受取人が死亡したら生命保険金を受け取るのは誰?受取人の変更手続きは?
生命保険は、保険契約者が亡くなった際に、指定された受取人に死亡保険金が支払われます。
しかし、受取人が亡くなっている場合、保険金はだれが受け取るのでしょうか。保険契約者が亡くなってから受取人を変更することはできるのでしょうか。
相続対策としても知られている生命保険について、この記事では、生命保険の受取人が死亡している場合について解説します。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
受取人が死亡していた場合は相続人が受取人になる
死亡保険金の受取人が亡くなった場合は、死亡した受取人の相続人が受取人になります。
保険契約者が亡くなってからでは受取人を変更することはできないのです。
受取人が死亡した場合の受取人については法律で定められています。
保険法 第四十六条 (保険金受取人の死亡)
保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。
相続人について詳しく知りたい方は「相続人とは?法定相続人の範囲や順位、法定相続分と遺留分」を参照してください。
相続人が複数人いた場合は?
では、受取人となる相続人が複数人いた場合は、どのような割合で保険金を分ければよいのでしょうか。
法定相続分で分ければよいのでしょうか?
死亡保険金については原則、相続人の人数で均等に分けることになります。
死亡保険金は「遺産」ではないので、遺産分割の対象にはならないのです。
権利を分けることになるので、複数人で分けるときは民法第427条にもとづき均等に分けます。
法定相続分について詳しく知りたい方は「法定相続分と法定相続人|法定相続人の相続順位や法定相続分の計算方法」を参照してください。
受取人が死亡していた場合の分け方
では、ここで事例を使ってケース別に具体的に解説していきます。
受取人が亡くなったケースの分け方
- 父、母、子ども3人の家族
- 父は生命保険をかけており、死亡保険金の受取人は母であった
- 死亡保険金は1200万円
- 父が亡くなったあとに母が亡くなった
上記の事例の場合、父が亡くなったときの相続人は4名(下図参照:母、長男A、長女B、次男C)です。
しかし、受取人である母が亡くなったときの相続人は3名(長男A、長女B、次男C)となります。
この場合、父の死亡保険金の受取人であった母が亡くなっているので、その権利は子ども3名で均等に分けます。具体的には保険金額を相続人の人数で割ります。
1200万円÷3名=400万円(一人あたりの死亡保険金の受取分)
受取人の相続人も亡くなったケースの分け方
では、前述の例で、手続きをする前に次男Cが亡くなった場合を考えてみます。
次男Cが亡くなると、次男Cの相続人が権利を引き継ぎます。
次男Cの相続人は、配偶者Eと子ども(孫)Eです(下図参照)。
そのため、父の死亡保険金は相続人は4名(長男A、長女B、配偶者E、子ども(孫)E)で分けることになります。
この場合も均等に分けることになりますので、保険金額を相続人の人数で割ります。
1200万円÷4名=300万円(一人あたりの死亡保険金の受取分)
受取人が死亡したら受取人変更手続きを
受取人が存命であれば死亡保険金は比較的早く受け取ることができます。
書類に不備がなければ、請求を受け付けてから5営業日程度で支払うとしているところが多いようです。
しかし、もしも先述のケースのように受取人が死亡し、権利を引き継いだ相続人が多ければ保険会社での確認作業も増えますし、請求するために準備する印鑑証明書や戸籍謄本などの必要書類も多くなるので、時間がかかってしまうでしょう。
生命保険を掛け、死亡保険金の受取人は、配偶者や子ども指定している方も多いのではないでしょうか。
夫婦が高齢者になると受取人が被保険者より先に亡くなってしまうということも考えられますし、家族全員が長寿であれば、子どもも高齢者であることも。
保険の内容を見直すとき、または、親族で不幸があったときは、是非チェックするようにしましょう。
なお、受取人の変更する場合は、契約している保険会社に連絡しましょう。ホームページから手続きできるところもあります。
まとめ
生命保険には相続税の非課税枠として「500万円×法定相続人の数」が適用されることから、相続税対策といえば、必ず生命保険を活用する方法が提案されるでしょう。
しかし、本来の目的は、残された家族が困らないように加入するものですから、相続対策で加入した後も定期的に内容を確認しましょう。
また、相続手続きが大変で、保険請求する時間もないとお困りの場合、相続手続きを専門家に依頼することを検討してみませんか。
いい相続では相続に精通した専門家をご紹介しています。相続税申告でお困りの方もまずは「いい相続」へご相談ください。
※この記事は「【事例】父の生命保険金の受取人が、既に亡くなった母になっています。変更の手続きは?(47歳女性 遺産5,800万円)」を再編集したものです。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に死後手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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