一番の節税対策は、相続に強い「税理士を選ぶ」こと|ブライト相続代表社員税理士・竹下祐史氏インタビュー
相続を専門とした税理士法人ブライト相続の代表社員税理士、竹下祐史さんに、相続で気を付けるべきこと、また法改正やマイナンバー制度が浸透することによってこれから相続がどのように変わっていくのか?お話を伺いました。
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- 相続は個別性が非常に強く、それぞれのご家族によっても異なる
- 対応する税理士によって相続税の納税額には大きな差が出る
- 距離は離れていても、相続専門の税理士に相談することをおすすめ
この記事の監修者
大手監査法人での上場企業の監査への従事や、相続専門大手税理士法人での相続税申告業務を経て、2019年に税理士法人ブライト相続を設立。これまでに対応した相続税申告の案件は約300件に上る。相続税申告、相続対策、家族信託・遺言作成コンサルティングなどの資産税業務を中心に活躍中。
▶ 税理士法人ブライト相続
豊富な経験をもとに、お客様に合わせて対応も変化させる
-ブライト相続の設立について教えてください
ブライト相続の設立は2019年1月です。
私はもともと相続専門の税理士として活動していましたが、お客様に寄り添って、よりきめ細やかなサービスを提供したいと思い、天満(ブライト相続代表社員税理士 天満亮氏)と2人で設立しました。
現在、ブライト相続には税理士が6名いますが、全員、相続税申告や税務調査など相続に関わる業務の経験が豊富なのが特徴です。いずれも相続専門で10年ほどの経験を積んでおり、対応した相続案件は300件を超えている者ばかりです。
税理士法人によっては、対応する税理士によって力量も異なりますが、私たちは誰が対応したとしても、質の高いサービスが提供できると自負しています。
-相続の対応で一番心がけている点は何でしょうか?
相続は個別性が非常に強く、それぞれのご家族によっても全く異なります。
ですので、お客様がどのようなタイプかに合わせて、私たちも対応を変化させています。
例えば遺産分割協議をする際に、ご家族によっては税理士がある程度、最初から遺産分割方法を提示した方が良い場合もあれば、余計な提案はせずにまっさらなままで臨んだ方が良いというご家族もいらっしゃいます。
「自分たちで決めたい」というご家族に、こちらから案を提示したらかえって気分を害されてしまうでしょうし、反対に「方向性を示して欲しい」というご家族にまっさらな状態で行っても「何もアドバイスしてくれない」となってしまいます。
これは非常に細かいところではあるのですが、経験がないとわからない部分でもあります。
-ご家族のタイプによって相続のお手伝いの仕方も変わるのですね
はい。また、相続の内容がもめそうかどうか?という点も重要です。
相続人同士の雰囲気から伝わることもあるでしょうし、財産の構成でも「もめやすい財産構成」と「もめにくい財産構成」があります。
もし、遺産の中に預金が多ければ、あまりもめるようなことなく、遺産分割が進むでしょう。しかし、相続財産の多くを不動産が占めており、相続人の人数も多いと、どう分ければ良いのか話し合いが難航することも多いでしょう。
このように、もめそうな要素が含まれているかどうかは最初の段階からわかります。家族構成、財産構成をもとに「こうではないか?」と仮説を立ててから実際にお会いして雰囲気を感じ取り、その上でどのように対応していくかという流れになります。
生前贈与による相続税対策は今後、難しさを増す!?
-相続を専門にされている中でも、ブライト相続が最も得意な分野は何でしょうか?
相続人の皆様の負担を減らすという点です。
税金の負担を少なくするためにできることは、土地の評価を最大限下げるということや、小規模宅地の特例を有利に適用していくことなどが考えられます。さらに二次相続の負担を少なくするためには分け方をどうしていくべきかなど、そういったご提案をしていきます。
また、税務調査が入る可能性を低くすることも、私たちの強みです。
その方法のひとつとして、私たちは申告書に添付する説明書類を手厚く、充実させています。
例えば、土地の評価額が決まったとします。その時に添付資料を付けずに申告書だけを提出すると、税務署としてはどのように土地を評価したのかがわかりません。
申告書の根拠がどこにあるのか、私たちは丁寧に書類を準備します。そうすることで税務署の方を迷わせずにすむので、後から調査に入る必要も減るわけです。
-最近は、インターネットや書籍で相続の情報も多く見受けられるようになりました。「自分で相続手続きができる」とうたったものもありますが、これから相続手続きをする方へのアドバイスはありますか?
