親の財産の調べ方 財産が分からなくてもできる相続対策は?
親が高齢になってくると、医療費や介護、老人ホームや相続などお金回りのことが気になります。
しかし、いくら親子間であっても、財産のありかやどのくらいの金額があるのかと面と向かって聞きづらい方も多いでしょう。
そのような場合、どうしたら不快な思いをさせずに財産を教えてもらうことができるのでしょうか。また、相続に備える対策は、相続財産がわからなくてもできるでしょうか。
この記事では、親に財産を教えてもらう方法について説明します。お彼岸やお盆などの家族が集まるとき、みなさんで読んでほしい記事です。是非参考にしてください。
- 親の生活の変化がないか目配り気配りを
- エンディングノートを勧めるなら自分が先に書いてみる
- 子供たちだけでできる相続対策もある
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
親の財産状況を聞きづらい理由
お金のことは子供に心配かけたくないというポリシーの家で、あまり親とお金の話をしたことがない方や、さまざまな事情で親と疎遠になっている状態でお金のことを聞くのはためらわれる方もいるでしょう。
確かに、そのような環境であるのに急に財産のことを子供に聞かれたら、親の方でも、子供が心配してくれているとは理解しつつも、自分はまだまだ大丈夫、親として子供に心配かけたくない、お金のことをつまびらかにはしたくないという葛藤や抵抗感があるかもしれません。
高齢者にとってお金は自分を守るもの
若い現役世代であれば、お金は生活をするためのもの、生活を潤すものという位置づけが高いでしょう。しかし、年を重ねるとお金は自分の生活費でありつつも、心の安定・安心のよりどころとしての役割が大きくなります。
働けば収入を得られる世代とは感覚が違うので、高齢者ほど自分のものとして囲い込みたくなる傾向が強いのは理解しておきたいものです。
高齢の方で、お金を目当てに寄ってくる人がいても「お金があることが自分の価値」と割り切っていらっしゃる方もいました。
人それぞれの価値観がありますのでその是非は別として、高齢者にとってお金が自分を支えてくれる大きな存在であることは間違いないでしょう。
親の財産を聞くことは親不孝?
親にはいつまでも元気に過ごしていてほしいものですが、高齢になり様子が変わってくると、子どもは寂しさと同時に不安が大きくなります。お金や生活の援助する必要が出てくれば自分の生活にもかかわるからです。
できることなら早めに預金などの財産を教えてもらって、親が認知症になったときや動けなくなったときのための対策を取りたい、相続人としての立場からは相続するときに受け取る遺産が目減りすることを防ぐための生前対策をしたいとも思うでしょう。
しかし、財産を教えてと切り出したら、まるで親の死について考えている親不孝者と思われないだろうか・・・と口にするのを躊躇してしまうのではないでしょうか。
お金のことをタブー視せずオープンに話せる家族関係であれば積極的に相続対策をおこなえます。しかし、そうでない場合では、どうしたら親から財産状況を教えてもらえるでしょうか。
▼あなたに必要な相続手続きが一分で診断できます▼親の財産を知る方法
大切な財産の話をするにはコミュニケーションが必要です。財産の話を切り出しやすいケースや場面、方法を紹介していきます。
親との会話 介護サービスの利用方法を切り口にお金の話へ
離れて暮らしていると、親がどんな生活をしているのかを詳しく知ることは難しいでしょう。しかし、たまに実家に帰ってみるとトイレや浴室に手すりがついていたり、歩行補助の杖やカートを利用しているのを見つけるかもしれません。これらは介護サービスをつかってレンタルしたり介護保険を利用して費用を安く済ませている場合があります。
介護サービスをどのように活用しているのか、また、普段の生活での不安や不自由がないかを聞いてみましょう。もしかしたら、買い物や銀行に行くのも辛い思いをしているかもしれません。老人ホームに入りたいが財産を切り崩してよいか迷っているかもしれません。
少しずつ会話を積み重ね、健康のこと、病院のこと、介護サービスや老人ホーム、その費用やお金の管理方法など今後のお金の話ができるようにコミュニケーションを増やしていきましょう。
