死亡した人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の取り方、出生から死亡までのすべてを取り寄せる方法【行政書士監修】
身近な人が亡くなったときに、相続手続きでは、死亡した人の戸籍謄本が必要になるケースがとても多いのです。
役所に行って戸籍謄本を請求しようとすると、請求用紙には「戸籍全部事項証明書」と記載されているため「これでいいのかな・・・?」と一瞬迷う方もいるのでは?
戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じものです。データで戸籍を管理するようになって以降は、戸籍全部事項証明書というようになったからですが、「戸籍謄本」と表現されることが未だに多いのです。
この記事では、死亡した戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の取り方について、詳しく、そして、わかりやすく説明します。是非、参考にしてください。
「相続手続きで戸籍謄本を収集したい方」「戸籍謄本の種類や取り寄せ方を知りたい方」
この記事のポイント:
- 相続手続きでは故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要になることが多い
- 戸籍には、戸籍謄本・戸籍抄本・除籍謄本・改製原戸籍など色々な種類がある
- 郵送でも戸籍を取ることができる
この記事の監修者
〈行政書士・日商簿記・登録2級建設業経理士〉
相続は、ご家族・ご親族に不安や悩みが伴います。弊所では、予防法務である遺言手続きを組み合わせて、お客様に寄り添って、簡潔かつわかりやすい説明・提案を行う伴走支援を心がけております。
▶行政書士法人近藤事務所
目次
死亡した人の戸籍謄本はどんなときに必要?
死亡した人の戸籍謄本が必要となる手続きには次のものがあります。
このうち、1と2の手続きでは、死亡の記載がある戸籍謄本のみで足りますが、3〜8の手続きでは、出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要となります。
出生から死亡までの連続した戸籍謄本の取り方は、まず、死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を取り、次に、戸籍謄本等には前の戸籍の情報が記載されているので、それを元に戸籍を一つ一つ遡り、出生の記載がある戸籍に辿り着くまで繰り返します。
詳しい取得方法については、後述します。
相続税申告書に添付する戸籍謄本については、平成30年4月1日以降は、原本ではなくコピーでも認められるようになりました。
戸籍謄本が多く必要になる場合とは
故人の出生まで遡って戸籍を収集するだけでも大変なのですが、代襲相続がある場合や、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、さらに多くの戸籍謄本が必要になります。
代襲相続とは、相続人となるべき者(被代襲者)が、相続開始以前に死亡しているときや相続欠格または廃除により相続権を失ったときにおいて、その被代襲者の直系卑属(代襲者)が被代襲者に代わって、その受けるはずであった相続分を相続することをいいます(代襲相続についてわかりやすい記事はこちら「おひとりさまが甥や姪に財産を残したいと思ったら。相続と贈与どっちになる?贈与税は?」)。
代襲相続がある場合は、被代襲者の出生から死亡まで(死亡していない場合は現在まで)の戸籍謄本と、代襲者全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
また、兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼戸籍謄本の種類と違い
戸籍謄本には、いくつかの種類があります。戸籍謄本について理解するうえで前提知識として知っておいた方がよいでしょう。
戸籍謄本と戸籍全部事項証明書の違い
上の図は、戸籍全部事項証明書の見本です。
まず、現在、「戸籍謄本」と呼ばれている書類は、正確には戸籍謄本ではなく、「戸籍全部事項証明書」であることが多いです。
以前は、戸籍謄本を交付するときには、戸籍簿という帳簿から戸籍原本を取り出して、それを謄写(コピー)して、戸籍謄本として交付していました。
しかし、現在は、ほとんどの自治体で(戸籍は市区町村ごとに管理しています)、戸籍事務がコンピュータ化されており、戸籍原本を謄写して謄本を作成する必要はなくなりました。
2018年時点で、全国1,896の自治体のうち、4の自治体を除く1,892の自治体で、戸籍事務がコンピュータ化されています。
戸籍事務がコンピュータ化されている自治体では、コンピュータから戸籍の内容を出力して、戸籍全部事項証明書として交付します。
両者の間の記載内容にはほとんど違いはありません。
通常、「戸籍謄本」といったら、「戸籍謄本」または「戸籍全部事項証明書」のことを指します。相続手続きで戸籍謄本の提出を求められた際に、戸籍全部事項証明書を提出しても、まったく問題はありません。
戸籍謄本と戸籍抄本の違い
戸籍謄本とは、戸籍原本の記載内容の全部をそのまま謄写したもののことをいいますが、戸籍抄本とは戸籍原本の一部を抜き書き(抄写)したもののことをいいます。
つまり、戸籍の全員が記載されているものが戸籍謄本で、一人分だけ記載されているものが戸籍抄本です。
また、戸籍事務をコンピュータ化している自治体では、戸籍抄本のことを「戸籍個人事項証明書」または「戸籍一部事項証明書」といいます。
除籍謄本とは?
