親が亡くなる前にやっておくこと10選|遺言書や財産目録の作成、生前整理など
親や親族との別れはいつ来るかわかりません。
実際に家族が亡くなったとき「亡くなる前にやっておいてもらえば良かった」ということが、いくつかあるようです。
鎌倉新書がおこなった「【第2回】相続手続きに関する実態調査(2024年)」では、「生前元気なうちに、相続について相談しておけばよかった」が全体の36.7%と最多になりました。
今回は、親が生前にやっておいてもらいたいことをまとめました。早めに準備してもらうことが大切です。
目次
故人の生前に「やっておけば良かった」と思うことの調査結果
鎌倉新書がおこなった「【第2回】相続手続きに関する実態調査(2024年)」では、故人の生前に「やっておけば良かった」と思うことがありますか、という問いに対しては、「生前元気なうちに、相続について相談しておけばよかった」が全体の36.7%で最多となりました。「日頃から相続についてもっと勉強しておくべきだった」が34.5%、「財産を記録しておく、通帳の置き場所を決める等まとめておいてもらえばよかった」が25.7%となりました。
生前から葬儀や相続について話しておくのは不吉だと思われるかもしれません。しかし、本人の意思を確認するためにも日頃から終活について話しておくと不安がありません。
親が亡くなる前にやっておくこと
親が亡くなる前にやってもらったほうが良いことを、以下の10つにまとめました。
- 銀行や証券の口座を集約する
- 財産目録を作成する
- 不用品を処分・換金する
- エンディングノートを作成する
- 遺言書を作成する
- 相続税の試算をしておく
- 生命保険の受取人を見直す
- お墓・仏壇を生前に購入する
- スマホやPC、デジタル情報の整理
- 死後事務委任契約を結ぶ
1.銀行や証券の口座を集約する
故人の口座の解約手続きは思っているより手間がかかります。解約手続きには戸籍謄本や印鑑証明書などの必要書類を収集し、銀行の窓口や郵送で手続きをする必要があります。仕事で忙しく必要書類を集められないこともあるでしょう。
そのため口座が複数あるとさらに手間がかかります。したがって遺族の手間を減らすためにもあまり使用していない口座は解約し、残高を集約するようにお願いしましょう。
2.財産目録を作成する
財産目録とは、その人が保有している財産の内容を一覧でまとめたものです。
財産目録に記載する事項は、土地・家屋・預貯金・上場株式・非上場株式・出資金・投資信託・債券・ゴルフ会員権・貴金属・美術品などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどの借入金もマイナスの財産としてすべて記載します。
財産目録には何の財産がどれだけ、どこにあるのかを詳しく記載しましょう。
3.不用品の整理(生前整理)
本人にとっては思い出のある大切なものでも、大量に同じ物があったりいずれ不要となるものは早いうちに整理したほうが良いでしょう。
特に記念品やメダル、トロフィーなど、罪悪感を覚えて処分しづらいかもしれません。亡くなることを見据えて、本当に大切なもの以外は整理しておきましょう。
一方で自分が亡くなっても処分してほしくないもの、形見分けしてほしいものなどはあらかじめ家族に伝えておくと、その希望通りになりやすいでしょう。
4.エンディングノートを作成する
自分の死を意識したとき、何から手を付けて良いかわからないかもしれません。まずはエンディングノートを書きながら自分の人生を振り返ることで、自分の望みがはっきりしてくるでしょう。
エンディングノートの作成にあたって決まった形式はなく、書き方も自由です。家族への思いや、終末医療についての希望などを記しておきましょう。
ただし、エンディングノートに法的拘束力はありません。エンディングノートに記載したからといって必ずしも実行されるわけではないので注意しましょう。
エンディングノートには以下のような内容を記載します。内容を追記したり修正してもかまいませんので、定期的に見直すと良いでしょう。早めに葬儀社を選定しておいたり、遺影にしたい写真を選んでメモしておくのも良いですね。
個人情報
- 氏名
- 生年月日
- 現住所
- 本籍地
- 家族構成
- 家系図
- 血液型
- 健康保険証番号
- 運転免許証番号
- マイナンバー
自分のプロフィール
- 自分史
- 思い出
- 経歴・資格
