火葬や埋葬、改葬に必要な手続きは?
親族が亡くなった場合、まず始めに病院などが発行する死亡診断書や死体検案書と共に死亡届を提出します。そしてその次に行う手続きが火葬許可証を発行して行う火葬と埋葬許可証を発行して行う納骨です。また、お墓の場所が遠いという理由などでお墓の場所を変える場合には「改葬」という手続きが必要になります。この記事では、「火葬」「埋葬」「改葬」の手続きなどについて詳しく紹介していきます。
火葬に必要な手続き
葬儀社などでお葬式を行い、火葬をするためには自治体が発行する火葬許可証が必要になります。ここでは火葬許可証の取得について紹介していきます。
火葬許可証とは?
火葬許可証とは、個人の遺体を火葬することを自治体が認めたことを証明する書類です。この書類は火葬をする際に必要になるので、ほとんどの場合はこの火葬許可証を発行することになるでしょう。ちなみに、日本では火葬以外にも土葬が認められています。この場合には火葬許可証の発行は不要です。
いつまでに発行しなければいけないの?
死亡届と死亡診断書などは死後7日以内に提出する必要がありましたが、火葬許可証の発行はいつまでに行わなければならないという期限はありません。ただ、先ほども紹介したように火葬をする際に必要な書類であり、葬儀の日に火葬をすることが一般的となっていることから火葬許可証は葬儀の日までに発行する必要があります。
死亡届の提出と同時に火葬許可証の発行申請をすることがおすすめです。なお、法律で死後24時間以内は火葬許可証の発行をすることができないと定められているので注意が必要です。
誰が発行できるの?
火葬許可証の申請者は親族や同居人ですが、委任状があれば代理人が申請することも可能です。一般的に死亡届と同時に火葬許可証の発行をすることが多いので、葬儀社などの代理人が死亡届を提出する場合には火葬許可証の発行についての委任状も作成しておきましょう。
どこで発行できるの?
火葬許可証は死亡届を提出する場所で申請書を入手し発行します。すなわち、「死亡地、死亡者の本籍地・届出人の住所地」の市役所、区役所または町村役場に提出するということです。死亡届などを提出した際に同時に申請をすることができるので、その場で申請しましょう。
発行には何が必要?
火葬許可証の発行には死亡届と死亡診断書(死体検案書)が必要になります。これらの書類を提出した後にその場で火葬許可の申請書を記入します。先ほど、「いつまでに発行しなければいけないの?」において、火葬許可証の発行期限はないと紹介しましたが死亡届と同時に申請することから、死亡届の提出期限である死後7日以内に発行することが多くなっています。
火葬許可証の提出先
市役所などで火災許可証が発行されたら、それを遺体を火葬する火葬場に提出します。火葬を行う際には忘れずに必ず持参しましょう。そして火葬が無事に終了したら、「火葬執行済」の印鑑を必ず押してもらいましょう。この印鑑がないと次のステップである埋葬を行う際に問題が生じてしまします。
なお、死亡届の提出や火葬許可証の発行を葬儀社などに代理してもらっていた場合には、火葬終了後に印鑑を押した状態で受け取ることができます。
火葬許可証を紛失してしまったら
火葬許可証を紛失してしまった場合には、発行をしてもらった自治体に再発行してもらう必要があります。これは火葬が無事に終了した場合も同様です。火葬が終わった後に紛失した場合にも再発行をしなければないということには理由があります。
これは次の「埋葬許可証」のパートで詳しく紹介しますが、実は火葬許可証に火葬執行済の印鑑が押されると、それは埋葬許可証として扱うことになります。すなわち、火葬が終わると「火葬許可証」は「埋葬許可証」として扱うのです。これが、火葬が終わってから埋葬までの期間で火葬許可証(埋葬許可証)を紛失した場合に再発行しなければならない理由です。
埋葬に必要な手続き
お墓に遺骨を納める埋葬をするためには「埋葬許可証」が必要です。埋葬許可証がないのにお墓に遺骨を納めることは禁止されています。また、亡くなった方の遺骨を複数に分ける「分骨」を行う場合には、分骨証明書が必要になります。
