相続する不動産(土地や建物)が被相続人の名義とは違う!どうすればいい?
親が亡くなり、実家を相続。不動産の名義を変えようとしたら、親の名義ではなかった!
遺産の不動産の名義が亡くなった人ではなかったら、遺産分割の話し合いどころではなくなってしまうかもしれません。
この記事では、相続する土地や建物の名義が被相続人のものでない場合についてご紹介していきます。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
被相続人の不動産の名義が違う人の場合
Aさん「母親が亡くなったので所有していた土地の名義変更の相続登記をしようとしたら、亡くなった祖父の名義のままだった。」
Bさん「両親が亡くなったので相続した不動産の相続登記しようとしたら、建物の名義は母で土地は父。それぞれの名義が違っていた。」
不動産のように重要なものの名義が違うなんて本当にそんなことあるの?と思う人いるでしょう。
しかし、これは実際に「いい相続」に寄せられたご相談です。
なぜ、名義が変更されていない状態の不動産があるのでしょうか。
これには、相続登記の申請義務がなかったことが主な理由としてあげられるでしょう。
相続登記をすると費用がかかります。そのため、差し迫った事情や必要性を感じなければ登記しないという人も多かったのです。
他にも、不動産を相続したものの、使わない土地に手間や費用をかけたくないために所有者になりたくないという事情もあってあえて登記をしないこともあるようです。
未登記土地(建物)だった場合
相続が発生したものの相続登記されずに、亡くなった人の名義のままで放置された状態を「未登記土地(建物)」といいます。
では、不動産の名義が被相続人より前に亡くなった親族のままだった場合はどうしたらいいのでしょうか。先ほどの相談事例からみてみましょう。
Aさん「母親が亡くなったので所有していた土地の名義変更の相続登記をしようとしたら、亡くなった祖父の名義のままだった。」
このようなケースの場合、不動産所有者である祖父の相続へ遡っていく必要があります。
つまり、先に亡くなった祖父から父親へ、父親から母親への名義変更をするのです。そのためには、まず祖父の相続人を確定しなくてはなりません。
相続人を探さなくてはならない場合もある
名義変更するだけなのに、なぜ随分前に亡くなった祖父の相続人を確定しなくてはならないのでしょうか。
それは、祖父の土地を相続する権利のあった人がだれであったかを調べ、その人たちが、Aさんの父親が相続することを同意しているのかという問題があるからです。
もしもAさんの父親に兄弟がいたら、その兄弟にも祖父の土地を相続する権利があったため、相続人を探す必要があるのです。
相続人を探すには、戸籍謄本や除籍謄本などをさかのぼって確認をしなくてはなりません。Aさんの記憶だけでは確実とはいえないからです。
このように未登記土地(建物)を相続するととても手間のかかる作業になってしまうのです。
土地と建物の名義が違う場合
土地と建物の名義が違う場合はさまざまな理由が考えられますが、主に以下のような理由があげられます。
- 親が所有している土地に子供名義の建物を建てた
- 相続した土地に建物を建てたが土地の名義変更はしていない
- 土地を借りて建物を建てた
- 土地を貸していて賃借人が建物を建てた
どんな理由であろうと、相続したのであれば相続登記をしなくてはなりません。ここで先述の相談事例をみてみましょう。
Bさん「両親が亡くなったので相続した不動産の相続登記しようとしたら、建物の名義は母で土地は父。それぞれの名義が違っていた。」
このケースは、建物の名義は母と土地は父と、ご両親の所有なので、その子どもで相続人であるBさん名義に相続登記をおこなえますが、もし、兄弟がいれば、遺産分割協議をおこなったあとに登記をおこないます。
名義人によっては、未登記土地のように相続を遡って相続人を探す必要があります。
令和6年4月からは相続登記を放置できない
相続登記はなんだか面倒くさそうだ、未登記土地(建物)や、土地と建物の名義が違う不動産を相続したら、自分も放置してしまおう。そう考えた方もいるかもしれません。
しかし、もう相続登記の放置はできなくなります。
令和6年4月からは、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。
このルールを破った場合の罰則も設けられます。
相続登記をしないことについて正当な理由がないときには、10万円以下の過料の対象となるのです。
ちょっと厳しすぎない?と思うかもしれません。
しかし、今まで相続登記を放置された結果、所有者が不明の土地の面積は、九州の土地面積よりも広いと言われています。
所有者不明土地が増えてしまったことで、土地の管理がきちんと行われないまま放置され、土砂崩れなどの防災対策のための工事ができない、治安の悪化を招くなどの問題が発生しています。
そのため、国も本気でこの問題を解決すべく義務化されたのです。
相続登記の義務化については「相続登記の義務化の対策方法は?相続人申告登記や相続土地国庫帰属制度など新制度をわかりやすく」を参照してください。
相続登記は放置は相続人にとっても損!
土地と建物の所有者が異なる場合、いざというときにその土地を担保お金を借りようとしてもできなかったり、売却のタイミングを逃してしまったりと、不都合が生じる場合があります。
相続登記をしていないと、相続人にとっても問題が起きる可能性があるのです。
まとめ
登記簿謄本はだれでも取ることができますので、一度ご実家の登記簿謄本を確認して名義がきちんと変更されているか確認してみてはいかがでしょうか。
また、相続登記でお困りの場合は、いい相続にご相談をお受けしていますので遠慮なくご連絡ください。
この記事は「【事例】家の名義が10年以上前に亡くなった父のままでした。どのように遺産分割をすれば良いですか?(56歳男性 遺産2,000万円)」を再編集したものです。
▼実際に「いい相続」を利用して、専門家に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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