遺言執行者は相続人と同一でもいい?選ぶときの注意点や費用の目安
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。
では、どんな人を選ぶのがいいのでしょうか。何か決まりがあるのでしょうか。
遺言執行者は相続人と同一人物でもよいのでしょうか?注意点は?費用はかかる?
おそらく、遺言執行者について詳しく知っている人は少ないでしょう。
この記事では、遺言執行者について簡潔にわかりやすく説明します。
そもそも遺言執行者とは何?と思われる方は「遺言執行者とは?どんな場合に必要か?選び方や役割、報酬までわかりやすく解説」をお読みください。
遺言執行者になれる人
遺言執行者は、未成年者と破産者以外の方であれば誰でもなることができます(民法1009条)。
また、遺言執行者は一人でなく、複数人でも良いのです。
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遺言執行者は相続人と同一人物でも大丈夫!
法的には遺言執行者は相続人と同一人物でも問題ありません。
例えば、長女と次女が相続人である場合に、長女又は次女のどちらかが遺言執行者になっても構わないということです。
▼相続手続きは一人で悩まず専門家に相談しましょう▼
相続人が遺言執行者になる場合の注意点
相続人が遺言執行者になると、次のようなトラブルや問題が起こることがあります。法的に問題がなくても注意が必要です。
- 遺言執行者に指定されなかった相続人が、そのことを不満に感じトラブルに
- 他の相続人から遺言執行者が遺産の一部をこっそり自分のものにしたのではないかと疑われトラブルに
- 遺言執行者は精一杯取り組んでいるものの不慣れなため長期間を要し、他の相続人から手続きが遅いとトラブルに
- 遺言執行者が自分で手続きができず、結局、自腹で弁護士に依頼することになり、こんなことなら始めから弁護士を遺言執行者に指定していればと後悔
【トラブル事例】遺言執行者に指名されたが、やりたくない(57歳男性 遺産4,900万円)【行政書士執筆】
遺言執行者は専門家に依頼できる
税理士や行政書士、司法書士、弁護士などの専門家に遺言執行者を依頼することができます。
遺言執行者を専門家に依頼することでトラブルを回避することができ、メリットとして次のようなことが挙げられます。
- 相続人が相続手続きの手間から解放される。
- 相続手続きがスムーズに進むため、相続人が遺産を早期に取得できる。
- 相続人が精神的な負担から解放される。
- 遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ。
遺言執行者は専門家に依頼するときの注意点や費用の目安は?
専門家に遺言執行者を依頼したら報酬が発生します。
専門家を選ぶときは、相続に強いかどうかを確認しておきましょう。同じ資格を持っていても得意分野は異なることがあるためです。
また、遺言執行者の報酬は、遺言書に記載がある場合はその金額に、遺言書に記載がない場合は相続人と協議して決めたり、家庭裁判所に決めてもらうことができます。
遺言書に書く際は、低廉な金額を勝手に遺言書に記載しても辞任されてしまうでしょうから、遺言執行者に指定する人に報酬額を確認したうえで、遺言書に記載しましょう。
費用の目安
各専門家によって異なります。また、同じ専門家でも事務所によって料金体系が違います。
各専門家は法律上、相続財産の額を超える費用を相続人に請求することはできません。
ただし、郵便代、交通費などの実費は別途払うとするところが多いので確認しましょう。
行政書士の費用の目安
「最低金額+遺産の額に対して0.5%~1%前後」という料金体系が多いようです。
士業の中では一番安価と言われています。
司法書士の費用の目安
「最低金額+遺産の額に対して0.5%~2%前後」という料金体系が多いようです。
相続登記を頼む場合は別途必要となりますので確認しましょう。
税理士の費用の目安
「最低金額+遺産の額に対して0.5%~2%前後」という料金体系が多いようです。
相続税申告を頼む場合は別途必要となりますので確認しましょう。
弁護士の費用の目安
遺弁護士に依頼した場合の費用は以下を参考にしてください。
日弁連の旧報酬等基準規程(参考資料)
現在は弁護士が料金表を自由に設定することができますが、2004年3月までは、日弁連の報酬等基準規程(旧規程)に則って報酬額を計算しなければなりませんでした。現在でも、この旧規程を参考に報酬を決める事務所が多いため、旧規程について説明します。
旧規程では、遺言執行の弁護士報酬額は下の表のとおり定められていました。
内容 | 報酬額 | ||
---|---|---|---|
遺言執行 | 基本 | 遺産が300万円以下 | 30万円 |
遺産が300万円超3000万円以下 | 2%+24万円 | ||
遺産が3000万円超3億円以下 | 1%+54万円 | ||
遺産が3億円超 | 0.5%+204万円 | ||
特に複雑又は特殊な事情がある場合 | 弁護士と依頼者との協議により定める額 | ||
遺言執行に裁判手続を要する場合 | 遺言執行手数料とは別に、裁判手続きに要する弁護士報酬が必要となる |
「報酬額」欄の「%」は、遺産額に対する割合です。先ほどのアンケートの設例を、旧規程に当てはめて報酬額を計算してみます。
遺産額は5000万円ですから、上の表の「3000万円超3億円以下」に該当し、「5000万円×1%+54万円=104万円」が報酬額になります。
現在はこの旧規程よりも大分良心的な料金設定をしていることが多いようです。
専門家に依頼することについては「遺言執行者に行政書士、司法書士などの専門家を指定するメリットと費用」でも詳しく紹介しています。
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まとめ
遺言執行者は相続人と同一でも問題ありませんがトラブルに注意しましょう。専門家に遺言執行者を依頼するときはメリットと費用のバランスを考えるとよいかもしれません。
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