相続放棄申述受理通知書の取得方法から使い方、相続放棄申述受理証明書との違いまで全解説【見本付き】
相続財産には借金などのマイナスの財産があります。もし、プラスの財産よりマイナスの財産が多かった場合、「相続放棄」を選択するのも一つの方法です。
相続放棄の申述が受理されると届くのが相続放棄申述受理通知書。これはどういった書類なのでしょうか、また何か手続きに使うことができるのでしょうか。
この記事では、「相続放棄申述受理通知書」について見本も掲載してわかりやすく説明していきます。
この記事はこんな方におすすめ:
「相続放棄申述受理通知書について知りたい人」
この記事のポイント:
- 相続放棄申述受理通知書は、相続放棄したことの証明になる
- 相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書は取得方法や取得できる人、再発行できるか等が異なる
- 相続放棄申述受理証明書は相続人が相続放棄をしてから30年は発行の申請ができる
相続放棄申述受理通知書とは?
相続人が家庭裁判所で相続放棄の手続きをおこない、裁判所がこれを受理すると、家庭裁判所から相続放棄を行った人に受理したことを通知する書類が届きます。これが相続放棄申述受理通知書です。
相続放棄申述受理通知書は、家庭裁判所が受理されたら送付されますので、これを債権者などに提示すれば、相続を放棄した事実を明らかにすることができます。
▼依頼するか迷っているなら、まずはどんな手続きが必要か診断してみましょう▼相続放棄申述受理通知書の見本
以下は相続放棄申述受理通知書の見本です。裁判所によって書式は異なりますが、内容は概ね同じです。
相続放棄申述受理通知書はどのくらいで届くのか
家庭裁判所へ相続放棄申述受理申立の後、1〜2週間で相続放棄照会書・回答書が届きます。
この相続放棄照会書・回答書を送付してから、1週間〜10日ほどで相続放棄申述受理通知書が届くことが多いです。
つまり、相続放棄の申述をしてから約1ヶ月くらいかかることになります。
▼今すぐ診断してみましょう▼相続放棄申述受理通知書は何に使う?
相続放棄申述受理通知書は、主に、次の2ついずれかの目的のために必要となります。
- 自分が相続放棄をしたことの証明のため
- 自分以外の相続人が相続放棄をしたことの証明のため
1.自分が相続放棄をしたことの証明のために使う
次のようなケースでは相続放棄をしたことの証明を求められることがあります。
- 相続人が不動産の相続登記をするとき
- 相続放棄後に被相続人の債権者から債務の弁済を求められた場合
- 被相続人の不動産の固定資産税や滞納していた税金の納税通知書が届いた場合
相続人が不動産の相続登記をするとき
相続財産の中に不動産があり、相続した人の名義に変更するときに証明書を求められる場合があります。相続放棄受理通知書で相続放棄受理証明書に代えることができます。
相続放棄後に被相続人の債権者から債務の弁済を求められた場合
亡くなった方(被相続人)に債務があったとしても、相続人が相続放棄をした場合は、これを支払う義務がなくなります。
相続放棄をしたにもかかわらず、相続債権者(被相続人の債権者)が、相続人に対して債務の弁済を求めてきたときには、相続人は、相続放棄申述受理通知書を提示し、相続を放棄したことを証明することで弁済を拒むことができます。相続放棄申述受理通知書には、相続放棄した事実を証明する効力があります。
通常は、相続放棄申述受理通知書を提示するか、提出するとしてもコピーで十分ですが、原本の提出を求められる場合もあります。
相続放棄申述受理通知書は1通しか発行されないため、原本が複数必要になった場合は、相続放棄申述受理証明書を取得しなければなりません。
被相続人の不動産の固定資産税や滞納していた税金の納税通知書が届いた場合
被相続人が税金を滞納していた場合に、亡くなった後に法定相続人のところに納税通知書が届くことがあります。
相続放棄をした場合は、これらの税金を納める義務はありませんが、役所に対して相続放棄をしたことを証明しなければなりません。
役所の窓口で相続放棄申述受理通知書を提示することで、相続放棄をしたことを証明することができます。なお、役所によっては、相続放棄申述受理証明書の提出が必要となる場合もありますので事前に確認しましょう。
2.自分以外の相続人が相続放棄をしたことの証明するために使う
自分以外の相続人が相続放棄をしたことの証明は、主に、相続した預貯金の払い戻し、不動産の相続登記、自動車の移転登録のように、相続財産の取得するための手続きにおいて必要となります。
法定相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、相続手続の際にそのことを証明する書類の提出を求められます。
この場合も、通常は、相続放棄申述受理通知書のコピーで対応できるので、通知書のコピーを受理された申述者からもらっておくとよいでしょう。
通知書のコピーをもらえない場合は、相続放棄申述受理証明書を取得して対応します。
ただし、銀行によっては、通知書のコピーでは不可で相続放棄申述受理証明書の原本の提出を求められることもありますので事前に確認しましょう。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書の違い
相続放棄申述受理通知書と似た書類に、相続放棄申述受理証明書があります。
相続放棄申述受理通知書は、相続放棄した人に家庭裁判所が受理したことを通知する書類なので相続放棄の手続きを行えば自動的に送付されるので無料です。
一方、相続放棄申述受理証明書は、相続放棄したことを証明する書類なので家庭裁判所に交付申請をしなければ発行されず申請するときに費用がかかるという違いがあります。証明書一通あたり150円の手数料がかかります。
また、相続放棄申述受理通知書は申述した人に通知する際の一度しか発行されず、再発行もできませんが、相続放棄申述受理証明書は、何度でも発行でき、申述した人以外でも一定の利害関係がある者であれば、家庭裁判所にその発行を求めることができます。
相続放棄申述受理通知書も相続放棄申述受理証明書も、相続放棄の申述が受理されたことを証明する書類であるという点は共通しています。
これらの違いを早見表にまとめました。
相続放棄申述受理 通知書 |
相続放棄申述受理 証明書 |
|
---|---|---|
取得できる人 | 申述者※1 | 申述者以外でも可※2 |
取得方法 | 自動的に送付され無料 | 交付申請が必要で有料 |
複数の発行や再発行 | できない | できる |
※1裁判所が認めるときは送達受取場所として弁護士事務所や他の相続人などを指定できる
※2一定の利害関係がある者
相続放棄申述受理証明書の取得方法
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄の申述をした本人、もしくは一定の利害関係がある人が家庭裁判所にその発行を求めることができます。
「相続放棄申述受理証明申請書」に必要事項を記載して、家庭裁判所に提出します。
相続放棄申述受理証明書の申請は、本人による申請が原則のため本人確認書類(運転免許証や住民票等)の提示を求められます。
「相続放棄申述受理証明申請書」は裁判所のホームページから入手することもできますので書き方や注意点と併せてご確認ください。
▶相続放棄申述受理証明申請書についてもっと詳しく知りたい方はこちらへ
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相続放棄は、主に遺産がプラスの財産の総額よりも借金やローンなどのマイナスの財産の総額が大きい場合に行われます。
そのため相続放棄をすべきかどうかを判断するためには、プラスの財産と債務のどちらが大きいかを調査しなければなりません。
万一、あとからプラスの財産が発見されたとしても、相続放棄の申述が受理された後にこれを撤回することはできませんので慎重に判断しましょう。
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