養子縁組、婚姻、離婚、分籍、転籍、失踪宣告、死亡等があると、その人は、そのときに記載されていた戸籍から除籍されます。
戸籍に記載されている人の全員が除籍されると、その戸籍は戸籍簿から消除(戸籍の改製や除籍によって消えること)され、除籍簿に移されます。
このようにして除籍簿に移された戸籍の謄本のことを除籍謄本といいます。また、除籍簿に移された戸籍の抄本のことは、除籍抄本といいます。
なお、死亡等によって戸籍に記載されている人が除籍されても、その戸籍に除籍されていない人も記載されている場合は、その戸籍は消除されず、依然として戸籍簿にあるので、その戸籍の謄本は除籍謄本ではなく戸籍謄本であり、その戸籍の抄本は除籍抄本ではなく戸籍抄本です。
また、戸籍事務がコンピュータ化された自治体では、除籍謄本は除籍全部事項証明書、除籍抄本は除籍個人事項証明書(除籍一部事項証明書)として交付されます。
相続手続きでは、「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本」を求められることがありますが、この戸籍謄本には、除籍謄本も含まれており、多くのケースでは、戸籍謄本だけでなく、除籍謄本も必要になります。
改製原戸籍謄本とは?
省令等によって、戸籍の様式が改製(変更)されることがあります。これまでに2回、戸籍の改製が行われました。
直近のものは、戸籍事務のコンピュータ化に応じた改製です。
コンピュータ化済みの自治体で戸籍謄本を請求すると、改製された戸籍全部事項証明書が交付されます。
しかし、前述の通り、相続手続きでは、「亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本」が求められることがあり、その場合は、改製前の戸籍を辿って、戸籍を遡っていく必要があります。
その改製前の戸籍のことを改製原戸籍といい、その謄本のことを改正原戸籍謄本といいます。
「かいせいげんこせき」と読みますが、「げんこせき」と言うと、現在の戸籍という意味の「現戸籍」と混同するので、それを避けるために「はらこせき」と言う人もいます。
改製原戸籍の見方や取り寄せ方は「原戸籍謄本と戸籍謄本との違い」を参照してください。
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死亡が戸籍に反映されるのはいつ?
手続きでは、死亡したことが記載されている戸籍を求めることが多いです。
死亡届を提出してから、戸籍に反映されるまでの期間は、どこの役所に死亡届を提出したかによって異なりますが、本籍地に提出した場合は約1週間、その他の役所に提出した場合は約2週間かかります。
死亡届は、死亡した人の本籍地の役場に提出した方が、戸籍に死亡したことが反映されるまでの期間が短くて済みます。
また、死亡したことの反映されると戸籍謄本上で、亡くなった方の「戸籍に記載されている者」に「除籍」と記載されていることで確認できます。
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死亡した人の戸籍謄本の取り方
戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得することができます。
本来の市区町村役場でなくとも、支所や出張所(「総合行政センター」「市民サービスセンター」という名称の場合もあります)でも取ることができます。
また、郵送で取り寄せることもできますし、コンビニで取ることができる自治体もあります。
自治体がコンビニ交付に対応しているかどうかは、総務省自治行政局住民制度課の「コンビニ交付」のウェブサイトの「利用できる市区町村」のページで確認することができます。
なお、コンビニで取ることができる戸籍謄本は自分が記載されているもののみです。
自分が記載されていない戸籍謄本や、自分が記載されていても除籍謄本や改正原戸籍謄本はコンビニで取ることはできません。
戸籍謄本を取れる人
本人、配偶者、直系血族
戸籍謄本を取ることができるのは、原則としては、その戸籍に記載されている人、戸籍に記載されている人の配偶者、戸籍に記載されている人の直系血族(祖父母、父母、子、孫など)です。
配偶者や直系親族が取る場合は、戸籍に記載されている人の続柄が確認できる戸籍謄本等の資料が必要ですが、その自治体にある戸籍で確認できる場合は役場の方で確認してくれるので用意する必要はありません。
