相続財産が不動産のみ | 遺産分割協議書の書き方と記載例
親が亡くなって遺産を相続することになったものの、経済的価値のあるものが不動産のみということもあります。
この記事では、そのような場合の遺産分割協議書の書き方について説明します。その不動産について登記簿のとおり正確に記入する必要があるので、間違えないように注意しましょう。
また記事では、遺産分割協議書を作成した後の不動産登記の流れについても説明します。不動産登記は義務化が決定しているので、早めに手続きを行いましょう。
不動産に関する遺産分割協議書作成のポイント
相続財産が不動産のみ、という場合でも遺産分割協議書は作成したほうが良いでしょう。遺産分割協議書は遺産分割協議の内容を証明するものですし、トラブルを避けるうえで重要です。
誰がどの遺産を相続するかを明確にする
遺産分割協議書を作成するときに最も大切なことは、「誰が」「どの財産を」相続するかを明確に記載するということです。
そのため相続人ごとに、その相続人がどの財産を相続するかを記載していくのが一般的です。相続財産が不動産のみの場合でも、誰が相続するか正確に記載しましょう。
不動産の分割に関する記載方法
不動産の遺産分割に関しては、どの不動産を分割するかについて、登記簿の記載のとおりに記載する必要があります。
例えば、土地であれば、登記簿の甲欄の
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
を記載します。
「長男が自宅を相続する」などという記載方法では「自宅」がどの不動産を指すのか明確でない場合がありますし、そもそも、そのような方法では登記ができません。
遺産分割協議の時点で判明していない財産の分割について
遺産分割協議を行った後に財産が発見される場合もあります。
そのような可能性を踏まえて、もし協議の時点で判明していない財産が協議の後で発見された場合にどうするか、ということも事前に決めておいて遺産分割協議書に記載することで、後からトラブルが発生する可能性を低くすることができます。
▼今すぐ診断してみましょう▼遺産が不動産のみの場合の遺産分割協議書
遺産が不動産のみの場合の遺産分割協議書は次のようなかたちになります。
こちらの記載例は、不動産のいくつかの取得パターンを記載しました。
1は、戸建てのように土地とその上の建物を相続人の一人が相続する場合です。
2は、マンションを相続人の一人が相続する場合です。
3は、土地を2人の相続人が共有するかたちで相続し、その後、換価分割(売却して金銭にかえてから相続人間で分割すること)を想定している場合です。
4は、相続人の一人が相続する代償として、他の相続人に代償金を支払う「代償分割」の記載になります。
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代償分割とは
相続財産の中に、一筆あるいは一棟の不動産のような分割しにくい財産がある場合に、その不動産をある相続人が単独で相続する代わりに、他の相続人に自分の財産から現金(代償金)でいくらかを支払う、という約束をする場合があります。
このような分割方法を代償分割と言います。
代償分割に関する合意も、遺産分割協議書の中で記載しておくことが大切です。後の相続トラブルの防止だけでなく、代償金を「贈与した」と疑われないためです。贈与だとみなされると、贈与税を課せられる場合も。
▼どの程度相続税がかかるか計算してみましょう▼遺産分割協議書作成後の相続登記で必要な書類
遺産分割協議で所得者が決まった場合は、被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本等が必要となるほか、遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑登録証明書が必要になります。
被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本等には、以下の両方が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
また、代襲相続がある場合や、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人となる場合は、さらに多くの戸籍謄本が必要になります。
また、兄弟姉妹が相続人となる場合は、被相続人の父母それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本が必要になります。
印鑑登録証明書は、各相続人の住所地の市区町村役場で取得することができます。
各相続人に取得して送ってもらうか、代理人選任届(いわゆる委任状)を書いてもらい、代わりに取得することもできます。
代襲相続とは
代襲相続とは、相続人となるべき者(被代襲者)が、相続開始以前に死亡しているときや相続欠格または廃除により相続権を失ったときにおいて、その被代襲者の直系卑属(代襲者)が被代襲者に代わって、その受けるはずであった相続分を相続することをいいます。
代襲相続がある場合は、被代襲者の出生から死亡まで(死亡していない場合は現在まで)の戸籍謄本と、代襲者全員の現在の戸籍謄本が必要になります。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼相続登記の義務化が決定
民法と不動産登記法の改正により、相続登記は義務化が決定されています。
施行は令和6年4月1日からですが、施行日より前に相続が開始された場合についても適用されます(遡及適用)。
義務化が開始されると土地・建物の所有を知ってから3年以内に相続登記することが必要です。後で慌てないよう、早めに手続きを行いましょう。なお、相続登記がされていないと、ペナルティが発生することもあるようです。
まとめ
以上、不動産のみの遺産分割協議書について説明しました。遺産分割協議書の書き方について相談したい場合は、行政書士など専門家に依頼するとよいでしょう。
▼実際に「いい相続」を利用して、専門家に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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