【事例】家族と疎遠だったので、父が亡くなったときの遺産分割協議に参加していなかった(44歳男性 遺産1,500万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、家族と疎遠で遺産分割協議に参加していなかった場合ついて、44歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、行政書士法人アベニールの行政書士・古田智史さんです。
目次
この記事を書いた人
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遺産分割協議に参加していないと遺産がもらえない?
相談内容
私は長い間家族と疎遠でほとんど連絡も取っていませんでした。そのため、2年前に父が亡くなったことも知らされず、葬儀も遺産分割協議にも出ていませんでした。最近になって偶然父の死亡を知った次第です。私には遺産をもらう権利はないのでしょうか。
- プロフィール:44歳男性
- お住まい:栃木県
- 相続人:母、長女、長男、二男(相談者本人)
- 被相続人:父
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
預貯金 | 1,200万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:父 受取人:母 | 300万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 本来、遺産分割協議は相続人全員でおこなう
遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産の分割方法を話し合う協議のことです。
相続人には自分の法定相続分を相続する権利がありますので、遺産分割協議は相続人全員でおこなう必要があります。
一人でも相続人が欠けている場合、その者の権利を侵害することになるので、その遺産分割協議は無効となる可能性が非常に高いです。
そうならないために、戸籍謄本等を正確に読解し、法定相続人を確実に把握するように努めなければなりません。
また相続財産の預貯金の払い戻しを受ける場合は、金融機関は戸籍謄本等を参照し、相続人に漏れがないか、相続人の数と遺産分割協議参加者の数に相違はないか等を詳細に確認します。
相談者様が相続人であるにも関わらず遺産分割協議に参加していないことは、戸籍謄本と遺産分割協議書を確認すれば明らかですので、まだ金融機関の解約が完了してない可能性が高いです。
複雑な感情はお察しいたしますが、一度ご家族と連絡を取り、現状を確認することをおすすめいたします。
アドバイス2 相続回復請求権を主張することで相続財産を取り戻せる
相続回復請求権とは、原則として、相続人でない者が相続人の相続財産を占有や利用をしている場合において、自身の相続財産を取り戻すための請求権のことをいいます。
相続回復請求権は、相続権を侵害された事実を知った時から5年、相続の開始から20年以内に請求しないと、時効によって請求権が消滅してしまいますので、期限にも注意しなければなりません。
今回の場合は、相続人同士の遺産分割協議が完了していないだけかと思慮されますので、相続回復請求権を行使する必要はないかと考えます。
仮に遺産分割協議書が偽装され、既に預貯金の払い戻しが行われていた場合であっても、偽装された遺産分割協議書は無効ですので、預貯金の払い戻しも無効となります。
他の相続人は、払い戻しで受け取った金額を元に戻さなければなりません。
預貯金が既に払い戻されてしまたからといって、ご自身の相続分が消滅するということはございませんので、ご安心ください。
(ここから先は私文書偽装罪等の刑法犯の話や、民法による損害賠償請求等の話になりますので割愛させて頂きます)
アドバイス3 本来もらえた分の遺産額
今回の法定相続人は母、長女、長男、二男(相談者)となります。
法定相続分は、母が2分の1、長女、長男、二男(相談者)がそれぞれ6分の1ずつとなります。
預貯金が1,200万円ですので、相談者の預貯金相続分は200万円となります。
生命保険もございますが、受取人が母と指定されておりますので、母の固有の権利となり、遺産分割協議の対象とはなりません。
したがいまして、相談者の法定相続分は200万円となります。
これからでも全く遅くはないので、相続人全員で遺産分割協議をし、権利をしっかり主張して、ご自身の法定相続分を相続するようにいたしましょう。
以上となります。お困りのことがございましたら是非ご相談ください。
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