遺言執行者の報酬の決め方や相場は?遺言書への記載方法も解説
遺言書を作成し遺言執行者を指定するときや、家庭裁判所に遺言執行者選任申立をするときに気になるのが遺言執行者の報酬についてではないでしょうか?
この記事では、遺言執行者の報酬や遺言書への記載方法についてわかりやすく説明します。
遺言執行者の報酬は誰が払う?
遺言執行者の報酬は遺言執行者が遺産から取得します。遺言執行者は遺言の内容にもよりますが、遺産から自分の報酬を取得して、残りの財産を遺言に基づき相続人(及び受遺者)に引渡す場合が多いです。
遺言執行者の報酬の決め方
遺言執行者の報酬の決め方には、次の3つがあります。
- 遺言書に記載する
- 遺言執行者と相続人との協議で決める
- 家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして決めてもらう
以下、それぞれについて説明します。
遺言書に記載する
遺言で遺言執行者を指定した場合は、あわせて遺言執行者の報酬についても定めることができます。
遺言で遺言執行者に指定された人は、報酬金額に納得しない場合に遺言執行者の就任を拒否することができます。遺言者は、遺言執行者に指定する人に対して、請けてくれるかどうかと報酬額を確認したうえで遺言書を作成するとよいでしょう。
遺言執行者と相続人との協議で決める
遺言で遺言執行者が指定されているが報酬が定められていない場合は、遺言執行者と相続人との協議によって報酬額を決めることができます。
親族や相続人に遺言執行を頼んだ場合、頼んだ相手が無報酬で良いのなら報酬の設定は不要です。
親族に頼んだ場合、おおむね20~30万円となるケースが多いようです。専門家に依頼するよりは多少相場が低くなります。
協議者全員が納得しないと金額が決まらないため、相続手続きを進めるためにも速やかに決めたほうが良いでしょう。
家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして決めてもらう
遺言執行者と相続人との間で、遺言執行報酬についての協議が調わない場合、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして、家庭裁判所に報酬額を決めてもらいます。申立権者は遺言執行者です。
また、遺言によって遺言執行者が指定されていない場合のほか、遺言によって指定された遺言執行者が就任を拒否した場合や既に亡くなっている場合は、家庭裁判所に「遺言執行者選任申立」をして、遺言執行者を選任してもらうことができますが、家庭裁判所によって選任された遺言執行者の報酬も、「遺言執行者に対する報酬付与申立」をして、家庭裁判所に報酬額を決めてもらうことになります。
遺言執行者になれる人
遺言執行者になれる専門家等は、以下の通りです。
行政書士などの専門家に頼んだ場合の報酬
行政書士や司法書士、弁護士などに遺言執行者を依頼した場合、目安として「遺産総額の1~3%」が相場となります。相続トラブルが発生しそうなときは弁護士、相続登記をあわせて頼みたい場合は司法書士に相談すると良いでしょう。事務所によって金額が異なるため、実際に問い合わせをしてみるのが良いでしょう。
信託銀行に頼んだ場合の報酬
信託銀行では、遺言信託という遺言書作成や遺言執行までセットにしたサービスしている場合が多いです。
信託銀行に遺言執行を依頼するとやや高額となり、最低報酬額が100万円程度となっていることも。信託銀行のメリットとしては、金融機関なので安心感があること、資産運用のアドバイスが受けられることなどです。
遺言執行者の報酬の遺言書の記載例
遺言執行者の報酬を遺言で定める場合の記載例としては、以下のようなパターンが考えられます。
- 遺言執行者に対する報酬は、金○○円とする。
- 遺言執行者に対する報酬は、対象財産の評価額の〇パーセントとする。
- 遺言執行費用(遺言執行者の報酬を含む。)は、○○が相続した預貯金より支出するものとする。ただし、この預貯金の残高が遺言執行費用に満たない場合には、××が相続した預貯金から不足分を支出するものとする。
なお、遺言執行者の報酬は、相続税の計算上控除することはできません。
この記事のポイントとまとめ
以上、遺言執行者の報酬について解説しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 遺言執行者の報酬は「遺産総額の1~3%」が目安
- 親族に頼むこともできるが、専門家に依頼すると確実
- 報酬に納得しなければ遺言執行者を断ることも可能
遺言執行者に相続人を指定する場合、役所への往復や金融機関での手続きなど、かなりの手間と労力が遺言執行者にかかってしまいます。また相続の知識がないとどのように相続手続きをすればよいか迷ってしまうことも。
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