孤独死の相続、遺品整理は相続放棄をする場合にしてもいい?対策とポイント
家族が孤独死を遂げたという知らせに、深い悲しみと衝撃を覚えることでしょう。
しかし、相続人としては相続をするかどうかも検討しなくてはならず、冷静な判断と適切な対応が必要です。
孤独死の知らせを受け、相続放棄を検討されている方へ、大切なポイントをお伝えします。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
遺品整理すると相続放棄ができない?
まず、相続放棄を検討する上での最も重要なポイントは、相続財産を処分しないことです。相続財産の処分は、後々相続放棄を難しくする可能性があります。
具体的には、債務の支払いや賃貸物件の解約、遺品や家財道具の処分がその例です。これらの行為が単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあるからです。
単純承認とは
単純承認とは、相続人が、被相続人の権利や義務の全てを無条件で相続することをいいます。
以下の単純承認に当たる行為をしてしまうと、後から孤独死した被相続人の多額の借金が分かったとしても相続放棄することができません。
- 相続財産の処分(売却や譲渡、損壊や破棄等)をした場合
- 熟慮期間の3ヵ月内に限定承認や相続放棄をしなかった場合
- 相続財産の全部若しくは一部を隠匿、消費・悪意で相続財産の目録中に記載しなかったとき
なお、単純承認については「単純承認とは?法定単純承認とみなされるケースを事例でわかりやすく説明」で詳しく説明しています。
単純承認への対策
入院費用や介護施設の利用費用、さらには被相続人の借金の返済など、様々な債務が存在する可能性があります。
相続放棄を検討している場合でも、まずは被相続人の財産状況を調査をしましょう。
また、病院からの入院費用などの支払いに関しては、相続放棄を検討中である旨を伝え、待ってもらうことも可能です。それが難しい場合は、相続人の資産から支払うことで単純承認とみなされることを避けられます。
ただし、電気代、ガス代などの公共料金は日常家事債務と呼ばれ、これに該当する債務は相続放棄をしても支払う必要があるとされています。
\相続手続きは何をする?今すぐ調べましょう/孤独死の遺品整理のポイント
孤独死の場合、問題となるのは、賃貸借契約や遺品の処分でしょう。
相続放棄を選択する場合は、賃貸物件の解約手続きを行わず、遺品は相続人が保管しておくことが適切です。ただし、相続放棄後は相続財産管理人が被相続人の財産を管理することになります。そのため、遺品の管理は相続放棄を行った相続人が行うこととなります。
孤独死が起きた賃貸物件に関しては、大家からの遺品(残置物)処分に関する同意書を求められることがあります。大家は法律上、自ら勝手に処分することはできないからです。同意書にサインをして相続放棄ができなくなるかは微妙なところです。このような場合は、専門家に相談し、個別に判断することが重要です。
相続放棄の対策はしっかりと
相続放棄には時間的猶予が3ヶ月しかありません。
この期間は必要書類を全て取り揃え、家庭裁判所に申述するまでの期間です。3ヶ月はあっという間に過ぎますので、早めに対応することが重要です。
相続放棄は、家庭裁判所に申し出ます。申し出る家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所ですので注意しましょう。
相続放棄については「相続放棄手続きは難しい?自分でするための手順や認められないケースまで解説」で詳しく解説しています。
まとめ
大切な家族の孤独死に関する悲しみや衝撃の中で、冷静に対応する必要があるさまざまな相続手続き。
相続放棄を検討する場合には、手続きに期限もあり、書類の準備も必要なので専門家に手続きを依頼を検討してみましょう。
いい相続ではお近くの専門家との無料相談をご案内することが可能ですので、相続放棄でお困りの方はお気軽にご相談ください。
この記事は「【事例】相続放棄を希望していますが、アパートの解約や遺品整理をしても大丈夫?(56歳男性 遺産▲28万円)」を再編集したものです。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。