【死亡届の基礎知識】死亡診断書はコピーが必要?提出期限や再発行のしかたまで徹底解説【行政書士監修】
大切な家族が亡くなったとき、必要な手続きのひとつとして死亡届の提出が挙げられます。
しかし死亡届の提出には「死亡診断書のコピーを取っておく」など、気をつけるべきポイントがあるのをご存知ですか?ただでさえ気持ちが沈んでいるときですから、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。
この記事では、知っておくと役立つ死亡届の基礎知識について、またコピーを取り忘れた場合の対処法も解説します。ぜひ、参考にしてください。
この記事はこんな方におすすめ:
「死亡届の提出がまだの人」「コピーを取る前に提出してしまった人」「誰が死亡届を提出するか分からない人」
この記事のポイント:
- 死亡診断書はコピーを取っておくのが必須
- 年金の手続きなどの特別な理由があれば、死亡届記載事項証明書を発行してもらえる
- 死亡診断をした医師により、死亡診断書の再発行が可能
この記事の監修者
〈特定行政書士、ファイナンシャルプランナー(AFP)〉
36年間の公務員経験があります。任意後見人やお寺の会計監査委員(檀家代表)の活動で、人の終末や死後のお金の使い方を見ています。相続手続を通じて、十人十色の生き方から、勇気と感動をもらっています。
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死亡診断書は必ずコピーを取っておく
死亡診断書は、コピーを取っておくと便利です。枚数としては10枚程あると安心です。また、一度役所に提出した死亡診断書(死亡届)の原本は返却してもらえないので注意しましょう。
死亡診断書のコピーが必要になる理由としては、生命保険や銀行口座、遺族年金などの手続きで「死亡の事実が確認できる書類」の提出が求められるからです。そのため提出前には、コピーを取っておきましょう。
死亡の事実が確認できる書類
死後手続きや相続手続きで死亡の事実が確認できる書類を求められたときは、例として以下のものが挙げられます。
手続きによって必要な書類が異なるので、提出先に確認してから揃えましょう。
- 戸籍または除籍の全部事項証明書(謄本)・個人事項証明書(抄本)
- 死亡診断書のコピー
- 死体火葬許可証または死体火葬許可発行済証明書
- 死亡届書記載事項証明書
- 死亡の記載がある住民票の写し(除票)
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死亡届と死亡診断書は、1枚の同じ用紙に印刷されている!
出典:法務省ホームページ
「死亡届と死亡診断書って何が違うの?」と疑問に思われた方に少し説明します。死亡届とは、亡くなった方の死亡事実を戸籍に記載するために戸籍法で定められた届出書です。
死亡届と死亡診断書はA3サイズの同じ紙に印刷されており、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書となっています。
右側の死亡診断書は、死亡を確認した医師が死亡時刻、死因などを記載し作成されます。医師から死亡診断書を受け取った後、届出義務のある人が左側の死亡届に故人の名前や住所、生年月日などの必要事項を記載します。
死亡届にすべて書き終えたら役所に提出します。記載漏れや誤りがなければ受理されます。
死亡診断書と死体検案書の違い
よく耳にする「死体検案書」との違いは、大まかに言うと死亡診断書は医師が記入する書類で、検案書は警察医が記入するものです。死亡に事件性のある場合や事故、自殺などの場合は警察が検視・検案するからです。死体検案書の内容はほぼ同じで、故人の死因や死亡日時などが記されます。
この2つは同じ書式のため、様式名は「死亡診断書(死体検案書)」となっています。不必要などちらかの表記は、二重線で消されます。
死亡届の基礎知識
死亡届の提出には、期限や届出人の条件などが定められています。あらためて確認しておくと安心です。死亡届の提出期限
故人と一定の関係がある者は死亡届を提出する義務があり、その期限は死亡の事実を知った日を含め7日以内と定められています。
死亡届の届出義務がある者
故人と以下のような関係がある人は、死亡届を提出する義務があります。
- 同居の親族
- その他の同居人
- 家主、地主、家屋の管理人、土地の管理人
- 後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者
これらの者は1から3の順位で、死亡届を提出しなければいけません。つまり1に該当する人がいれば2、3にあたる人は義務者にならないということです。
また、届出義務があるのに期間内に提出しなかった場合、5万円以下の過料に処せられます。
ちなみに届出義務があるのは上記の人ですが、葬儀社が提出を代行することは問題なく、通常は葬儀社が代行で提出してくれるようです。コピーも取ってくれます。なお、葬儀社に代行しても戸籍は、例えば「【届出人】親族 鎌倉一郎」、と記載されますので安心してください。
死亡届の提出先
死亡届は、次のいずれかの土地の市区町村(市役所、区役所、役場)の戸籍課、戸籍係に提出します。
- 死亡地
- 死亡者の本籍地
- 届出人の住所地
死亡届の届出に必要なもの
- 死亡届
- 印鑑(シャチハタ以外の認印可)
- 死体火葬・埋葬許可交付申請書
死体火葬・埋葬許可交付申請書は役所の窓口に備えられている場合が多いです。その場で記入し、死亡届と一緒に提出します。
死体火葬・埋葬許可書には、火葬場所も記載することが必要です。市内に複数の火葬場がある場合、どちらかは火葬場所を手配している葬儀社以外、わからないことが多いので、死亡届の提出は葬儀社に任せてしまうのが賢明です。
死亡届が受理されると火葬許可証が発行されます。これは火葬の際必要となります。
コピーを取らずに死亡診断書を提出してしまった場合
うっかりコピーを取り忘れてしまった場合、どうすれば良いでしょうか?