小規模宅地等の特例の適用の仕方であったり、ご家族の名義預金、また生前贈与などをどう処理するかということは相続税への影響も非常に大きいですし、税務調査でも指摘を受ける可能性が高いでしょう。
ご自身で相続税の手続きをされる場合でも、これらの点は税理士に相談した方が良いと思います。
-実際に税理士の報酬を支払っても、依頼した方が得をするものなのでしょうか?
お客様が何を大切にしたいか?ということによっても変わります。
損得をどこで考えるか?ということなのですが、仮に経済的なことだけで言えば、さまざまな特例を適用して、結果的に「相続税がかからなかった」ということもあります。しかし、そうした計算をし、手続きをおこなった税理士に対する報酬はかかります。このように金額だけで「いくら節税できたから、経済的にこれだけのメリットがあった」ということはなかなかわかりにくいものです。
お客様によっては安心を求める方もいらっしゃれば、面倒な手続きはしたくないという方もいる。できるところは自分でやりたいという人もいれば、全部丸投げしたいという人もいる。それぞれの相談者がご自身の希望にあわせて、依頼するかどうか、また依頼する内容を判断していただくのが良いと思います。
-今後、相続はどのように変化するとお考えですか?
マイナンバー制度が浸透することで、税務署が情報をまんべんなくとることが、より容易になるでしょう。
また、生前贈与の贈与税の制度が変わる可能性も高いです。
今は、亡くなる前の3年以内の贈与については相続財産に戻して計算するというルールがありますが、今後、この範囲が広がるだろうと言われています。
そうすると、これまでのように生前贈与で相続税対策をすることが難しくなっていくでしょう。すでに税制改正の議論が始まっていますので、生前贈与の範囲や対象者が変わる可能性はあります。
-課税強化がさらに進むことが予想される中、今私たちが考えられる相続税の対策や、心がけておくべきことは何でしょう?
これまで相続税の対策として最もポピュラーだったのが、生前贈与です。年間110万円以下の生前贈与は、税理士が関与していなくても、一般の方がよくやられていることだと思います。
しかし、それが今後使えなくなる可能性があります。
そうすると、相続税対策の選択肢は狭まるでしょう。保険であったり、不動産であったり、専門的な知識が求められる方法を、有効に使っていく必要があると思います。
距離に関わらず、相続に強い税理士を
-相続が発生したら、どのような税理士に依頼するのが良いでしょう?もしも、竹下先生が税理士に依頼するとしたら、どのような税理士に頼みますか?
まず、絶対に相続専門の税理士を選んだ方が良いと思います。担当の税理士を選べるかどうかもポイントかもしれません。
相続税には還付という制度があり、申告した相続税を見直して、納め過ぎていた場合には取り戻すことができるのですが、ある相続人の相続税を私たちが見直したところ、数千万円もの税金が還付されるということがありました。このように、どの税理士が対応するかによって納税する相続税の額には大きな差が出るのです。
実は一番の節税対策は「税理士を選ぶこと」です。
相続税対応の経験が豊富といった税理士法人でも、実際に担当する税理士が相続税の経験が少ないということもあり得ます。
税金の負担を下げたい、手続きをスムーズに進めたいというのであれば、相続専門の税理士にご依頼していただくのが良いでしょう。
-近くに相続に強い税理士が見つからない場合はどうすればよいでしょう?
距離はあまり関係ありません。
私たちは東京と名古屋に事務所がありますが、それ以外の地域でも資料は郵送でもやり取りできますし、お電話やインターネットでの面談もできます。
ご高齢の方などインターネットが苦手な方もいらっしゃいますが、昨年の緊急事態宣言の時には、郵送とお電話での対応もさせていただきました。資料をしっかり作りこみ、お電話で丁寧にご説明することで、対面でのサポートと変わらないお手伝いも十分可能です。
お近くで相続に強い税理士が見つからないような時は、多少距離は離れていても相続専門の税理士に相談されることをおすすめします。
-ありがとうございました
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