本人、配偶者、直系血族以外は委任状が必要
また、配偶者や直系血族以外でも、正当な理由がある場合や、戸籍を取ることができる人の委任状がある場合は、戸籍を取ることができます。
例えば、遺産分割協議や相続手続きのために兄弟姉妹の戸籍謄本を取る場合は、正当な理由があると認められるでしょう。
戸籍謄本の請求書(申請書)に請求理由を記載して、それを証明するための資料を添付します。
請求理由は、戸籍謄本を相続手続きに利用する場合は、戸籍謄本の提出先を具体的に記載すると認められやすいでしょう。
そして、添付資料としては、被相続人(亡くなった人)の死亡が確認できる戸籍謄本や、自分が相続人であることが確認できる戸籍謄本があるとよいでしょう。
添付資料は、申請先の自治体にある戸籍で確認できる場合は不要です。
また、行政書士や司法書士等の専門家等に戸籍謄本の収集を依頼する場合も委任状を書かなければなりません。
専門家に依頼する場合は、専門家の方で委任状の書式を用意してくれるでしょう。
ない場合は、どこか自治体の書式を利用しても自分で作成しても大方の場合は問題ないと思います。
▼士業に戸籍収集を頼みたい方はこちらへ▼戸籍謄本を取るための費用
戸籍謄本をとるために必要な手数料は、戸籍謄本が1通450円です。除籍謄本と改製原戸籍謄本は1通750円です。
役場の窓口で取る場合は現金払い、郵送で取り寄せる場合は無記入の定額小為替を同封して支払います。
定額小為替は郵便局で購入できます(コンビニでは購入できません)。
戸籍謄本を取るのに必要な書類
戸籍謄本を取るのに必要な書類について、窓口で取る場合と、郵送で取り寄せる場合とに分けて説明します。
なお、取得する戸籍に記載されている人以外の人が請求する場合は、以下で説明する書類以外に、前述の添付資料が必要になることがあります。
窓口で取る場合
- 請求書(役場に用紙があります)
- 印鑑(認印可)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(個人番号カード)、写真付き住民基本台帳カード、身体障害者手帳、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書のうち、いずれか1点)
- 手数料
郵送で取り寄せる場合
戸籍謄本を郵送で取り寄せる場合は、次のものを同封して請求します。
なお、前述の通り、取得する戸籍に記載されている人以外の人が請求する場合は、以下の書類以外に、添付資料が必要になることがあります。
添付した資料の還付を求める場合は、その旨を付箋等に書いておくとよいでしょう。
- 請求書(ウェブサイトで用紙をダウンロードできる自治体が多い。消せるボールペンや鉛筆は使用不可)
- 本人確認および現住所確認書類のコピー(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード(個人番号カード)、写真付き住民基本台帳カード、身体障害者手帳、在留カード等のうちのいずれか1点。現住所の記載が裏面にある場合は裏面のコピーも必要)
- 手数料分の定額小為替
- 返信用封筒(住所氏名を記入し切手を貼付。住所は請求者の現住所でなくてはならない)
戸籍謄本1通であれば返信用封筒は長形3号(A4サイズの紙を三つ折りで入れるくらいの大きさ)を折って入れるとよいでしょう。
返信用封筒に貼付する切手は、1通の請求であれば84円(25g以内A4用紙4枚程度)ですが、枚数などが多くなりそうなら、140円(100グラム以内A4用紙16枚程度)以上にしておきましょう。
切手が不足すると、管轄外の郵便局の場合は、受取人に請求されるため自分で払うのでよいのですが、同じ管轄内の郵便局だと差出人の役所に戻ってしまい、手間がかかってしまいますので注意しましょう。
コンビニエンスストアで取り寄せる場合
相続人の戸籍謄本を準備することも多いのですが「コンビニ交付」が利用できる自治体であれば活用できます。
ただし、亡くなった人と同じ世帯だった人や同じ戸籍の人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)については、コンビニ交付で証明書を発行できない期間があります。死亡届の提出日から1週間程度経ってからでないと、亡くなった方が「除籍」となった旨が反映されないからです。その点を注意しながら活用しましょう。
