行政書士は怖くない!|バイク好きYouTuber行政書士・福森相仁氏インタビュー
この記事はこんな方におすすめ:
行政書士の相続業務への考えや思いについて知りたい方
- 行政書士に相談するハードルは全然高くない(身近な士業の代表格)
- 生前準備手続きは死後の場合と違って顧客に応じた柔軟な提案ができるため、それぞれの行政書士の特徴や強みが出やすい
- 死後の相続手続きをスムーズにするためにも生前からの準備が重要
京都市右京区で事務所を運営する福森相仁さん(行政書士ふくもり法務事務所)。不動産業界に30年、その間大手葬祭サービス企業の不動産部門などでもキャリアを積む中で、相続手続きに関する知識・経験を身につけられました。社会人入学した立命館大学で学んだ法律知識とサラリーマン時代の経験を生かし、節目の50歳目前で行政書士ふくもり法務事務所を開業されました。
福森さんは、行政書士としての考えや業務内容を知ってもらうべく、SNSや動画を通じて日常的な情報発信にも取り組まれています。今回は、サラリーマンから行政書士への転身を果たした福森さんのこれまでのキャリアや、行政書士の実像、相続業務への思いについてお話を伺いました。
【福森相仁氏のご経歴(HPより)】 昭和44年 京都市生まれ |
この記事の監修者
不動産業界歴30年。居住用不動産の仲介、販売から何千坪もの農地など事業用、投資用不動産に至る幅広い不動産取引に携わる。転機は27歳の春、立命館大学Ⅱ部法学部へ社会人入学。身に着けた法律知識や理論は不動産実務に大いに役に立ち実務者として大幅なスキルアップを実感し、50歳目前で行政書士事務所を立ち上げる。平成23年に発生した東日本大震災直後に参加した気仙沼でのボランティアで目の当たりにした現地の姿、また帰宅前夜に起きた最大余震(震度6弱)で宿舎の半壊を経験、人生観が変わる。
目次
30年勤めた不動産業界から転身、異色のキャリアについて
──福森さんの経歴は、ほかの行政書士さんとまったく異なっているように感じます。どんなキャリアを歩まれてきたのかを教えてください。
長らくサラリーマンをやっていて、不動産業界歴は30年です。法律を専門的に扱う仕事にはずっと関心があり、会社勤めをしながらも27歳で社会人入学した立命館大学法学部では法律を体系的に学びました。その後、50歳目前のタイミングで念願の事務所設立に至った感じですね。
──昼はサラリーマン、夜は学生として、相続に関する知識と経験を積まれたのですね。不動産会社での勤務後、40代で入社されたのは大手葬祭サービス企業ということですが、どんな業務を担当されていたのでしょうか?
葬儀会社では不動産部門所属でした。直接的にお客様と対応する部門ではなかったので、生前・死後の手続きを直接担当する機会はなかったのですが、有資格者として会社内での意見交換などを通し、相続関連の業務に触れる機会は多かったです。日々の業務の中で、多くのご遺族が相続手続きの中でご不安に思われる点への理解を徐々に深めていきました。
──元々は定年後に行政書士になることを考えていたそうですね。50歳目前での行政書士事務所の立ち上げに至った経緯についてお伺いしたいです。
最初はなかなかふんぎりがつかなかったんですけどね(笑)。経験を積んで一人前になるには少なくとも2~3年は必要だと考えると、定年後のスタートは遅すぎるように感じまして。
身近で気さくな行政書士
──「相続の手続きをお願いするなら弁護士か税理士?」という方が多いようですが、行政書士の一般的な認知度はどのくらいでしょうか?
弁護士や税理士に比べると、行政書士は全然認知されていないです。「行政書士ってよくわからないけど、弁護士と似たようなもの?」「行政?なんかとっつきづらくて相談料も高いのでは?」みたいなイメージをもっている方も多い気がします。
──たしかに行政書士事務所って、何を相談しに行く場所で、自分とどんな関係にあるのか想像がつきづらいかもしれません。個人的には、ちょっと敷居が高い印象もあるのですが……。
一般的にあまり知られていない上に、弁護士や税理士のイメージが先行して、相談するハードルが高くなってしまっているのかもしれません。そんな誤解を少しでも解いていただけるよう、「行政書士は決して怖くない(笑)」こと、気軽に相談できる身近な存在であることが伝わるような宣伝を意識しておこなっています。
行政書士に相談するハードルを下げたい
──福森さんは「もっと気軽に行政書士を活用してほしい」とおっしゃっていますが、悩みが漠然としていて、問題の所在がはっきりしない場合も相談に行っていいのでしょうか?
