葬儀費用を相続財産から控除して相続税を安く!認められるもの・認められないものを紹介
近年では、参列者を招いた一般葬、家族のみの家族葬、通夜を省いた一日葬、火葬場での簡易的な葬儀の直葬・火葬式など様々な種類の葬儀があります。
これら葬儀にかかった費用は、相続税を計算する上で相続財産の総額から差し引くことができるのをご存じですか?。
この記事では、葬儀費用のうち控除対象になる費用、ならない費用について詳しくご紹介してきます。相続税申告の際に是非お役立てください。
この記事はこんな方におすすめ:
「葬儀費用を負担する人」「相続税計算の際の控除項目を知りたい人」
- 葬儀の費用は相続税の計算上、相続財産からの控除が認められている
- 葬送、火葬代などの必要不可欠な葬儀費用が控除の対象になる
- 葬儀費用を相続財産から支払うときは、手続きが必要
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
葬儀費用が相続財産から控除できるとどうなる?
相続税を計算するときは、遺産の総額から借金などの債務を差し引きます。
故人とお別れするセレモニーである葬儀の費用は被相続人の債務ではありませんが、債務などと同様に遺産総額から差し引くことが認められています。
マイナスの金額が増えることで、税負担の軽減が期待できます。
しかし、葬儀に関する費用がすべて控除対象ではなく、例えば香典返しにかかった費用などは葬儀費用には含まれず、控除対象ではありません。
このように葬儀に関連する費用のうち、葬儀費用として控除対象のものと、そうでないものは間違えやすいので正しく把握しておきましょう。
それでは、はじめに相続財産から控除ができる葬儀費用を説明します。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼葬儀費用として「認められるもの」とは?
葬儀や葬送、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
一般的に葬儀としてイメージされるのは、通夜、告別式だと思いますが、このどちらも葬儀社に支払った額は控除対象になります。葬儀場から火葬場までマイクロバスなどを利用するのであればその費用、火葬場の使用料も控除対象です。
また、死亡診断書の発行手数料、納骨、埋葬における諸費用も控除の対象です。
遺体や遺骨の回送にかかった費用
遺体や遺骨を回送するための霊柩車や寝台車の利用料金も控除対象です。
また、被相続人が事件や事故に巻き込まれたりして行方不明になった場合に行われる捜索活動費用や遺体や遺骨の運搬費用も控除の対象です。
葬儀の前後に生じた通常葬儀にかかせない費用
通夜・告別式などにおいて発生する飲食費用、喪主が負担した供花代なども、葬儀に必要不可欠な費用として控除の対象となります。
ただし、一般的な相場とかけ離れている場合などは控除対象として認められない可能性や、喪主以外の家族が負担した供花代でも控除対象になるケースもあるようですので、専門家に確認しましょう。
読経料、お布施、戒名料など
お寺や神社などに支払う読経料や、お布施、戒名料なども控除の対象です。これらの費用も葬儀には必要不可欠で、葬儀を行うことに伴い施与したものとされるからです。
ただし、あまりにも高額な場合には控除対象外となる場合があります。
葬儀を手伝ってくれた方への謝礼
葬儀(通夜、告別式)はいろいろな方が手伝ってくれることがあります。お手伝いをしてくれた方に渡すお心付けも控除対象です。
ただし、世間一般の相場とかけ離れている場合は控除が認められない可能性があります。
繰り上げ初七日にかかった費用
初七日などの葬儀とは別に行われる法要にかかる費用は本来、控除の対象外ですが、葬儀と同日に初七日をおこない、明確に区別されていない場合は控除の対象として認められています。
▼相続対策は一人で悩まず専門家に相談しましょう▼葬儀費用として「認められないもの」とは?
これまで紹介したような、葬儀を行うのに必要不可欠な費用は控除が認められますが、葬儀に関係しない費用や必ずしも必要とはいえない費用に関しては相続財産から控除することはできません。これから紹介するものは控除対象と間違われやすいので、注意しましょう。
香典返しのためにかかった費用
香典返しは債務控除の対象外です。香典は遺族が参列者から受け取るため、相続財産にならないと見なされるからです。
会葬御礼の費用
香典返しと似たようなものに「会葬御礼の費用」があります。参列者に対するお礼として渡す物の費用ですが、葬儀費用に該当するかはケースバイケースです。
会葬御礼の費用が発生し、香典返しをしなかった場合、会葬御礼は葬儀費用に該当しないので相続財産から控除の対象になりません。会葬御礼の費用が発生し、香典返しを実施した場合は、会葬御礼の費用が葬儀費用に該当し控除の対象となります。
墓石や墓地の費用
墓石等の購入や借り入れの費用は葬儀とは別の費用なので控除対象にはなりません。
初七日や法事の費用
葬儀に関して負担する費用ではないので控除の対象外ですが、先述したとおり葬儀と同日に初七日を施行し区別できない場合は控除の対象にすることができます。
その他
遺体解剖の費用は医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用とみなされるため、葬儀費用にはなりません。 法令解釈通達 相続税法基本通達 13-5 引用
▼今すぐ診断してみましょう▼葬儀費用を相続財産から支払うときの手続き
被相続人が死亡し、葬儀を行うことになっても喪主に葬儀費用を払う蓄えがない場合があります。そのような場合は、被相続人の遺産から葬儀費用を支払うことは可能ですが注意しなければいけないことがあります。
口座の凍結
金融機関は口座名義人の死亡を知ると、その口座での取引ができないようにします。このことを口座の凍結と言います。相続財産となる預貯金は遺産分割の対象になるため、後々の大きなトラブル防止のために口座を凍結するのです。
相続法改正で預貯金の一部引き出しが可能に
2019年7月に改正相続法が施行されたことにより、他の相続人の同意がなくても被相続人の口座から預貯金の一部を引き出すことが可能になりました。引き出せる預貯金の額については以下になります。
引き出し金額の上限
凍結された口座から預貯金を引き出すときの上限は、一金融機関につき、以下のうち少ない金額と決められています。
-
- 相続開始時の預貯金の残高×1/3×法定相続分
- 150万円
例:相続人が2人。被相続人の銀行口座に600万円がある場合。 600万円×1/3×1/2=100万円 150万円より少ないので預貯金を引き出す上限金額は100万円となります。
必要な書類
預金を引き出す手続きには必要な書類があります。金融機関によって異なる場合がありますので確認しておきましょう。
- 本人確認書類
- 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 預金の払い戻しを受ける人の印鑑証明書 など
銀行の手続きについては「銀行預金の相続手続きの期限は?引き出し方法は?|手続きの流れや必要書類まで詳しく解説」で詳しく解説しています。
▼何をすればいいか迷っているなら、今すぐ調べましょう▼相続税の計算と葬儀費用
葬儀費用を債務控除できるのは実際に葬儀費用を負担する一定の相続人などです。葬儀費用は、喪主が負担することが一般的ですが、誰が払うべきなのかは法律上の決まりはありません。
そのため、葬儀費用を喪主だけでなく、相続人全員で負担した場合はそれぞれが負担した分だけ実際取得した財産の金額から差し引かれます。 葬儀費用の控除による税負担の軽減を考えるなら、誰が葬儀費用を負担するのかを事前に話しあっておくと良いでしょう。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼まとめ
債務控除として相続財産から控除できる葬儀費用とそうではない葬儀費用をしっかり把握しておくことが重要なポイントです。また、相続人の誰が支払うのかによって税負担の軽減も期待できます。一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
いい相続では、相続に精通した専門家をご紹介しています。相談も初回面談も無料ですのでお気軽にお問い合わせください。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
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