「脱ハンコ」相続手続きで押印不要になった書類は?
2020年の当時の河野行政改革担当大臣が、いろいろな手続きでのハンコを無くしていくという記者会見をしたと思います。その後、相続手続きでも押印が不要になったものはありますか?
さらに、令和3年度税制改正により相続税の申告をするときに必ず必要な書類「相続税の申告書」への押印も不要となりました。
ただし、銀行への届出印が必要であったり、従来通り、実印の押印と印鑑証明書の提出が必要な手続きもあります。
不動産登記や遺産分割協議書は引き続き押印が必要
相続税を減らす対策というと真っ先に上がる制度「配偶配偶者に対する相続税額の軽減」「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」など、相続税の特例を受ける際の添付書類として遺産分割協議書等の写しが必要な場合は、今までと変わらず押印等が必要です。
これらの適用を受けるために提出する遺産分割協議書等には、実印の押印と印鑑証明書の添付が求められているためです。
引用:国税庁「税務署窓口における押印の取扱いについて(具体的には別紙2)」
また、不動産を相続して所有権移転の登記をする際も、実印や印鑑証明書を求められるものについては押印が必要です。
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内閣府では令和2年12月18日に「地方公共団体における押印見直しマニュアル」を作成し、見直しの判断基準などを明確にして押印廃止への促進をおこなっています。
自治体ごとに押印廃止に向けて取り組んでいますので、例えば、戸籍謄本や住民票などの取得のための同じ手続きであっても市区町村によっては対応が異なる場合もあるでしょう。
また、押印廃止によって本人確認書類が必要になるケースもあるようです。まだ、「脱ハンコ」の過渡期にあるのでご注意ください。
相続手続きのデジタル化に注目
認印でおこなえる手続きについては今回の改革で見直しがなされましたが、実印と印鑑証明書の添付など、厳格に本人確認が必要な手続きについての押印は続いています。
そのため、財産に関わる相続の手続きでは、さほど便利になったという実感はないかもしれません。
しかし、さまざまな手続きのデジタル化が進むのは間違いないでしょうから、今後も制度の改正には注目しておいた方が良さそうです。
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