操作は、コンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機で、案内に従って操作をします。
その際、住民基本台帳カードや、マイナンバーカード(個人番号カード)が必要です。持っていない方は郵送か窓口で取り寄せましょう。
また、改製原戸籍や昔の除籍謄本をコンビニで発行することはできません。
▼めんどうな戸籍収集は行政書士に依頼しましょう▼出生から死亡までの戸籍謄本の取り方
遺産分割協議や相続手続きのときに、相続人を確定させるため、死亡した人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等が必要になります。
取り方としては、まず、死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を取ります。
戸籍謄本等には、前の戸籍の情報が記載されているので、それを元に戸籍を一つ一つ遡り、出生の記載がある戸籍に辿り着くまで繰り返します。
被相続人の戸籍謄本は被相続人の本籍地で取れます。
被相続人の本籍地が不明な場合、住所が分かっている場合は、本籍地入りの住民票で本籍地を確認することができます。
住所も不明な場合は、自分の戸籍謄本から被相続人の戸籍が分かります。
自分の現在の戸籍に被相続人について記載がない場合は、自分の過去の戸籍を遡っていくと、必ず被相続人の記載がぶつかります。
まず、自分の戸籍とつながった被相続人の戸籍を取り、そこから前の戸籍と次の戸籍の両方が確認できるので、その戸籍を糸口に、出生から死亡までの戸籍謄本を揃えることができます。
一つの自治体で出生から死亡までの戸籍が揃うとは限らない
なお、一つの自治体で出生から死亡までの戸籍が揃うとは限りません。
被相続人の本籍地が市区町村をまたいで移動している場合は、移動前の自治体で同じように可能な限り戸籍を遡り、また、別の自治体に移っていたら、同じことを繰り返します(なお、同じ政令指定都市内であれば行政区が異なっていても取得可能)。
窓口で出生から死亡までの戸籍謄本を取りたいことを伝えるのも手
なお、戸籍を取る際の請求書には、出生から死亡までの戸籍謄本を取得するという項目がないことがほとんどなので、窓口で取る場合は、職員に、出生から死亡までの戸籍謄本を取りたいことを伝えるとよいでしょう。
そうすると、その自治体で取ることができる限界の戸籍まで遡ったうえで、次はどこの自治体で取ればよいかを教えてくれます。
郵送で取り寄せる場合の方法や費用
郵送で取り寄せる場合は、請求書の余白に(余白がない場合は付箋でも構いません)「被相続人○○○○(昭和○年○月○日生、平成〇年〇月〇日死亡)の相続手続きのため、出生から死亡までの戸籍が必要です。」等と記載します。
請求書の用紙に戸籍謄本や除籍謄本についての通数の記入欄があることが多いのですが、そのような欄には何も記入しなくて構いません。
その自治体で戸籍をいくつ遡ることになるかは、戸籍謄本を取ってみなければ分からないので、記入のしようがないためです。
定額小為替についても、送付する時点では、必要な金額が分からないので、多めに入れておきます。
450円を1枚と750円を5枚ほど入れておくとよいのではないかと思います。
余った分は取得した戸籍謄本と一緒に戻してくれます。足りない場合は、追加で送らなければなりません。
戸籍を取り寄せたい役所へ事前に電話で相談すると、定額小為替がいくら必要が教えてくれるところもあります。
また、古い戸籍は手書きなので、読めないことがあります。
そのような場合は、役場の窓口に戸籍謄本を持参して尋ねると教えてもらえます。遠方で行くことが難しい場合は、電話でも構いません。
本籍地と戸籍筆頭者と読めない箇所を伝えると調べてももらえることが多いです。なお、その戸籍の本籍地ではない役場で尋ねても、調べてもらえないでしょう。
また、戦争や災害等で、戸籍が焼失・紛失していることがあります。
その場合は、その戸籍を飛ばして、その前の戸籍を取得します。焼失・紛失した戸籍の前の戸籍は、身分事項に記載された情報から当たりを付けることができます。
詳しくは、役場か行政書士等の専門家に相談するとよいでしょう。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼戸籍謄本を何通も取らなくて済む2つの方法
家族が死亡した後は、戸籍謄本を使ってさまざまな手続きを行います。銀行口座の名義変更のために銀行に提出したり、土地名義の変更のために法務局に提出したり、また自動車の名義の変更時にも使います。戸籍謄本は果たして一式揃えただけで本当に足りるのでしょうか。
