遺言執行者に行政書士を指定するメリットと費用・報酬の相場
遺言執行者は、行政書士等の相続の専門家にたのみたいけれど、指定するときは、ただ、口頭で頼んでおけばいいのでしょうか。
指定した遺言執行者に断られた場合は?
この記事では、遺言執行者に行政書士を指定するメリットと費用・報酬の相場について説明します。
遺言執行者のさまざまな疑問について、解説していきます。ぜひ、参考にしてください。
遺言執行者とは?
そもそも、遺言執行者とはどのような人でしょうか?
遺言執行者とは、相続が遺言書の内容どおりに実行されるように必要な手続きを行う人です。遺言執行者は相続人や相続財産の調査、相続登記の手続き、銀行口座の解約手続きなど幅広く相続手続きを行います。
遺言執行者を指定する方法
遺言執行者はただ口頭で頼めばいいのではなく、以下の3つの決まった指定方法があります。
- 遺言書で遺言執行者を指定する
- 遺言書に、第三者に遺言執行者を指定してもらうような内容を入れる
- 遺言者が死亡後に、家庭裁判所にて遺言執行者を選任してもらう
「遺言執行者になれる人は?相続人と同一でもいい?選ぶときの注意点や費用の目安」で詳しく説明しています。
遺言執行者に行政書士を指定するメリット
遺言執行者に行政書士を指定するメリットとして、次の4つが挙げられます。
- 相続人が相続手続きの手間から解放される。
- 相続手続きがスムーズに進むため、相続人が遺産を早期に取得できる。
- 相続人が精神的な負担から解放される。
- 遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ。
以下、それぞれの点について説明します。
相続人が相続手続きの手間から解放される
遺言執行者がいない場合は、相続人が協力して相続手続きを進めなければなりません。
また、相続人を遺言執行者にすることもできますが、いずれにせよ、一般の方が専門家に依頼せずに相続手続きを完了させることは、多大なる労力と膨大な時間を要します。
遺言執行者は、就任してから業務の完了までに概ね次のような業務を行わなければなりません。
- 戸籍等の証明書を収集。相続人の調査
- 遺言執行者に就任したことを相続人と受遺者全員に通知
- 相続財産の調査
- 財産目録の作成
- 預貯金の解約手続き
- 売却して分配する財産については換価手続き
- 有価証券等の財産の名義変更手続き
- 不動産の所有権移転登記
- 遺言執行の妨害をしている者がいる場合においてはこれを排除します(訴訟が必要になることも)
- 相続人と受遺者全員に完了報告を行います
このように、遺言執行者の業務は多岐に渡ります。
金融機関や法務局の窓口は平日の日中しか空いていないため、仕事を休んで対応しなければならないことも生じえます。 行政書士等の専門家に遺言執行を依頼すれば、相続人は、このような手間から解放されます。
相続手続きがスムーズに完了でき、相続人が遺産を早期に取得できる
前述のとおり、遺言執行者がいない場合は相続人が協力して相続手続きを進めなければなりませんが、相続人の中に協力しない人や忙しくて協力したくてもできない人がいると、いつまで経っても相続手続きが終わりません。
相続人を遺言執行者にした場合も、一般の方では、要領を得ず、手続き完了までに長い期間を要してしまうことも少なくありません。遺言執行の経験が豊富な専門家であれば、相続手続きをスムーズに完了させることができ、結果として、相続人が遺産を早期に取得できることにつながります。
相続人が精神的な負担から解放される
相続人が遺言執行者となった場合は、次のようなトラブルが生じることがあります。
- 遺言執行者に指定されなかった相続人が、そのことを不満に感じトラブルに
- 他の相続人から遺言執行者が遺産の一部をこっそり自分のものにしたのではないかと疑われトラブルに
- 遺言執行者は精一杯取り組んでいるものの不慣れなため長期間を要し、他の相続人から手続きが遅いとトラブルに
- 遺言執行者が自分で手続きができず、結局、自腹で専門家に依頼することになり、こんなことなら始めから行政書士を遺言執行者に指定していればと後悔
このようなトラブルに見舞われると、遺言執行者となった相続人には多大な精神的負担がかかりますが、専門家を遺言執行者にすると、相続人はこのような負担から解放されます。
遺言書作成と併せて依頼する場合は、より一層スムーズ
行政書士は、遺言書文の作成についても依頼できる専門家です。司法書士や弁護士についても遺言者の作成を依頼することができますが、行政書士が最も安価な場合が多いでしょう。
遺言者が遺言書文案作成を行政書士に依頼する際に、遺言執行者についても併せて依頼するとスムーズでしょう。
近親者が亡くなると遺族は様々な手続きに追われて多忙になりますから、自分たちで遺言執行をするのは勿論のこと、遺言執行者を依頼する行政書士を探すことさえも手間に感じるかもしれません。
この点、遺言書文案作成を依頼した行政書士を遺言執行者に指定しておけば、遺族の負担を減らすことができます。
また、行政書士は遺言書文案を作成する際に、財産目録等の資料を作成しますから、同じ行政書士が遺言執行を担当すれば、よりスムーズに進めることができるでしょう。
遺言執行の行政書士費用・報酬
遺言執行者の報酬は、遺言書に記載がある場合はその金額に、遺言書に記載がない場合は相続人と協議して決めたり、家庭裁判所に決めてもらうことができます。
専門家に依頼する場合は、それぞれ独自の料金テーブルを持っています。
一般的には、遺産額の1〜3%ぐらいが相場になっていて、遺産額が少ない場合は最低20万円〜30万円ぐらいが相場のようです。
低廉な金額を勝手に遺言書に記載しても辞任されてしまうでしょうから、遺言執行者に指定する行政書士に報酬額を確認したうえで、遺言書に記載しましょう。
なお、遺言執行の行政書士費用は、遺言の内容にもよりますが、遺言書作成時ではなく、遺言執行完了時に、遺言執行者が遺産から取得する場合が多いでしょう。
遺言執行の専門家の選び方
遺言執行者に指定する専門家はどのように選べばよいでしょうか?
遺言文案作成と併せて依頼する場合、依頼してから遺言執行が行われる(遺言者が亡くなる)までに長い年月が経過していることも少なくありません。
相続人を遺言執行者にしたときは、その人が亡くなっている可能性もあります。
そのような場合は、結局、相続人が共同で遺言執行したり、遺言執行者選任申立を行うことになります。
このようなことにならないように、専門家に依頼すると比較的安心でしょう。
行政書士の場合
行政書士は行政に提出する書類作成や許認可申請の専門家です。戸籍収集や遺産分割協議書の作成などの相続手続きを行うことができます。また遺言書の作成を依頼することも可能です。
まとめ
以上、遺言執行者に専門家を指定するメリットなどについて説明しました。専門家に遺言執行者を依頼することによって、スムーズかつ的確に遺言執行をおこなってくれるでしょう。
いい相続では相続に強い行政書士などの専門家をご紹介しています。ぜひ、お問い合わせください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きや遺言書の作成を依頼した方のインタビューはこちら
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