もちろんです。「遺言」とか「後見」とか、『よく分からないけど何となく不安』な状態でご相談くださって全く問題ありません。むしろその段階でご相談いただく方が良いかもしれません。いろいろとお話をお伺いし会話を掘り下げていく中で、解決すべき事柄や手続きの方法を絞り込んでいきます。
──「相談の場で基本的な質問をしてもいいのか迷ってしまう」「ちょっと質問しただけで大金を請求したりされないか心配」という不安の声もあるようです。
初歩的な質問大歓迎ですので心配ご無用です(笑)。弊所では、事前説明なしに後から費用請求をすることはありません。安心してご相談にいらしてください。
行政書士ライダーとは?行政書士をより身近な存在にするための試み
──福森さんはYouTubeに「行政書士ライダーちゃんねる」というご自身のチャンネルをお持ちです。さまざまな動画を配信されているのも、行政書士に相談する敷居を下げたいという思いからでしょうか?
その通りです。まずは人となりなども知っていただきたいので、動画ではまじめな話だけでなく、趣味の話(バイクや食レポなど)も発信しています。私は「一見怖そう」だけど「実際に会うと印象と全然ちがう!とても話しやすかった」と初対面の方によく言われますので、そのあたりのところをお伝えしたいという思いもあります(笑)。
──動画発信歴は大体1年ほどと伺いましたが、きっかけはなんだったのでしょうか?
きっかけは、趣味のバイクツーリングの様子を発信するモトブログ(バイク走行中の景色やツーリング風景を動画に残したもの)です。モトブログを何回かやっているうちに、行政書士事務所の宣伝にも活用できることに気づき、事務所を紹介する動画を作って配信を始めました。
行政書士が強みを発揮できるのは?
──数多くある相続手続きの中で、行政書士が扱える範囲について教えてください。
行政書士は生前対策と死後の相続手続きのどちらも扱うことができます。生前手続きで代表的なのは、遺言書の作成支援や、家族信託、後見といった業務です。死後の手続きで代表的なものは遺産分割協議書の作成や遺言執行ですね。手続きの途中で裁判をせざるを得ない程の紛争に発展するような場合は弁護士へのバトンタッチが必要です。また、不動産の相続登記は司法書士と連携して対応しています。
──生前手続きと死後の手続きのうち、福森さんが力を入れているのはどちらでしょうか?
生前手続きです。生前に遺言を書いておくだけでも死後の争族をかなり減らせること、生前だからこそお客さまに合わせた提案や工夫が幅広くおこなえることがその理由です。行政書士はご親族との関係性や資産の状況、将来的なビジョンや要望などを詳しくお聞きした上で、こまやかな対応ができる点が強みです。腕の見せどころでもあります。
──生前手続きは、行政書士それぞれの特徴や強みが色濃く反映される領域なんですね。ちなみに、福森さんがこれまでに受けた相続に関する依頼の中で印象深かったものはなんですか?
遺言などの生前準備ができずに相続が始まったケースです。京都は千年の都と言われるだけあって古い家屋が今もたくさん残っています。いわゆる京町屋(主に戦前、京都市内に建てられた木造家屋のこと)ですね。
いざ相続手続きを始めてみると、不動産の名義が相続人の親世代どころか祖父世代名義のままになっていることがわかりました。祖父の段階まで遡って手続きをする必要が生じたため、関係者は十数人にのぼりました。高齢の方や、遠方にお住まいの方も多く、戸籍を遡る中で戦前の家督相続手続きにぶつかる展開もありました。
新型コロナウイルス感染症の影響について
──福森さんに依頼される方はどういったルートで事務所までいらっしゃるのでしょうか?
Web経由(SNSや事務所HPなど)のお客さまと、過去に相談やご依頼をいただいた方、あるいは知人や同業者などからの紹介の方が半々、という感じです。以前はチラシも活用していたんですが、新型コロナウイルス感染症の影響で現在はそういう宣伝方法を自粛しており相続業務の依頼数も減っています。
──行政書士の皆さんも新型コロナウイルス感染症の影響を受けているんですね。
そうなんです。相続ジャンルの依頼者は高齢者の方が多いですから、ダイレクトに影響が出ている感じです。現在は相続以外の業務にも力を入れています。
──福森さん、ありがとうございました。
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