【事例】孫の名義で通帳を作成したい。将来税金などは発生する?(62歳男性 資産8,900万円)【税理士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、孫の名義預金について、62歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、加藤会計事務所・加藤行政書士事務所の税理士・加藤 雅治さんです。
目次
この記事を書いた人
〈税理士・行政書士〉
はじめまして。
加藤会計事務所・加藤行政書士事務所の所長の加藤雅治と申します。
大学院を卒業後、先代の父が経営する加藤会計事務所で相続業務に注力しております。
是非お気軽にご相談ください。
▶加藤会計事務所・加藤行政書士事務所
孫の名義の通帳を作れば、贈与は可能?
相談内容
先日、念願の孫が生まれ、かわいくてしょうがありません。この子の将来のためにお金を積み立てておきたいのですが、孫名義の預金通帳を作成して毎月入れておけばよいのでしょうか?お金の知識に疎く、よくわかりません。
- プロフィール:62歳男性
- お住まい:奈良県
- 相続人:妻、娘、孫(娘の子)の3名
- 被相続人:相談者本人(健在)
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅マンション(70㎡) | 2,200万円 |
預貯金 | 5,000万円 | |
有価証券 | 1,200万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:相談者本人 受取人:妻 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 名義預金とは
名義預金とは、祖父母が孫や子供のために預金をしたり、専業主婦が夫の給料を自分名義の銀行口座で管理したりというような、口座名義人と実際にお金を管理している人が異なる預金のことを言います。相続税の税務調査で必ず調査されるのが、この名義預金です。
アドバイス2 名義預金は追徴課税される可能性がある
相談者様のように、お孫さん名義の通帳を作成して毎月積み立てることは、「名義預金」とみなされてしまう代表的なケースにあたります。 名義預金に該当するか否かは、その預金の名義だけでは判断できませんので、「贈与が成立していたかどうか?」ということが判断の重要なポイントになります。
贈与が成立していないとみなされると、追徴課税されてしまいます。
アドバイス3 名義預金の対策
名義預金の対策として、事前にこれらの対策をしておくと良いと思います。
1.贈与契約書を作成する
贈与契約書には、①から⑥までを必ず明記しておくことがポイントです。
①贈与者 ②受贈者 ③贈与の年月日 ④贈与財産 ⑤贈与の方法 ⑥ご両親の署名捺印(受贈者が未成年者の場合)
2.銀行送金で記録を残す
手渡しで贈与するのではなく、証拠を残すために送金の履歴を残しておきます。
3.受贈者が預金の管理をおこなう
通帳、キャッシュカード、印鑑などをご本人(未成年者の場合はご両親でも問題はありません)が、管理します。
4.贈与された預金を使っておく
実際にお金をおろしたり、クレジットカードの引き落とし先にしたりと受け取った金銭を使用した形跡を残しておきます。
アドバイス4 将来税金などは発生する
現在の財産を、法定相続分で分けた場合の相続税額を計算していきます。
1.遺産の合計額を計算する
不動産(自宅マンション)2,200万円+預貯金5,000万円+有価証券1,200万円=8,400万円
*生命保険金には、非課税枠【500万円×法定相続人の数】がありますので、生命保険には相続税は課税されません。
2.相続税の基礎控除額を差し引く
8,400万円―(3,000万円+600万円×2人)=4,200万円
3.法定相続分で分けた場合の取得額を計算する
妻:遺産の1/2 取得額:2,100万円
娘:遺産の1/2 取得額:2,100万円
4.法定相続分で分けた場合の税率で計算する
①妻の相続税額
配偶者控除(1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額)の適用がありますので相続税申告により相続税額がゼロになります。
②娘の相続税額
2,100万円×15%-50万円=265万円
相続税額は、妻0円・娘265万円になります。
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この記事を書いた人
〈税理士・行政書士〉
はじめまして。
加藤会計事務所・加藤行政書士事務所の所長の加藤雅治と申します。
大学院を卒業後、先代の父が経営する加藤会計事務所で相続業務に注力しております。
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