名義預金をリセットしたい!戻す方法や使ってしまったときの問題点を解説
名義預金は、相続調査で目を付けられることの上位に入ります。
実際に、令和3年の申告漏れ相続財産の⾦額の構成⽐は「現金・預貯金」が全体の32.2%、贈与税の調査による財産別⾮違件数では「現金・預貯金」が全体の69.2%にもおよびます。(出典:国税庁「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」)
この記事では、名義預金は何が問題なのか、また、名義預金をリセットするために戻す方法や、名義預金を使ってしまったときの考え方について説明していきます。
名義預金とは
名義預金とは、口座名義人と真の預金者が異なる預金のことです。
たとえば、親が子どものために子ども名義の通帳を作って貯金をしてあげる、祖父母が孫のために孫名義の口座を作って貯金をしてあげる、というケースです。
へそくりが名義預金!?
妻が夫からもらった生活費の残りを妻名義でへそくりしていた場合、これも名義預金にあたります。コツコツと家計をやりくりしたのは私なのに!と腹立たしいかもしれませんね。でも相続では配偶者が優遇される特例がありますのでこれらを賢く活用しましょう。
▶相続で一番優位な立場は妻!?知っておくべき配偶者の相続の仕組み【行政書士監修】
名義預金は何が問題?
貯金をしてきた親や祖父母は、代わりに貯金してあげたものとして、もう自分のものではないと思っているかもしれません。
しかし、名義預金の所有者は口座名義人ではなく事実上の預金者です。
そのため、相続が発生し被相続人が子や孫の名義で預けていた銀行口座は名義預金として相続税や贈与税の対象になってしまいます。
そのことを知らずに無申告だったり申告をしないと追徴課税で損をしてしまうおそれがあります。
▶みんなの相続事例集|孫の名義で通帳を作成したい。将来税金などは発生する?▼今すぐ診断してみましょう▼名義預金を戻してリセットしたい
「のちのちに問題がおこりそうなら、名義預金をいったん戻して、正式に贈与(もしくは遺贈)したい」という要望も出るでしょう。
その場合、次のような方法で名義預金をリセットして戻すことができます。
名義預金を戻す方法
仮に親が子ども名義で預金をしていたとき、それをリセットするには子ども名義の口座から親名義の口座に預金を戻します。これで、本来の持ち主の預金に戻ります。
万一、このリセットしたときの入出金について税務署から指摘を受けたら「本来の預金者に戻しました。」と正直に伝えるのがよいでしょう。
ただ、口座名義人の子どもが金融機関で解約手続きをして、預金者に戻さず、そのまま子どもが取得する場合は、その預金は贈与税の課税対象となります。この場合、複数年に渡って入金されていたとしても、解約した年に一括贈与を受けたことになりますので贈与税に注意が必要です。
何か不安な点や疑問がある場合は、事前に税理士に相談してください。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼名義預金を使ってしまったときの問題点は?
名義預金をしてきた真の預金者(親や祖父母など)が預金を使った場合
本来の口座の持ち主が使用するわけなので、使うこと自体は問題ありません。
ただ、預金の引き出し方法については、窓口で手続きをおこなう場合には口座名義人以外の人が手続きをすると委任状などの書類が必要になります。窓口で手続きをする場合は事前に取引先の銀行に確認しましょう。
名義預金の口座名義人(子や孫など)が預金を使った場合
口座名義人が自分の預金を使ったことになるので、こちらも使うこと自体は問題はありません。
しかし、使用したことにより名義預金ではなくなり贈与が確定しますので贈与税について注意が必要です。
▼相続対策にはどんなことがある?まずは調べることから始めましょう!▼名義預金についてよくある質問
贈与税は最長7年で時効と聞きました。名義預金がそれより昔のものなら贈与税はかからないですよね?
贈与税がかかるほどの金額が7年以上前に名義預金されていたとして、贈与した、されたという証拠がない場合は時効の成立は難しいでしょう。また、「そんな昔に預金をしてくれていたなんて知らなかったから・・・」という説明をしたとしても、知らなかった場合は、贈与が発生していないと考えられ、贈与が発生していなければ時効も発生しないため名義預金とされる可能性が高いでしょう。
▼何をすればいいか迷っているなら、今すぐ調べましょう▼この記事のポイントとまとめ
名義預金について説明してきました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 名義預金とは、口座名義人と真の預金者が異なる場合を指す。
- 相続や贈与税の対象になる場合がある。
- 名義預金を正しく扱うための方法が存在し、リセットや使用には税務上の注意が必要。
どういったケースで名義預金になって、どういったケースで名義預金にならないかというのは明確には判断できないケースもあります。
税務調査でバレたときに直せばいい、間違っていても訂正すればよいと考えず、相続税の申告前にどこまでが贈与財産でどこからが名義預金か慎重に検討する必要があります。
「いい相続」では相続に強い税理士を無料でご紹介しています。相続税の申告を検討されている方はお気軽にご連絡ください。
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