【事例】父が亡くなり、実は腹違いの兄弟がいたことが発覚しました。この人にも遺産を渡さなければいけませんか？（54歳女性 遺産3,500万円）【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説！みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、亡くなった父に隠し子がいたという、54歳女性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、やおかいKT88行政書士事務所の行政書士・横山 修さんです。
この記事を書いた人
〈行政書士〉
愛知県豊橋市にて相続業務を行っている行政書士です。
ここは東海道五十三次33番目の宿場町「二川宿」で、江戸時代は大名行列が通ったところです。大名が宿泊した本陣が残っている貴重な場所です。
ぜひ本陣の見学ついでに相続相談に寄ってください。
▶やおかいKT88行政書士事務所
腹違いの子が相続人として現れました
相談内容
先日父が亡くなったのですが、亡くなる直前「実は息子がいる」と言い騒然となりました。調べると確かに他の女性との子どもが存在し、父の葬儀にものうのうと現れました。この人の年齢は30代くらいだと思います。この人にも遺産を渡さなければいけませんか？母は既に亡くなっており、また不倫相手の女性も亡くなっているそうです。しかも、父の自筆証書遺言に「息子に預金を300万円相続させる」と書いてありました。
- プロフィール：54歳女性
- お住まい：福岡県
- 家族構成：長女（相談者本人）、二女、腹違いの兄弟
- 被相続人：父
| 財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
|---|---|---|
| 不動産 | 自宅マンション（土地・家屋） 70㎡ |
1,500万円 |
| 預貯金 | 900万円 | |
| 有価証券 | 600万円 | |
| 生命保険 | 契約者・被保険者：父 受取人：長女 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 成年の子供の認知には本人の承諾が必要
今回のケースの一番の重要な所は、遺言書に子供を認知する旨の記載があり、子供が既に18歳以上になっていることです。成年の子の認知は本人の承諾が必要となります。遺言書の有効か無効により相続手続きに大きく影響を受けます。
自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認が必要になります。検認では有効無効の判断されません。簡単に言うと遺言書ありましたことを証明するのみです。
(遺言書が有効で子供の認知が出来た場合)
腹違いの子供でも、認知されれば実子と全く同じ扱いになります。よって遺言書に記載された「300万円を相続させる」ということが実効できると考えます。さらに遺留分を侵害している場合はそれ以上に相続できる場合もありますし、逆もあります。
遺留分とは、一定の相続人に認められた、最低限の遺産をもらえる権利です。遺留分が認められる相続人の範囲は配偶者や子供、孫などの直系卑属、親・祖父母などの直系尊属となります。
もし腹違いの子が取り分300万円に不満があれば、遺留分侵害額請求をしてくるかもしれません。
(遺言書が無効で認知ができない場合)
この場合は通常通り相続人2人（相談者本人と二女）が相続することになります。
今回は腹違いの子供が裁判をしない前提ですが、遺産をもらえないことで裁判を起こされなくても後味はよいものではないかもしれません。
非嫡子の要望により手続きは大きく変わります。
どうでしょうか?具体的な子の認知については、実際に手続きをされた専門家がいれば確認してみてください。裁判にならずに認知することもあると思いますが、経験された専門家はより多くの事を考えていると思います。
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