エンディングノートに書いてもらう
親にすすめる前に、まず自分でエンディングノートを書いてみましょう。自分が書いてみることで書き方のコツも分かり親にすすめやすくなります。書いたものを見せれば親も書き方が具体的に分かるため抵抗感が薄れるかもしれません。
実際に書いてみると、意外と書くのが大変であることがわかります。
エンディングノートは、死にまつわることがらを中心に書くよう作られてはいますが、自分が何を大切にしているのかを考え簡潔に書き出す良い機会になるため、書き終わると達成感を感じることもあり、年齢問わずおすすめです。
1冊で大事なことをまとめておくことができるのは、相続を開始したときに財産を確定したり、手続きをしたりするうえで大変役立ちます。
▶エンディングノート書き方ガイドはこちらへミスしてもいい
エンディングノートは、書き間違えたら修正液や消しゴムで消して書き直しても良いのです。
遺言のように細かい訂正のきまりもなく自由度が高いのです。大学ノートに書くのと変わらない気安いものであることを知ってもらいましょう。
完璧に書かなくてもいい
エンディングノートは、完璧に書かなくてもいいのです。
「●●銀行に●●円」などと詳しく書かず、「●●銀行」だけでもOKです。相続手続きで使う財産目録と違ってエンディングノートを元に相続税の申告をすることはないため、分かれば良い程度で大丈夫です。
何がどこにあるのか最低限のことが分かれば相続手続きはとてもラクになります。
遺言書を書いてもらう
どうしてもお金のことを子供に共有することに抵抗があるようなら、遺言書を書いて、遺言保管所に預けておいて欲しいとお願いするものよいでしょう。これなら子供に見せる必要はありません。遺産分割方法を指定することもできます。
財産の預け先などは財産目録を遺言書といっしょに作り、保管しておいてほしいと伝えます。
法的に有効となる遺言書は記載の要件が細かく決められているためエンディングノートより手間がかかりますので、遺言書の作成は行政書士などの専門家にサポートしてもらえることも伝えましょう。行政書士は国家資格なので権威性もあり、守秘義務があるので信用度は高く、しかも家族にとっては第三者なので、自分の思いを話す相手として抵抗感が低いでしょう。
もしも遺言書を書いている最中、相続税のことも検討したくなったら、税理士に相談することを伝えておきましょう。
遺言書も書きなおすことは可能です。
親の入院も財産の情報を共有してもらえる機会
入院は、親にとっても子にとっても財産をどうするかを考える大きな機会になります。現実に金銭の支払いが発生するからです。
入院費をどうするか、また、入院先に全ての財産を持っていくことができないため自宅から離れている間のセキュリティの問題もあります。
退院に備えた住居の改造の手配や、退院後の入院保険の請求手続きなどのサポートを買って出るのもよいでしょう。
お彼岸やお盆に話し合う機会をつくる
親族で集まる機会にあらたまって正式に話し合う提案するのもよいでしょう。
親子間もしくは、兄弟姉妹間など相続人の間で腹の探り合いのようになってしまいお互い疑心暗鬼になるよりは、しっかりとみんなで話し合うことができた方がいいという考え方もあります。
とくに、春分の日、秋分の日などのお彼岸、7、8月のお盆などは、祖先をうやまい、亡くなった人々を偲ぶ日なので、死にまつわることを話し合うのには抵抗が低い日と言えるでしょう。
お正月は、新年のおめでたい席ではありますが、普段会わない親戚が集まるようであれば家族の絆を感じられ、相続対策は家族の一大事、と切り出しやすい日の一つです。叔父叔母、いとこなどが協力してくれるかもしれません。
▼今すぐ診断してみましょう▼無理強いはしないこと
それでも、やはり話づらい、相続や財産の話を避けられていると感じるのであれば無理は禁物です。焦りや不安から親子関係をこじらせてしまったら元も子もありません。
事業などの相続でなければ「親のお金事情である」と自分を納得させ、相続が発生してから考えようと腹をくくって、引き続きコミュニケーションを取っていきましょう。
▼相続でのお悩みは「いい相続」へお気軽にご相談ください▼親の財産が分からないときにできる相続対策
