【事例】遺産分割協議書の実印がありませんが、ないとダメですか?(57歳女性 遺産400万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、遺産分割協議書の実印について、57歳女性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、やおかいKT88行政書士事務所の行政書士・横山 修さんです。
この記事を書いた人
〈行政書士〉
愛知県豊橋市にて相続業務を行っている行政書士です。
ここは東海道五十三次33番目の宿場町「二川宿」で、江戸時代は大名行列が通ったところです。大名が宿泊した本陣が残っている貴重な場所です。
ぜひ本陣の見学ついでに相続相談に寄ってください。
▶やおかいKT88行政書士事務所
遺産分割協議書に押す実印がない?!
相談内容
母が亡くなり遺産分割協議書を作成しようと思うのですが、父が実印がないと言っています。なくても大丈夫でしょうか。もしくは遺産分割協議書を作成してくてもよいですか?母の預金は兄弟3人で平等に分け合う予定です。
- プロフィール:57歳女性
- お住まい:栃木県
- 相続人:父、長女(相談者本人)、長男、次男の4名
- 被相続人:母
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
預貯金 | 300万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:母 受取人:父 |
100万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 印鑑証明書と実印は相続手続きに必要
印鑑証明書と実印は、預金解約時にはほぼすべての金融機関で必要となります。
これは実印のないお父様は市役所の窓口に登録したい印鑑を持参すれば、容易に印鑑証明が発行可能となります。
また実印が見つからない場合は印鑑亡失届出などを提出して、同時に新たな印鑑を実印として登録することができます。
本人が市役所に行けばできますので、まずはお願いしたいところです。
アドバイス2 遺産分割協議書の作成が必要となる場合
次に遺産分割協議書の作成は、今回の場合、必ず必要ではなく任意になります。
預金解約を目的とするのであれば、遺産分割協議書がなくても可能な金融機関がほとんどです。
遺産分割協議をしたことを書面にて残したい場合は作成するのもよいと思います。
遺産分割協議書が必要なパターンとして、遺言書がなく被相続人の財産に不動産がある場合です。不動産の所有者を変更するために遺産分割協議書が必要となります。
さらに2024年より相続を原因とする所有者を変更する手続きに関して、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内と期限が設定される法律の運用が始まります。罰則もありますので、注意が必要です。
また遺言書がなく相続税の申告が必要な場合も、遺産分割協議書が必要です。
上記2点に該当する方は遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書に特に決まった書式はありませんが、不動産の名義変更時に使用する際は不動産の記載を登記簿と同じにするなどの注意が必要です。行政書士などの専門家に相談してください。
どんな書類が必要になるかは、相続に力を入れている専門家であれば教えてもらえます。戸籍などの書類収集についても一度相談したうえで始めた方がよい場合もあります。書類収集はなるべく負担を軽くして効率的に集めたいものです。
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この記事を書いた人
〈行政書士〉
愛知県豊橋市にて相続業務を行っている行政書士です。
ここは東海道五十三次33番目の宿場町「二川宿」で、江戸時代は大名行列が通ったところです。大名が宿泊した本陣が残っている貴重な場所です。
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