【事例】離れて暮らしていた父が死亡。相続税はどのくらいかかりますか?(49歳男性 遺産7,300万円)【税理士・行政書士執筆】
「いい相続」や提携する専門家に寄せられた相続相談をもとに、その解決策を専門家が解説するケーススタディ集「相続のプロが解説!みんなの相続事例集」シリーズ。
今回は、離れて暮らしていた父の遺産の相続税申告について、49歳男性の方からの相談事例をご紹介します。
解説は、加藤会計事務所・加藤行政書士事務所の税理士・加藤 雅治さんと行政書士・加藤 京子さんです。
この記事を書いた人
〈税理士・行政書士〉
はじめまして。
加藤会計事務所・加藤行政書士事務所の所長の加藤雅治と申します。
大学院を卒業後、先代の父が経営する加藤会計事務所で相続業務に注力しております。
是非お気軽にご相談ください。
▶加藤会計事務所・加藤行政書士事務所
〈行政書士・申請取次行政書士〉
加藤会計事務所・加藤行政書士事務所で主に相続・会社設立業務を担当しております。
現在、巡回監査士の資格取得も目指しております。
丁寧な対応を心掛けておりますので、お気軽にご相談頂けると幸いです。
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相続税を減らすことはできる?
相談内容
母は5年前に亡くなり、先日父が亡くなりました。父は数年前から老人ホームに入っていて実家は空き家でした。相続税はどのくらいかかるのでしょうか?
- プロフィール:49歳男性
- お住まい:大阪府
- 相続人:長男(相談者本人)、長女の2名
- 被相続人:父
財産の内訳 | 内 容 | 評価額 |
---|---|---|
不動産 | 自宅戸建て(土地・家屋) 土地110㎡ |
土地3,000万円 家屋1,800万円 |
預貯金 | 1,500万円 | |
有価証券 | 500万円 | |
生命保険 | 契約者・被保険者:相談者本人 受取人:長男 |
500万円 |
※プライバシー保護のため、ご住所・年齢・財産状況などは一部架空のものです。
相関図
アドバイス1 特例を利用することで、相続税が減らせる可能性がある
相談者様はどのくらい相続税がかかるのか不安に思われているようですが、ご状況についてお伺いしますと、「小規模宅地等の特例の家なき子特例」が適用できる可能性があります。
小規模宅地等の特例の家なき子特例とは、相続により非同居親族が宅地を取得した際に小規模宅地等の特例(被相続人が住んでいた宅地や事業を営んでいた土地などを相続した場合に土地評価額を最大80%減額出来る制度です。)が受けられる制度です。
なお、「家なき子」とは制度の特徴を捉えた通称であり、税理士などの間で使われ始めた言葉と言われています。
アドバイス2 家なき子特例の条件
家なき子特例の条件は、以下に該当する必要があります。
- 被相続人に配偶者がいない
- 相続開始の直前、被相続人の自宅に同居していた法定相続人がいない
- 相続人となる親族が相続開始の3年前までに自分の持ち家、配偶者の持ち家、3親等以内親族の持ち家、特別の関係がある法人の持ち家に住んだことがない
- 相続開始時に住んでいる住居を過去に所有していない
- 相続税の申告期限まで相続した宅地を所有する
相談者様の場合は、被相続人の方が老人ホームに入居されてますので以下の条件にも該当する必要があります。
-
- 相続開始直前において被相続人が要介護認定等の認定を受けていたこと
- 被相続人が老人福祉等で認定された老人ホーム等に入所していたこと
アドバイス3 このケースの相続税額
すべての条件に該当し、家なき子特例を適用できる場合の相続税額を計算していきます。
1.遺産の合計額を計算する
土地3,000万円×80%=2,400万円
*特定居住用宅地等限度面積:330㎡
遺産の合計額
土地600万円+家屋1,800万円+預貯金1,500万円+有価証券500万円=4,400万円
*生命保険は契約者が相談者様のため、相続財産に含まれません。
遺産の合計額:4,400万円
2.相続税の基礎控除額を差し引く
基礎控除額:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
遺産の合計額:4,400万円-4,200万円=200万円
3.法定相続分で分けた場合の取得額を計算する
- 長男の取得額:200万円×1/2=100万円
- 長女の取得額:200万円×1/2=100万円
4.法定相続分で分けた場合の相続税額
- 長男の相続税額:100万円×10%=10万円
- 長女の相続税額:100万円×10%=10万円
このように、家なき子特例の適用によって相談者様の相続税額は10万円となりました。特例を利用しない場合、相続税額は145万円ほどになりますから、大きく相続税を抑えることができました。
相続税には、家なき子特例など税額を抑えられる制度がありますが、一般の方が理解し正しく計算するのは難しいかと思われます。「相続税がかかるかもしれない」「相続税がいくらかわからない」など少しでも不安があれば、お気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
〈税理士・行政書士〉
はじめまして。
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大学院を卒業後、先代の父が経営する加藤会計事務所で相続業務に注力しております。
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〈行政書士・申請取次行政書士〉
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