遺言書がある場合の相続の流れは?手続きの流れや検認、遺言執行者など
「これから遺産分割協議をしよう」としたときに遺言書が発見されることがあります。
遺言書がある場合、相続はどのように進めるのでしょうか?わかりやすく丁寧に説明します。是非、参考にしてください。
遺言書がある場合の相続の流れ
遺言書がある場合の相続の流れは、概ね下の図のようになります。
自筆証書遺言は「自筆証書遺言の保管制度」を利用して法務局に預けられていることがあります。その場合、遺言書保管所が遺言者の死亡の事実を確認すると、通知対象とされた人に遺言書が保管されている旨の通知が届きます。
関係者全員の同意があれば、遺言内容と異なる遺産分割ができる
遺言書があっても遺言内容のとおりに財産を取得する必要はありません。したがって相続人、受遺者(遺言によって財産をもらい受ける人)、遺言執行者(いる場合)全員の同意があれば、遺産分割協議をして遺言内容と異なる遺産分割をしても構いません。
また、遺言書を無視して遺産分割する場合の相続手続きは、遺言書がない場合と違いはありません。要するに、一般的な相続手続きになります。
遺言方式によって遺言書の検認の要否が決まる
遺言書の検認とは、遺言書を家庭裁判所に提出して、相続人の立ち会いのもと遺言書を開封し確認する手続きです。遺言の方式によっては、検認が必要です。
検認が必要な遺言書
- 法務局に保管されていない自筆証書遺言
- 秘密証書遺言書
検認が不要な遺言書
- 法務局に保管されている自筆証書遺言書
- 公正証書遺言書
自筆証書遺言とは、遺言者の自筆で書かれていて、公証人が手続きに関与していない遺言のことです。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです。封筒や表紙に「公正証書遺言」と記載されています。
秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも明かさずに、かつ、遺言の存在が公証人によって証明される形式の遺言のことです。
つまり、「公正証書遺言」の記載がない遺言書原本が見つかった場合は、遺言書の検認が必要ということになります。
法務局に保管されていない自筆証書遺言もしくは秘密証書遺言は検認前に開封していけません。開封すると5万円以下の過料(行政罰)に処せられることがあります。なお、検認前に開封しても、遺言書が無効になることはありません。
遺言書に定めのない財産がある場合
遺言書に定めのない財産がある場合は、その財産は、原則として法定相続分に基づき法定相続人が相続することになります。
よくある質問
以上、遺言書がある場合の相続について説明しました。最後によくある質問とその回答を示します。
遺言と異なる遺産分割をしてもよい?
遺言書があっても、遺言内容のとおりに財産を取得する必要はなく、相続人、受遺者(遺言によって財産をもらい受ける人)、遺言執行者(いる場合)全員の同意があれば、遺産分割協議をして遺言内容と異なる遺産分割をしても構いません。
遺言書の検認が必要なケースは?
「法務局に保管されていない自筆証書遺言書」及び「秘密証書遺言書」については、遺言書の検認をしなければ遺言を執行できません。「法務局に保管された自筆証書遺言書」及び「公正証書遺言書」については、遺言書の検認は不要です。
遺言書に記載のない財産がある場合は?
遺言書に定めのない財産がある場合は、その財産は、原則として法定相続分に基づき法定相続人が相続することになります。
遺言執行者とは?
遺言執行者とは、遺言内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。
この記事のポイントとまとめ
以上、遺言書がある場合の相続について解説しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 遺言書の種類によって検認の要否が異なる
- 関係者全員の同意があれば遺言書に従わず遺産分割しても良い
- 遺言書で指定されていない財産がある場合は、原則として法定相続分で相続される
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