戸籍謄本等は、相続手続きごとに必要になるため、名義変更等の手続きが必要な財産がいくつもある場合、手続きの数の分の戸籍謄本等を用意しなければならず、取得費用がかさんでしまいます。
このような場合、原本還付や、法定相続証明情報制度を活用するとよいでしょう。
1.原本還付を受ける
戸籍謄本等のコピーを提出することで、原本の還付を受けることができます。
一般的には、原本を還付してもらいたい書類のコピーに、「原本と相違ない」旨を記載のうえ、申請者の記名押印をします。
この押印に用いる印は、申請書に押印したものと同じものでなければなりません。
戸籍謄本だけでなく、住民票、住民票の除票、遺産分割協議書、印鑑登録証明書等の原本還付にも使えます。
原本還付を受けたい書類が複数枚ある場合は、そのすべてに「原本に相違ない」旨の記載と申請者の記名押印をするか、コピーをステープラー(ホチキス)等で綴じて、一番上の書類にだけ「原本に相違ない」旨の記載と記名押印をして、他の書類には契印をする方法があります。
提出先がコピーを取って返却してくれるケースもありますので、窓口で確認してみましょう。
2.戸籍謄本の代わりになる法定相続証明情報を活用する
平成29年5月29日に「法定相続証明情報」制度が始まり、そのおかげで謄本を何枚も取り寄せずに済むようになりました。現在では謄本一式を法務局に提出すると、法定相続証明情報を受け取ることが可能です。法定相続証明情報は戸籍謄本の代わりに各機関に提出可能なので、これを利用すれば相続時の手続きが簡単に行えるのです。
法定相続情報一覧図とは、法定相続人が誰で各法定相続人は被相続人とそれぞれどのような間柄なのかという情報を一覧化した図のことです。
法定相続情報一覧図の写しを提出した場合は、原本すら提出不要です(法定相続情報一覧図の作成時に戸籍謄本等が必要なので、戸籍謄本等自体がまったく不要になるわけではありません)。
相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い
法定相続情報一覧図と似たものに、相続関係説明図があり、次のような違いがあります。
- 相続関係説明図は公的な制度にのっとったものではありませんが、法定相続情報一覧図は法定相続情報証明制度という公的な制度にのっとって作成されます。
- 相続関係説明図は記載すべき事項が比較的あいまいですが、法定相続情報一覧図は比較的しっかりと決められています。
相続関係説明図については「相続関係説明図って?作成方法や法定相続情報一覧図との違いも解説」を、法定相続情報一覧図については「法定相続情報一覧図(法定相続情報証明制度)どんな手続きに利用できる?流れや費用を解説【行政書士監修】」をそれぞれご参照ください。
▼相続手続きは一人で悩まず専門家に相談しましょう▼
この記事のポイントとまとめ
以上、死亡した人の戸籍謄本の取り方について説明しました。
この記事のポイントは以下のとおりです。
- 死亡した人の戸籍謄本が必要な手続きは、健康保険の埋葬料や葬祭料の申請、遺族年金の申請、相続放棄または限定承認の申述の申立て、預貯金の払戻し・名義変更、相続登記、有価証券の名義変更、自動車の移転登録、相続税の申告などです。
- 出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得するには、死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を取り、それを元に戸籍を一つ一つ遡って出生の記載がある戸籍に辿り着くまで繰り返します。
- 戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で取得するか郵送で取り寄せます。
- 戸籍謄本の多重取得を避ける方法として、原本還付を受けるか、法定相続証明情報を活用する方法があります。
相続手続きは、戸籍謄本を集めるだけでも大変です。専門家に依頼することも検討してみるとよいでしょう。
▼依頼するか迷っているなら、まずはどんな手続きが必要か診断してみましょう▼▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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