法定相続情報一覧図とは?取得方法や取得できる人、取得までの流れを説明
相続手続きを進めるなかで「法定相続情報一覧図」というものを聞いたことがあるかもしれません。
法定相続情報一覧図とは、被相続人の相続関係がわかる公的書類です。法定相続情報一覧図があると戸籍関係書類の代わりとなり、相続手続きがスムーズに進みます。
この記事では、法定相続情報一覧図の取得方法や取得までの流れ、メリットなどを解説します。
目次
法定相続情報一覧図とは
法定相続情報一覧図とは、被相続人と相続人の関係が家系図のような表となった書類です。公的な証明書であり、法務局の登記官によって証明されています。
法定相続情報一覧図を提出すると戸籍謄本などの提出が不要になります。
法定相続情報証明制度
法定相続情報一覧図は、平成30年5月から運用開始された「法定相続情報証明制度」で扱われる証明書です。
法定相続情報証明制度とは、相続が発生した際、相続人を特定できる戸籍謄本などと法定相続情報一覧図を法務局に提出することによって、登記官の認証文が付いた一覧図の写しが交付される制度です。
申出人は受け取れる一覧図によって、法定相続人が誰なのかを証明できるようになります。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼法定相続情報一覧図が使える手続き
法定相続情報一覧図が利用できる相続手続きは、以下の通りです。
法定相続情報証明制度が使える手続きは当初相続登記のみでしたが、今ではさまざまな手続きで利用できるようになっています。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼法定相続情報一覧図のメリット・デメリット
メリット
法定相続情報一覧図のメリットは、なんといっても相続手続きを簡略化できることです。一覧図の写しが発行されることによって、さまざまな手続きで使用できます。戸籍謄本を何通も用意する必要がなくなり、手間や時間の削減が可能です。
ただし、そもそも相続手続きが少ない人や相続放棄の手続きを終えた人には、あまりメリットはないかもしれません。
また複数の名義変更手続きを同時におこなえたり、法定相続情報一覧図の写しを必要な数だけ交付してもらえるのもメリットといえます
デメリット
法定相続情報一覧図のデメリットとしては、作成の手間がかかることがあげられます。作成してしまえばその後の手続きは簡略化されますが、最初の準備や申請が必要です。一度は戸籍謄本等一式を集めなければいけません。
法定相続情報一覧図を取得できる人
法定相続情報一覧図は誰でも取得できるわけではありません。取得できる人は以下の通りです。
なお、被相続人および相続人が日本国籍でない場合、この制度は利用できません。
法定相続情報一覧図を取得する流れ
法定相続情報一覧図を取得するには必要書類を準備して申請する必要があります。
必要書類の準備
必要書類には、「必ず用意する書類」と「必要となる可能性がある書類」に分けられます。
必ず用意する書類
- 被相続人の戸籍謄本および除籍謄本…被相続人の本籍地である市区町村役場
- 被相続人の住民票の除票…被相続人の最後の住所地があった市区町村役場
- 相続人の戸籍謄本または抄本…各相続人の本籍地である市区町村役場
- 申出人の氏名、住所が確認できる公的書類(免許証、マイナンバーカードなど)
必要となる可能性がある書類
- 各相続人の住民票の写し(一覧図に相続人の住所を記載する場合)
- 委任状(委任する場合)
- 申出人と代理人が親族関係にあることを証明する戸籍謄本(親族が代理する場合)
- 資格者代理人団体所定の身分証明書の写しなど(資格者代理人が代理の場合)
- 被相続人の戸籍の附票(被相続人の住民票の除票が取得できない場合)
法定相続情報一覧図の作成
必要書類が揃ったら、戸籍と法務局の記載例をもとに法定相続情報一覧図を作成します。法務局ホームページから様式と記載例がダウンロードできます。
なお、作成にはいくつかのポイントがあります。
- A4サイズの縦向きで記載し、用紙の下5㎝は空白にする
- 手書きでもパソコン入力でも可
- 一覧図に記載する被相続人との続柄は、戸籍に記載されたとおりに記載する
- 一覧図に各相続人の住所を記載するかは相続人の任意
申請書を記入して法務局に提出
申請書に必要事項を記入し、必要書類と作成した一覧図とあわせて申出をします。申請する法務局は以下の管轄から選ぶことができます。
- 被相続の本籍地(亡くなった時点での本籍地)
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義である不動産の所在地
郵送での申請も可能ですが切手代がかかります。またあわせて返信用封筒と切手も同封します。
法定相続情報一覧図の交付
申出から交付までは法務局の混雑具合よりますが、数日から2週間程度かかります。法定相続情報一覧図交付予定票に記載された日になったら申出した法務局に受け取りに行きましょう。
受取の際には法定相続情報一覧図交付予定表と印鑑を持参します。
▼何をすればいいか迷っているなら、今すぐ調べましょう▼法定相続情報一覧図の取得にかかる費用
法定相続情報一覧図の取得の際、申出や交付手数料はかかりません。しかし戸籍謄本の取得などに数千円かかります。
また、行政書士などの専門家に作成を依頼した場合は目安として1万円程度の費用がかかります。
法定相続情報一覧図の有効期限
法定相続情報一覧図の有効期限は基本的にありません。ただし保険会社や銀行によっては有効期限を設けている場合があるため確認が必要です。
また、法務局での保管期間は申出日の翌年から起算して5年です。その間であれば無料で再発行ができます。
▼相続手続きは一人で悩まず専門家に相談しましょう▼この記事のポイントとまとめ
以上、法定相続情報一覧図について解説しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 法定相続情報一覧図を取得することで相続手続きがスムーズになる
- 法定相続情報一覧図の取得には戸籍謄本などが必要
- 法務局で5年間は法定相続情報一覧図の再発行ができる
法定相続情報一覧図を利用することで、煩雑な相続手続きをスムーズにおこなうことができます。
しかし、そもそも必要な戸籍の数が多かったり、相続手続きをする時間がないこともあります。相続手続きについて不安があれば、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
いい相続ではお近くの専門家との無料相談をご案内することが可能ですので、法定相続情報一覧図や相続手続きでお困りの方はお気軽にご相談ください。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きを依頼した方のインタビューはこちら
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