埋葬許可証とは
先ほど、「火葬許可証を紛失してしまったら」で紹介したように、埋葬許可証とは、火葬許可証に「火葬実行済」の印鑑が押されたもののことを指します。すなわち、埋葬許可証は自治体に新たに申請をして発行をするものではなく、火葬許可証が自動的に埋葬許可証になるということです。
ですので、火葬が終わったからといって火葬執行済の印鑑が押された火葬許可証を処分してしまうのではなく、四十九日など納骨をするまで大切に保管しておきましょう。
埋葬許可証の提出先
埋葬許可証は実際に納骨をする際に墓地や霊園に対して提出します。納骨をする際には忘れずに埋葬許可証を持参しましょう。墓地・霊園は遺族などから受け取った埋葬許可証を5年間保管する義務があります。これは墓地埋葬法に規定が存在します。よって、埋葬許可証は納骨時には返却されません。
また、分骨をする際には埋葬許可証のコピーでは断られるケースもありますので、分骨証明書の他に、遺骨を分ける数の埋葬許可証を用意しましょう。これは火葬許可証をその枚数発行して、火葬執行済の印鑑を押してもらわなければならないことを意味します。
散骨の場合には許可が必要?
海での散骨をする場合などの自治体への申請書類は、必要な場合と不要な場合がありますので、その都度確認されることをおすすめします。また、散骨をする業者もそれぞれで異なり、埋葬許可証を求められることもありますので、大切に保管して確認しましょう。遺骨の一部を散骨し、一部を納骨するという場合には埋葬許可証が必要になります。
改葬とは
親族が亡くなるタイミングで、実家の近くにあるお墓の管理を誰もできなくなってしまうというようなことが起きてしまいます。これは人口が都心部に集中していることからよく起きている問題です。このような場合に、遺骨が納められている墓地から他の墓地へ遺骨を移動させることができます。
これを「改葬」といいます。親族が亡くなったタイミングでお墓ごと移動させる場合には改葬の手続きが必要になります。
改葬に必要な手続き
改葬をするためには自治体だけではなく、改葬前と改葬後の墓地や納骨堂との手続きが存在します。改葬を行うためにはこれら他の手続きを並行して行います。
まず、改葬前の墓地管理者に改葬を承諾してもらわなければなりません。その後に改葬後のお墓を契約します。そして最後に自治体に対して改葬許可申請を行います。
許可申請書には改葬後のお墓の場所などを記載する必要があるため、改葬の許可申請より前に改葬後のお墓を決めなければなりません。自治体で改葬の許可が得られれば、改葬許可証を発行することができます。この改葬許可証を改葬前の墓地管理者に提示して、遺骨を取り出します。
ここでの注意点は、墓地管理者に改葬許可証を渡してはいけないということです。改葬許可証は改葬後の墓地管理者にも提示する必要がありますので、大切に保管しておきましょう。そして最後に改葬後の新しい墓地管理者に対して改葬許可証を提示して、遺骨をお墓に埋蔵します。これで改葬の手続きは終了します。
改葬の手続き全体を通して注意するべきところは、お墓がある地域や墓地、納骨堂によって風習や墓石の制限などがあることです。このような墓地管理者による決まり事などについては、遺骨が埋蔵されている地域や墓地管理者、および新しい墓地の管理者や地域の情報を前もって調べておくと良いでしょう。
また、改葬の手続きを始める前に、親族内で話し合いをすることも大切です。
改葬に必要な書類
改葬の手続きには、「埋葬証明書」「受入証明書」「改葬許可申請書」などが必要になります。「埋葬証明書」とは遺骨を埋葬しているお墓の管理者が発行する、遺骨が埋葬されていることを証明するための書類です。埋葬証明書は改葬許可の申請をするときに必要になる書類です。申請をする前に改葬前の墓地や納骨堂の管理者に発行してもらいましょう。
次に、「受入証明書」について説明します。受入証明書とは、改葬後の新しい墓地や納骨堂の管理者に発行してもらいます。各自治体によって異なりますが、受入証明書も改葬許可の申請をするときに必要になります。そして、「改葬許可申請書」について説明します。改葬許可申請書は、その名の通り改葬の許可申請をする際に自治体に提出する書類となります。
