する
- 遺言書がない場合は話し合いで次の所有者を決め、遺産分割協議書に記載する
- 名義変更手続きは、普通自動車は運輸支局または自動車検査登録所、軽自動車は軽自動車検査協会の事務所・支所・分室でおこなう
揃える書類も多いので、チェックリストなどを作ってみるのも良いですね。
いい相続では、相続手続きといっしょに車の名義変更ができる行政書士をご紹介することができますので、気軽にご相談ください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
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