【事例】不動産の相続税評価額の調べ方がわかりません(46歳女性)【行政書士執筆】

「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、不動産の相続税評価額の調べ方について、46歳女性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、行政書士柴田隆司事務所の行政書士・宅地建物取引士、柴田隆司さんです。
目次
この記事を書いた人

〈行政書士・宅地建物取引士・身元保証相談士1級Ⓡ・コスモス成年後見サポートセンター会員〉
岐阜市を拠点に岐阜県内、愛知県尾張北部をサービスエリアとしています。主に相続に関する業務を専門としていますが、最近の情勢を反映して福祉部門である成年後見人や死後事務委任等の新しい業務も取り扱っております。
▶行政書士柴田隆司事務所
遺産の調べ方は?実家の相続税評価額は?
相談内容
父の相続について遺産分割協議をしたいのですが、まず遺産が何があるのか、いくらになるのかがわかりません。実家(110㎡)の相続税評価額もわからないのですが、どのように調べれば良いでしょうか。
- プロフィール:46歳女性
- お住まい:栃木県
- 相続人:母、長女(相談者本人)、二女の3人
- 被相続人:父
相関図

アドバイス1 遺産分割協議の前に相続財産調査が必要
まず、遺産(相続財産とも言います)には何があるでしょうか?
普通に考えるのは不動産(土地建物)、預貯金、現金、有価証券(株式等)、会員権(ゴルフ場等)、動産(自動車や貴金属等)などがありますが、これらプラスのものだけではありません。借金や保証債務(連帯保証人になっていた場合等)などのマイナスのものも遺産です。まず、これらを探して整理してみましょう。
不動産登記済証や預貯金通帳などの実物はすぐ見つかると思いますが、株は持っているかどうかもわからないこともあります。その時は証券会社から定期的に発送される郵便物を調べてみましょう。マイナス財産の手掛かりは金融機関の通帳で定期的に引き落とされている金額からわかることもあります。
最近、問題になっているのはいわゆるデジタル遺産です。ここでいうデジタル遺産とは写真や動画のことではなくプラス遺産としてのネットバンクやネット証券、マイナス遺産としての定額サービス(サブスクリプション)の未払い債務のことです。パソコンやスマホをよく使われていた場合は要チェックです。生前にIDパスワードが残されていれば良いのですが探すのに手間取るかもしれません。
生命保険金や死亡退職金は受取人が特定されていれば相続人固有の財産とされるため遺産分割協議の対象にはなりません(ただし、相続税の課税対象にはなります)。
また、評価額をどう決めるかですが相続人全員の合意があれば評価方法や評価時期についてどのように決めても構いません。ただし、相続税の申告に伴うものは別に定めがあります。
アドバイス2 実家の相続税評価額の調べ方
ご相談は相続税評価額とのことなのでこのケースに限ってお伝えします。
宅地の評価方法には路線価方式(主に市街地)と倍率方式(路線価が定められていない地域)の二つがあります。
家屋の評価方法は固定資産税評価額を採用します。門や塀、庭などは別に評価します。
また、未登記の建物も相続税の課税対象となります。これは土地・家屋とも被相続人が亡くなった年のデータを使用します。
配偶者居住権の設定や小規模宅地特例などもあり相続税評価額はかなり複雑になるので税理士にお任せするのが間違いないと思います。
アドバイス3 自分でわからない場合は専門家への相談がおすすめ
これまで説明しましたが「遺産(相続財産)についてよくわからない」「調べたけど不安だ」という方は専門家に依頼すべきです。
遺産分割協議は相続人のなかで協議していただくのですが、その材料となるものは行政書士・税理士が提供できます。
遺産(相続財産)の調査は行政書士、相続税の申告は税理士が専門家になりますので、できる限り早いうちに相談するのが安心です。
関連事例
【事例】長年介護してきた義父が亡くなったが、自分は遺産はもらえませんか?(55歳女性 遺産7,700万円)【行政書士執筆】
【事例】亡くなった父が借金の連帯保証人になっていた(49歳男性 遺産2,000万円)【行政書士執筆】
相続についてのご相談は「いい相続」へ
いい相続では、全国各地の相続の専門家と提携しており、相続手続きや相続税申告、生前の相続相談に対応できる行政書士や税理士などの専門家をご紹介することができます。
専門オペレーターが丁寧にお話を伺いサポートしますので、お困りの方は、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

〈行政書士・宅地建物取引士・身元保証相談士1級Ⓡ・コスモス成年後見サポートセンター会員〉
岐阜市を拠点に岐阜県内、愛知県尾張北部をサービスエリアとしています。主に相続に関する業務を専門としていますが、最近の情勢を反映して福祉部門である成年後見人や死後事務委任等の新しい業務も取り扱っております。
▶行政書士柴田隆司事務所
ご希望の地域の専門家を探す
ご相談される方のお住いの地域、遠く離れたご実家の近くなど、ご希望に応じてお選びください。