- 趣味・特技
- 性格・信念
- 親しい友人
- よく行くお店
- 好きな食べ物
- 財産の情報
- 医療・介護の希望
- 葬儀・お墓の希望
5.遺言書を作成する
エンディングノートとあわせて遺言書も作成しておくと良いでしょう。遺言書は、その形式に則って作成すれば遺産分割について法的拘束力をもちます。民法で定められた法定相続割合よりも遺言書が優先されます。
ただし形式不備があると無効となるので注意しましょう。
遺言書の形式には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」などがあります。公正証書遺言にしておけば無効となることも少なく、確実に遺言書を残すことができるでしょう。
6.相続税の試算をしておく
相続税の税率は10~55%と高く、遺族が思わぬ税負担を迫られることがあります。したがって相続税がかかりそうであれば、生前のうちに相続税の試算をおこなったり、相続対策を検討すると良いでしょう。
相続税は現金で一括納付が原則です。「先祖代々続く土地に相続税がかかるが、現金がなくて払えない」ということにならないよう、早めに対策をしておきましょう。
相続税の納付期限に遅れたり、無申告であった場合は延滞税や無申告加算税などのペナルティが課されるため注意しましょう。
7.生命保険の受取人を見直す
加入している生命保険がある場合は、受取人が誰に指定されているか確認しましょう。土地や現金などは相続財産として相続人に分割されますが、生命保険金は保険契約に基づいて受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割の対象とはなりません。
特に、以下のようなケースでは保険金の受取人を確認しておきましょう。そのままにしておくと思わぬトラブルになりかねません。
- 離婚したものの、受取人が前妻のままになっている
- 結婚前に保険を契約したため受取人が高齢の親のまま
- 保険金の受取人が既に死亡している 子や孫が生まれ家族構成に変更があった
生命保険の受取人を変更するには、保険会社へ連絡し契約者本人が変更手続きをする必要があります。
受取人は原則「配偶者または2親等以内の親族」等の決まりがありますが、孫や甥姪、内縁の妻など保険会社によって指定できる場合があるので、保険会社に相談してみてください。
8.お墓・仏壇を生前に購入する
お墓や仏壇は相続税法上、祭祀財産として非課税財産になります。そのため、自分の財産でお墓を購入しておくことによって、相続税の課税対象となる相続財産を減らしておくことができます。
亡くなった後に購入しても非課税とはならないので、あくまで生前に購入しておく必要があります。ただし、金の仏具など貴金属や骨とう品として価値のあるものは対象外となります。
また、生前のうちに自身の葬儀やお墓について決めることで、自身の望む形で最期を迎えることができます。「葬儀は家族だけでおこなってほしい」「新しいお墓を建てたい」など希望がある場合は、早めに伝えて準備しておきましょう。
9.スマホやPC、デジタル情報の整理
デジタル化が進む昨今、目に見えないデジタル財産についても生前の整理が必要となります。デジタルの財産はIDやパスワードがないと情報にたどりつけません。
SNSやネット銀行口座、サブスクリプションの解約など、残された遺族が困らないように整理しておくことが望ましいです。10.死後事務委任契約を結ぶ
親が亡くなったとしても、自分が海外にいたり、他の相続人と疎遠などの理由で相続手続きができないという場合もあるかもしれません。
そういうケースに備えて、生前のうちから死後事務委任契約を結ぶ人もいます。死後事務委任契約とは、自分の死後に発生する事務を信頼できる人に委任する契約のことです。
葬儀の手続きや相続関係のやり取り、自宅の整理やインターネットの解約手続きなどを依頼することができます。依頼相手に資格などは必要ないので、行政書士や司法書士、信頼できる知人などに依頼することもできます。
まとめ
今回は親が亡くなる前にやってもらいたいことを10個にまとめました。高齢化が進んでいる現代においては、親自らが積極的に終活を進めることが重要です。また、親の気持ちを聞きながら終活を進めることができるため、相続トラブルも少なくなるでしょう。
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