孫を養子にした相続対策は何がお得?親権はどうなるの?
孫なのに養子にすると節税になると聞きますが、普通の家庭で育った私にはピンときません。親が親権を譲ってまで、税金対策をするのは冷たいような気がします。そうまでして孫を養子にするのには、どのようなメリットがあるのですか?
現行の税法上では、孫を養子にすることで相続人が増えるので、その結果、相続税が軽減されることがあります。
孫を養子縁組することに対しての見解はさまざまです。
ここで、その是非をお答えすることはできかねますが、日本では養子制度がまだ一般的でなく、さらに、節税を主な目的とした養子縁組をすることは、専門家の間でも議論の分かれているところです。また相続税対策のみの養子縁組は税務署に否認される恐れがあります。
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▶「いい相続」無料相談の流れはこちら孫養子の一番のメリットは基礎控除額が増加し、相続税の課税対象額が減ること。
基礎控除額とは正味の遺産額(課税価格の合計額)から差し引くことのできる金額です。この金額を上回った分が相続税の課税対象額となります。逆に言うと、課税価格の合計額が基礎控除額を下回っていれば相続税はかからないのです。孫を養子にすることで相続人の人数が増えるので、基礎控除額が増えます。
基礎控除額の計算方法:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
基礎控除の他にも、配偶者以外の一人当たりの法定相続分が減ることで、相続税率も低くなるなど、法定相続人の人数は、相続税を算出するうえでとても注目される数字であり、その数が多いほど、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額が増えて節税効果が高まります。
ただし、相続の状況は個々人で違うこと、孫養子で相続人の数を増やしても、その孫養子の相続税には2割加算されるルールもあるなど、必ずしも得になることだけではありません。親族間の関係性も考えたうえで、事前のシミュレーションをすることが非常に重要です。
過度な節税目的の孫養子はNG!
平成29年、相続税の軽減を目的とする養子縁組を有効とする判断を示す最高裁判決がありました。
最高裁の判例は先例として法律解釈の規範となるのですが、「養子縁組することであからさまに度が過ぎる節税をしても良い」ことを認めたわけではありません。
このようにケース毎の判断があり、非常に難しいことであるのは間違いないのです。
また、相続税法の第63条では養子の数が相続税の負担を不当に減少させる結果になると税務署長の認めるところにより当該養子の数を参入しないで、相続及び相続税額を計算することができるとあります。
ルール内での健全な節税は全く問題ありませんが、悪質な課税逃れとみなされるようなことはやめましょう。
孫に遺産を残すために利用する養子縁組制度
自分の子どもと同様に、孫にも遺産を残したいという理由から養子縁組を選択する場合があります。
法定相続人には順位が決められており、被相続人の子ども(孫の親)が存命の場合には、孫は法定相続人にならないからです。
ただし、税法上は法定相続人の数に含むことのできる養子の数には制限があります。実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか税務上の養子にすることはできません。
孫養子は相続税が2割加算になる
孫を養子にした場合、法律上の親子関係は生じるものの、相続税は2割加算となります。相続税の2割加算とは、配偶者、両親、子ども以外の人が遺産を相続したときに相続税が2割加算されます。
養子縁組以外で孫に財産を残す方法
遺言書を作成する
遺言書を作成すれば、相続人以外の人にも財産を残すことができます。養子縁組していない孫に財産に渡したいのであれば「孫の〇〇に遺贈(贈与)する」に記載しましょう。
遺言書を作成すれば、誰にどの財産をどのくらい相続させるかも指定できます。
生前贈与する
生前贈与をすれば、相続が発生するのを待たずに贈与者と受贈者が合意したタイミングで財産を受け継げます。任意のタイミングのほか、教育資金であれば1500万円まで非課税で孫に贈与することも可能です。
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