相続財産となるものが分かっていれば節税などの踏み込んだ具体的な対策をおこなうことができますが、財産の状況が分からなくても事前に準備できることをご紹介します。
兄弟姉妹で話し合っておく
親とは話せなくても、兄弟姉妹がいればお互い相続に対してどのように考えているかを話し合っておくとよいでしょう。
家庭を持っていれば、配偶者の親の状況も関係してくるでしょうし、兄弟姉妹のうちのだれかが同居していれば、離れて暮らしている兄弟姉妹とは感覚が違うものです。
相続人同士で意識疎通が取れていれば、いざという時にトラブルになりにくく、手続きもスムーズに進められることが期待できます。
兄弟姉妹で仲が良くない場合は、第三者である専門家に手続きを依頼することも検討しておきましょう。
相続の基本を知っておく
法定相続人は誰になるのか法定相続分はどのくらいなのか、相続税はいくらからかかるのかなどは最低限知ってきたい重要事項です。
また、万一借金のようなマイナスの財産が多い場合は相続放棄という選択もあるというのも念頭に置いておきたい事項です。
自分の環境に近い相続事例集を参考にするのもシミュレーション代わりになります。▶「みんなの相続事例集」はこちらへ
不動産の確認する
相続で大変な手続きの代表的なものは不動産です。不動産登記簿は法務局で誰でも取得できます。持ち家や不動産を相続する可能性がある人は、不動産登記簿で名義が親になっているか、ローンが終わっているのかなどを確認することができます。
不動産名義の確認
不動産登記簿で家が親の名義になっているか確認することができます。相続登記が義務化されたのは2021年の4月です。その前に祖父母から親に譲り受けた家であれば、相続登記が完了していないおそれもあります。
ローンや保証債務の確認
家を買うときに住宅ローンを組んでいたり、だれかの保証債務を負っている場合、借入先が抵当権を付けていることがあります。抵当権は不動産登記簿の権利部に記載されていますので確認してみましょう。(無担保住宅ローンの場合は抵当権は設定されていません)
実家の相場を確認する
実家がある近辺で不動産が売りに出されていないか検索してみましょう。相続で実家を売却して遺産分割をすることになった場合などに売り出し価格の目安にすることができます。
また、節税で活用できそうな特例などを事前に調べておくのもよいでしょう。
他にも、耐火金庫が家にある場合は、開け方をどこかに書いておいてもらう、両親が健在な場合はどちらかを味方につけて相続の話をするきっかけを作ってもらう、などのコミュニケーションも相続対策の一つです。
▼あなたに必要な相続対策を1分で診断▼不慮の事態が起きてしまったら
病気や事故などで倒れて心の準備のできないまま親が亡くなるケースも少なくありません。そんなときに一番困るのが、何がどこにあるのか全くわからないことです。遺言書もエンディングノートもない時は、家中をくまなく探すことになります。どこか一つの場所にまとまっていれば、ある程度は見通しも立ちますが、それでも一か所に全てが置いてあるとは限りません。
普段から頻繁に実家に訪れていても、同居していたとしても、お互い財産の話をしていなければこのような事態は避けられないでしょう。
これは、高齢の親だけでなく、家族の大黒柱や、一人暮らしの兄弟姉妹なども同様に起こり得ることです。
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相続対策を始めるのにお互い気持ちよく協力し合えればそれが一番です。
親としても頑なにならず、万一のときに子供が苦労しないように銀行名などをメモでもいいので残しておきたいものです。
コロナなどの影響で帰りたくても帰れないというジレンマを抱えている人もいるでしょう、長年の確執があってなかなか素直になれない親子もいるかもしれません。相続対策をきっかけにお互いの思いを伝え合い、少しでも胸のつかえがとれたら、と思います。
いい相続では相続手続きの専門家をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
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