死亡届記載事項証明書を発行してもらう
前述の通り、死亡届の原本を返してもらうことはできません。そのため死亡届を提出した役所か法務局で、死亡届記載事項証明書(死亡届の写し)を発行してもらう必要があります。
ただし死亡届記載事項証明書は、以下の特別な理由に該当する場合のみしか発行できません。
- 国民年金、厚生年金、共済年金の遺族年金の受給者本人からの請求(※企業年金などは含まれません)
- 郵便局の簡易生命保険金の請求(※保険金額が100万円を超えるものに限ります。民間の生命保険は含まれません)
- 婚姻、離婚などの無効の裁判の申立てをする場合
特別な理由に該当せず死亡届記載事項証明書をもらえない場合は、病院で医師に死亡診断書を再発行してもらいます。
なお、法務局に戸籍の死亡情報が通知されるのは、役所に届出後1~2ヶ月先のため、死亡後すぐに急いで手続する場合は、利用できません。しかも法務局は発行要件である「特別の理由」を厳格に運用しています。
死亡届記載事項証明書の請求にかかる手数料
役所で死亡届記載事項証明書を請求する場合、手数料がかかります。一通あたり350円です。また、法務局や地方法務局で請求する場合は手数料がかからず、無料で請求することができます。
死亡診断書を再発行してもらう
死亡診断を行った病院に申請すれば、死亡診断書を再発行してくれます。
死亡届記載事項証明書が発行できなくても、あわてずに病院に連絡しましょう。このとき提出先には、再発行が完了するまで手続きを待ってもらうようにお願いします。
また再発行を病院に依頼するときは、いつ発行できるかや再発行の料金、必要なものをあらかじめ聞いておきます。再発行には身分証明書や戸籍謄本などが必要です。
死亡診断書の再発行にかかる費用
再発行かどうかにかかわらず、死亡診断書の発行には費用がかかります。特に料金の決まりはないため、病院によって数千円~数万円となっています。
委任状が必要な場合も
死亡診断書を再発行してもらうときは、原則として配偶者か3親等以内の親族でなければなりません。それ以外の人が請求する場合は、委任状が必要です。
よくある質問
死亡診断書のコピーは、何枚くらい必要ですか?
行う手続きによって必要枚数は異なりますが、10枚程あると良いでしょう。
死亡届は返却してもらえますか?
死亡届は一度提出すると返却されません。遺族年金の手続きなど特別な理由があれば、死亡届記載事項証明書を発行してもらうことができます。
死亡届記載事項証明書がもらえませんでした。どうすれば良いですか?
死亡診断をした病院に、死亡診断書の再発行をしてもらうことができます。なお、数百円かかりますが、除籍謄本や除票を活用するという簡便な方法もあります。
この記事のポイントとまとめ
この記事では、死亡届について解説しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 生命保険や銀行口座などの手続きで必要となるため、10枚程度のコピーを取っておくとよい
- 相続手続きで求められる書類には、戸籍謄本、死亡診断書のコピー、死体火葬許可証など
- 死亡届の提出期限は死亡の事実を知った日を含めて7日以内。提出先は死亡地、死亡者の本籍地、届出人の住所地のいずれかの役所
- コピーが無く、病院で死亡診断書を再発行をお願いしたり、役所で死亡届記載事項証明書を請求すると費用がかかる
- • 死亡診断書のコピーがない場合は、除籍抄本(450円)や除票(350円)を使用すれば大丈夫
家族が亡くなったときはいろいろな手続きが発生しますから、多めにコピーを取っておくと安心です。
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