改葬許可申請書は、改葬前のお墓がある市役所などの戸籍課で入手することができます。この改葬許可証に必要事項を記入して、「埋葬証明書」と「受入証明書」と共に提出します。その他に各自治体によって印鑑やその他の書類が必要になる場合がありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、墓地使用者と申請者が異なる場合など、墓地使用者の委任状または承諾書が必要となる場合がありますので、注意が必要です。
埋葬許可申請書の内容
埋葬許可申請書のフォーマットは自治体によって異なりますが、墓地埋葬法で定められている記載事項が存在します。つまり、これらの記載事項は全ての自治体で共通しており、自治体によってはその他の記載事項を求めている場合があります。
墓地埋葬法で定めている記載事項は、「死亡者の本籍、住所、氏名及び性別」「死亡年月日」「埋葬又は火葬の場所」「埋葬又は火葬の年月日」「改葬の理由」「改葬の場所」「申請者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者又は焼骨収蔵委託者との関係」となっています。遺骨が1体であればそれほど難しくはないですが、遺骨が複数体ある場合にはそれぞれの本籍や死亡年月日、火葬の場所や年月日などかなり細かい記載になるかと思います。
これらの記載を正確にするために、親族間での打ち合わせや改葬前の墓地・納骨堂の管理者との協力が重要になるでしょう。
どこに申請するの?
改葬許可申請は改葬前の墓地や納骨堂が所在する自治体で行います。その自治体の市役所や区役所、町村役場などで許可申請書を入手することができ、同じ場所に提出します。
なお、現在はホームページに申請書やその記載例、申請方法などが掲載されている自治体も多くありますので、その場合には申請書を取りに役所に行く必要はありません。
ちなみに改葬後の墓地や納骨堂が所在する自治体に対しては手続きをする必要もありません。改葬の手続きで難しいポイントは自治体の手続きよりも、改葬前後の墓地や納骨堂での手続きであると言えるでしょう。
土葬の改葬
冒頭の「火葬許可証とは?」でも少し紹介しましたが、日本では火葬の他にも土葬が認められています。そして土葬されている遺骨を改葬することも可能です。ただし、土葬を改葬する場合にはその前提として火葬する必要があります。
すなわち土葬を改葬するためには、ここで紹介してきた改葬許可の申請の他にも、はじめに紹介した「火葬許可証」を発行して火葬を行う必要があります。また土葬の場合には遺骨が何体あるのかを調査するために、立会人が必要になるケースもあります。
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ここまで、「火葬」「埋葬」「改葬」に必要な手続きなどについて紹介してきました。特に、火葬と埋葬は同じ書類を使用するなどの共通点があります。亡くなってから埋葬するまでの時間は大変忙しいものになりますが、これらの手続きは必ず行わなければなりません。
最近では葬儀社などがアドバイスをしてくれることや、代理で手続きを行ってくれることも多いようですので、葬儀社に頼るのもひとつの方法だと思います。それに比べて改葬の手続きは必ず行わなければいけないものではないですが、近年その件数は急増しています。将来のことを考えて、お墓に関する手続きをするタイミングで家の近くのお墓などに改葬することも考えてみても良いかもしれません。
改葬の手続きは専門家である行政書士に相談して依頼すると、手続きで一番大変なお墓とのやりとりも問題なく行うことができると思います。お墓に関する手続きなどは親族にとって重要なテーマだと思いますので、親族間でよく話し合って決めることをおすすめします。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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