【事例】いとこが亡くなった。親戚は自分だけ。遺産はもらえますか?(42歳女性 遺産450万円)【行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、身寄りのない人の遺産について、42歳女性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、りこ行政書士事務所の行政書士・國場 絵梨子さんです。
目次
この記事を書いた人
〈行政書士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、賃貸不動産経営管理士、測量士補、二種証券外務員、他多数資格有〉
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面識のない親戚の遺産はもらえる?
相談内容
先日、知らない土地の役所から「あなたのいとこが亡くなりました。ご葬儀の手続きをお願いします」と連絡がありました。
その人は身寄りがなく、親戚は私だけみたいです。私は会ったことがありません。遺産が少しあるようですが、私がもらって良いのでしょうか?
- プロフィール:42歳女性
- お住まい:埼玉県
- 親戚:相談者本人のみ
- 被相続人:いとこ
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
預貯金 | 300万円 | |
有価証券 | 150万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 いとこの相続人にはならず、財産はもらえない
結論から申し上げますと、相談者様はいとこの相続人ではないため、遺産をもらうことはできません。
なぜなら、民法で法定相続人は
- 配偶者(必ず相続人になる)
- 子ども(亡くなっている場合は孫が代襲相続)
- 父母(亡くなっている場合は祖父、祖母)
- 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥、姪)
と定められており、いとこは法定相続人に含まれていないからです。したがって相談者様の場合、法定相続人には該当せず遺産はもらえないことになります。
アドバイス2 特別縁故者になれば遺産をもらえる
法定相続人には該当しなくても「特別縁故者」になれれば、遺産をもらうことができます。
「特別縁故者」とは被相続人に配偶者や子どもなどの相続人がいない場合に、特別に財産分与が認められる人のことです。「特別縁故者」として認められるには、相続人がいないという「相続人不存在」が確定してから3ヶ月以内に、被相続人が最後に住所を置いていた地域を管轄する家庭裁判所に相続財産分与の申立をする必要があります。
申立をしたうえで、
- 被相続人と同一生計であった人(共同生活をしていた内縁の配偶者、同棲相手、認知していない非嫡出子など)
- 被相続人の療養看護をしていた人
- 被相続人と何らかの特別の縁故があった人(被相続人がその人に財産を残したいと考えていそうな人)
と判断された場合に「特別縁故者」として認められることになります。
実際、ただ単にいとこであるだけでは、「特別縁故者」として認めてもらうことは難しいと考えられます。
アドバイス3 身寄りがない人の遺産の行方
法定相続人がいない身寄りがない方の遺産は、最終的には国庫に帰属することになります。家庭裁判所で利害関係人または検察官の申立により相続財産管理人が選任され、手続きが進められます。また被相続人の死亡を2ヶ月間、官報で公告して相続人がいる場合は申出を促します。
相続人の申出がなかった場合の流れは
1 債権申立の公告(債権者や受遺者に対して申し出を求めます) 2 相続人捜索の公告(6ヶ月以上の期間を定めて再度相続人への申出を促します。これで相続人がいない場合は相続人不存在が確定します) 3 特別縁故者に対する財産分与(特別縁故者の申立により、家庭裁判所と相続財産管理人が判断して決定します)
となります。
債権者や受遺者がいなかったり特別縁故者の財産分与の申立がない場合、申立が認められなかった場合には残った財産は相続財産管理人が国庫に帰属させ、国のものになります。
以上のような相続人不存在のケースでは、相続財産管理人を選任してから手続きが終わるまで最低でも1年以上かかることがほとんどです。
長期間の手続きに加えて、相続財産管理人には報酬が発生します。しかも、この報酬は基本的に遺産から差し引かれるのです。
あらかじめ法定相続人が存在しないとわかっている場合は、ご自身が財産を残したい方に向けて遺言書を作成しておくことをおすすめいたします。
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