相続人の高齢化による数次相続の問題とは?関係図でわかりやすく解説
超高齢化社会を迎えている日本。
長生きは喜ばしいことですが、高齢者の相続においては、相続人も高齢なため特有の問題が発生しています。
今回は、数次相続について具体的なケースを関係図を使って解説しますので是非参考にしてください。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
高齢化による相続の問題点
超高齢化社会では、相続人も高齢者であるという点で問題が起きる場合があります。
「父が亡くなり1ヵ月も経たないうちに、母も急死」といった、一つの相続手続きが終わってないうちに次の相続が発生すること考えられるからです。
このように、亡くなった人の手続きがなされる前に、相続人が死亡してしまうというように相続が相次ぐことを数次相続といいます。なお、最初の相続を1次相続、次の相続を2次相続といいます。他の相続人が亡くなれば、3次相続、4次相続と続くことになります。
高齢者の相続は現役世帯より数次相続がおきる可能性が高いといえるでしょう。
高齢者の数次相続は何が問題なのか
「ただ、相続が続いてしまうだけでしょ?それの何が問題なの?」とあまりピンとこない方もいるかもしれません。
ここからは例を挙げて関係図も加えて解説します。
父の遺産分割の話し合い中に相続人である次男が亡くなったという設定で説明していきます。
1次相続の発生
太郎さんは次男で、父、母、独身の兄がいます。太郎さんは結婚しており配偶者と子どもが1人います。
太郎さんの父が亡くなって相続が発生しました。
相続人は母と長男、次男である太郎さんの3人です。
父の遺産分割の話し合いを始めました。
独身の兄が、親と同居しているのは自分だからと、全部を相続したいと言い、なかなか話し合いが進みません。
そんな中で太郎さんが急死してしまいました。数次相続の発生です。
父の相続は1次相続で、太郎さんの相続は2次相続です。
2次相続が発生
相続人のうちの一人が亡くなった場合、ただ相続人の数が減るだけでしょうか。太郎さんの父の遺産は残った相続人である母と長男の2人だけで話し合いを進めればよいのでしょうか。
実はこの場合、亡くなった太郎さんが持っている父親の相続人(1次相続の相続人)としての地位は、太郎さんの相続人(2次相続の相続人)が引き継ぎます。
つまり、太郎さんの相続人としての地位を、太郎さんの相続人である配偶者と子どもが引き継ぐことになるわけです。
そのため、父の相続(1次相続)の遺産分け方の話し合いである遺産分割協議には、亡くなった太郎さんの代わりに配偶者と子ども(2次相続の相続人)が参加しなくてはなりません。
もし、ここで3次相続が発生すれば、さらに1次相続の遺産分割協議参加者が増えることになります。
関係性が遠い人が急に相続人として遺産分割協議に参加することになれば、連絡を取るのが大変だったり、話をまとめるのに時間がかかるといった心配もありますが、何より権利関係が複雑になってしまうのが、数次相続の問題点といえます。
数次相続の相続割合
数次相続が起きたとしても、1次相続で本来相続される相続割合に変更はありません。
先述の例では、父の遺産の法定相続分は母が2分の1、長男が4分の1、太郎さんが4分の1です。
太郎さんの代わりに遺産分割協議に配偶者と子どもの計2人が参加しても、1人として数えます。なので、人数が増えたからと言って、相続割合が増えるわけではありませんので注意しましょう。
2次相続では、被相続人が1次相続で本来受け取ることができた相続財産を2次相続の相続人で遺産分割します。
太郎さんの1次相続での取り分である父の遺産の4分の1と、太郎さん自身の財産を2次相続の相続人である配偶者と子どもで遺産分割することになります。
まとめ
以上、高齢者の相続人がいるときの心配事として数次相続について解説しました。
生涯を通じて築いた財産、自分の納得のいく引き継ぎ方になるよう、心身ともに元気なうちに対策を検討してみてください。
いい相続では相続に強い専門家をご紹介しています。
相続でのお困りごとありましたら遠慮なくご相談ください。
この記事は「【事例】父の遺産分割協議の最中に母が亡くなりました。遺産分割はどのようになりますか?(67歳女性 遺産4,900万円)」を再編集したものです。
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