故人の指輪に相続税はかかる?
妹が死んだ母の指輪などを勝手に持って行っていますが、相続税とかはかからないのでしょうか?
相続税の課税対象となる財産は「現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのもの」です。
売ればお金になるような指輪、宝石なども相続税がかかるものと考え、勝手に持ち出したりはしない方が良いでしょう。
ただし、実際に相続税を申告・納税しなければならないかどうかは、相続財産の合計額や法定相続人の人数による基礎控除額などをもとに算出し、判断します。
指輪や宝石などの評価方法
相続財産を評価する際には、原則、相続や遺贈により財産を取得した時の時価で評価します(相続税法第22条)。
指輪や宝石などは、市場で取引されている価額(売買実例価額)や、専門家の鑑定による価格(精通者意見価格)を参考に評価します。
高価なもので、鑑定書や証明書があれば価値が高まる場合には専門家に鑑定を依頼しますし、低額のものは精通者の意見を参考にするなど「合理的かつ簡易な方法」で評価しても良いとされています(参考:国税庁「美術品、宝石、ブランド品等の評価」)。
実際には、その遺品の価値が数万円程度とそれほど高額ではない場合は、宝石や指輪を一つひとつ評価するのではなく、いくつかの宝石などとまとめたり、家財などと一緒に一式として、概算額で申告することが多いようです。 ▶相続財産になるもの・ならないものを一覧でわかりやすく解説形見分けも遺産分割協議の後に
形見分けとは、故人が愛用していた品物を親戚や友人に分けることです。
今回の質問でもうひとつ気になるのが、「(故人の)指輪などを勝手に持って行っている」という点です。
民法では被相続人の財産は相続開始の時から相続人のものになると定められています。相続人が複数いる場合は相続財産は共有の財産ですので、指輪は妹さんだけのものではありません。
遺言で妹さんに相続させるということが示されていない場合、指輪も遺産分割協議などで話し合って誰が相続するかを決める必要があります。遺産分割協議は相続人全員でおこなわなければいけません。
相続税の課税対象となるほど高価ではないものを故人の形見として受け取るとしても、トラブル回避のために、遺産分割協議の後にほかの相続人と相談して形見分けする方が良いでしょう。
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。