【事例】自筆証書遺言の字が読めません。どうすれば良いですか?(51歳女性 遺産5,080万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、自筆証書遺言の字が読めない件について、51歳女性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、片桐行政書士事務所の行政書士・片桐 政勝さんです。
目次
この記事を書いた人
〈行政書士、家族の絆信託代表〉
行政書士業務の柱である、建設業許可、運送業許可、旅行業登録などの許認可業務、個人の権利・義務をサポートする、相続手続き、離婚協議書起案、契約書作成などの権利義務、遺言書、任意後見契約、民事信託契約(家族信託)を活用した、老後の財産管理にトータルでのご提案を得意としています。
▶片桐行政書士事務所
遺言書を開封してみたが、読むことができない
相談内容
父が亡くなり自筆証書遺言を検認したのですが、父の字が乱れていて読むことができません。父は私に「おまえに多めに遺産をやるって遺言書に書いとくから」と言っていたのにガッカリです。
遺言書が読めない場合はどうすれば良いでしょうか。
- プロフィール:51歳女性
- お住まい:愛知県
- 長女(相談者本人)、次女、甥、姪(いずれも亡くなった長男の子)の4名
- 被相続人:父
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅戸建て(土地・家屋)土地110㎡ 父と相談者が居住 |
2,800万円 |
預貯金 | 1,780万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:父 受取人:次女 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 遺言書が判読できない場合、筆跡鑑定や科学的鑑定などを実施する
自筆証書遺言で文字の判読が困難な場合、筆跡鑑定を実施して解読したり、判読が難しい部分については筆跡鑑定や科学的鑑定などの方法で判読することになります。
アドバイス2 判読不動な部分は無効になる
筆跡鑑定や科学的鑑定をしても判読できなかった場合、その部分については遺言者の意思を明らかにできませんので、無効ということになってしまいます。
アドバイス3 遺言書を作成する際は、あいまいな表現などに注意する
遺言書は故人の最後の意思のため最大限尊重する必要がありますが、相続人全員が合意できれば遺産分割協議によって決定しても問題ありません。しかし解釈を巡って相続争いにならないよう、円満な話し合いをすることが望まれます。
せっかく作成した遺言書の一部または全部が無効になったり、判読が難しい遺言書の意味の解釈を巡って相続人間で争いが起こるなどの事態にならないよう、自筆証書遺言を残す場合は、あいまいな表現や判読の難しい筆跡で書かないように十分配慮する必要があります。
遺言書を残してご自分の死後の「相続争い」を回避しようとされているのであれば、専門家に遺言書の内容について相談されたうえで「公正証書遺言」の作成をおすすめします。
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この記事を書いた人
〈行政書士、家族の絆信託代表〉
行政書士業務の柱である、建設業許可、運送業許可、旅行業登録などの許認可業務、個人の権利・義務をサポートする、相続手続き、離婚協議書起案、契約書作成などの権利義務、遺言書、任意後見契約、民事信託契約(家族信託)を活用した、老後の財産管理にトータルでのご提案を得意としています。
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