遺言書どおりに相続しなくてもいい?相続人全員の合意と違えば大丈夫?
遺言書があった場合、その内容とは違う遺産分割をしてもよいのでしょうか。
故人の意思に背いてもよいものか?、法的にどうなんだろう?といった疑問がある場合も。
この記事では、遺言書があった場合の遺産分割について解説します。
遺言書どおりに相続しなくてもいい?
家族間の遺産相続では、しばしば感情的な葛藤を伴います。
ある女性が父の自筆証書遺言により、父の自宅を相続することになりました。しかし、彼女は遠方に住んでおり、現在の生活状況では相続したくありませんでした。一方で、父と同居していた妹が実家を相続したいと望んでおり、他の家族も同意していました。
遺言書にはっきりと「自宅は長女に相続させる」と書かれていましたが、彼女たちは遺言書通りに遺産分割しなくてもいいのかと不安に思いました。
専門家が導き出した答え
専門家のアドバイスによれば、相続人全員の合意が遺言書と異なる内容で、遺産分割協議が成立した場合、相続人の意思や財産管理の自由を尊重し、これを有効な合意と解釈するのが一般的だそうです。
また、遺言執行者がいる場合は遺言執行者の意向にも注意が必要です。遺言執行者がある場合には、相続人の合意が規定に違反して無効になる可能性があります。
幸いにも、このケースでは遺言執行者が記載されておらず、相続人間で揉めることもなかったため、遺産分割協議書を作成し、不動産の名義を妹に変更することができました。
遺言書通りにしたくない相続人がいる場合
先述の例は、相続人が合意していたことから、遺言書どおりではなく遺産分割協議によって遺産を分割しました。
しかし、遺言書通りにしたい相続人と内容に不満や遺言の形式に疑いがある相続人がいる場合はどうなるでしょうか。
もし、当事者同士の話し合いで決着しない場合は、家庭裁判所に遺言無効確認調停か遺言無効確認訴訟の申立てをします。
遺言無効確認調停を申し立てる
調停は、家庭裁判所の調停委員会(裁判官1名と調停委員2名で構成)が、当事者に対して解決のための助言や説得をして、合意を目指して話合いを進める手続です。
遺言が有効か無効かを争っている場合、1か0かの決着になるので調停を経ずに訴訟を提起することが多いです。
遺言無効確認訴訟を申し立てる
遺言無効確認請求訴訟とは、裁判所に対し、遺言が無効であることを認めてもらう訴訟です。
訴訟では、当事者による事実関係の主張と、その主張を裏付ける証拠の取り調べというかたちで審理が進み、提訴から判決までの期間は、大体1年くらいはかかります。
第一審の判決に不服がある場合は、上級裁判所に控訴することができ、控訴審に判決に不服がある場合は、さらに上告することができます。
遺言書が無効になる場合については「遺言書が無効になる場合は?申し立て方法や時効も解説」で詳しく解説しています。
まとめ
遺言書で争うことになってしまったら、弁護士に相談するしかなくなります。
せっかく作るのであれば、争いごとが起こりにくい遺言書を作成したいものです。
いい相続では、遺言書作成をサポートできる専門家をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。
※この記事は「【事例】遺言書はあるけれど遺産分割協議による相続は可能ですか?」を再編集したものです。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きや遺言書の作成を依頼した方のインタビューはこちら
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