相続放棄しても生命保険金はもらえる?入院給付金や県民共済についても解説
相続放棄を検討する際に気になるのが、相続放棄をしても生命保険金(死亡保険金)を受け取れるかということでしょう。
相続財産をすべて放棄すると言っても、できるなら保険金はもらいたいですよね。
そこで、この記事では、この点について、その場合にかかる税金についても併せて、わかりやすく説明します。
また、生命保険金のほかにも、相続放棄をしても受け取れる財産と、相続放棄をすると受け取れなくなってしまう財産を解説します。是非、参考にしてください。
目次
相続放棄をしても基本的に生命保険は受け取れる
相続放棄をしても、基本的には、生命保険金を受け取ることができます。
被相続人(亡くなった人)を被保険者(保険が掛けられている人)とすると、保険金の受取人になるのは、特定の人、相続人、被相続人の3パターンとなります。
受取人が特定の人、相続人の場合
相続人が受取人となると約款等で定められている場合については、受取人となるべき相続人が相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。
なぜなら、生命保険金は受取人固有の財産であるため、相続財産ではないからです。
受取人が被相続人の場合
しかし、被相続人自身が受取人となっている場合、相続放棄をした相続人は生命保険金の受取人にはなれません。
なぜなら保険金請求権は被相続人に帰属するので相続財産となり、これを相続人が相続することによって、相続人が保険金請求を行使することができるようになります。 したがって、相続放棄をした相続人は、保険金請求権がないことになります。
▼何をすればいいか迷っているなら、今すぐ調べましょう▼受け取れる生命保険金と受け取れない生命保険金
相続放棄をして、受け取れる生命保険金と受け取れないものがあります。
受け取れる生命保険金
- 「受取人=相続放棄をした人」と指定されているもの
- 受取人指定はないが「法定相続人=受取人」と約款等に定められているもの
受け取れない生命保険金
- 医療保険の入院給付金などで受取人が亡くなった人自身となっているもの
- 亡くなった人が契約者のみに該当する生命保険の解約返戻金
生命保険金にかかる税金
生命保険金を受け取ったとき、相続税が課せられる場合、贈与税が課せられる場合、所得税と住民税が課せられる場合の3つのパターンがあります。 被保険者、保険料の負担者および保険金受取人がそれぞれ誰かによって、課せられる税金の種類が異なります。
被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | B | B | 所得税、住民税 |
A | A | B | 相続税(満期の場合は贈与税) |
A | B | C | 贈与税 |
入院給付金
入院給付金は怪我や病気によって入院した場合に保険会社から支払われるお金です。「1日あたり1万円など」入院日数に応じて支払われる契約が一般的です。
相続が発生する際、何日かの入院期間を経て死亡するケースも多いです。このとき、入院給付金と生命保険金が同時期に入金されても、この2つは税務上の取扱いが異なります。
「受取人=被相続人」の入院給付金は相続財産となり、相続税の対象となります。ただし、後述する「みなし相続財産」として非課税枠が設けられている死亡保険金とは異なり、入院給付金に相続税の非課税枠はありません。
被相続人の配偶者や子など、入院給付金の受取人が「被相続人以外」とされている場合は、仮に相続発生後に入金されたとしても相続税の課税対象とはなりません。入院によって支払われる受取人固有の財産とされます。
▼あなたに必要な相続手続き、ポチポチ選択するだけで診断できます!▼県民共済
都道府県民共済とは、消費生活協同組合法に基づいて設立されている非営利の生活協同組合です。都道府県の許可のもと、消費者の利益を守るための活動をおこなっています。
県民共済は保険業務を取り扱っており、低額の掛け金で比較的手厚い補償を受けることができます。
県民共済を相続した際の相続税については、他の保険会社の生命保険金と同様です。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼相続放棄すると生命保険金の非課税枠がなくなる
受取人が相続人の場合、保険金のうち一定額までは非課税となります。しかし受取人が相続放棄をした場合は、相続人ではなくなるため、非課税枠の適用が受けられなくなります。
生命保険金の非課税枠 500万円×法定相続人の数
なお、相続放棄をした人がいた場合でも、その人も非課税限度額の計算の基礎となる法定相続人の数に含めます。
▼何をすればいいか迷っているなら、今すぐ調べましょう▼相続放棄しても受け取れるもの、受け取れないもの
相続放棄をしても受け取れるものと、相続放棄をすると受け取れないものの違いは、相続財産に含まれる(=被相続人の財産)かどうかです。 相続財産に含まれるものは、相続放棄をすると受け取れませんし、含まれないものは、相続放棄をしても受け取れることができます。受け取れるもの
- 生命保険金(受取人が被相続人の場合を除く)
- 葬祭費、埋葬料、埋葬費
- 遺族年金、死亡一時金
- 未支給年金
- 死亡退職金
- 高額医療費の還付金
受け取れないもの
- 被相続人が受取人となっている保険金全般(入院保険、傷病保険、生命保険金等)
- 税金、保険料、年金等の還付金
まとめ
今回は、相続放棄した場合の生命保険金について解説しました。相続放棄の手続きが受理されると、原則として撤回はできません。専門家に一度相談するなど、よく検討してから手続きをおこないましょう。
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