相続税の無申告はばれる?税務調査や加算税、時効、配偶者控除など解説
相続税の無申告は、税務署にばれるのでしょうか?ばれない方法はあるのでしょうか?
また、どのような場合に税務調査が入るのでしょうか?
無申告がばれると、どのような罰則があるのでしょうか?税金が加算されるのでしょうか?
期限後申告でも配偶者控除を受けることはできるのでしょうか?無申告のまま何年かすると、時効となって相続税を払わなくてもよくなるのでしょうか?
この記事では、相続税の無申告に関する疑問についてご説明します。
目次
申告する必要ない場合
そもそも、課税価格の合計額が基礎控除額以下である場合、相続税の申告をする必要はありません(小規模宅地等の特例や特定計画山林の特例などを適用することにより基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要があります)。
基礎控除額は、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)の算式で計算します。
また、課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合であっても、未成年者控除、障害者控除及び相次相続控除の適用を受けることによって納付すべき税額が無くなる場合は、申告不要です。
そして、相続放棄や遺産分割の結果、財産を取得しなかった人も相続税申告は不要です。
▼相続手続きは一人で悩まず専門家に相談しましょう▼無申告が税務署にばれる理由
なぜ、相続税の無申告が税務署にばれるのでしょうか?
まず、役所に死亡届が出されると、規定により役所から税務署に通知されるため、税務署が相続開始を把握することができます。したがって税務署は死亡の事実を遅くとも死亡日から2ヶ月以内には知ることができます。
さらに税務署は、独自の情報網(KSKシステム)により故人の財産を把握することができます。
無申告がばれた場合の流れ
無申告が税務署にばれると、その後は、どうなるのでしょうか?
まずは、税務調査で申告漏れの指摘を受け、期限後申告を促されることになります。
期限後申告した場合は、通常、相続税に加えて、無申告加算税及び延滞税が課されます(期限後申告をしても、配偶者控除の適用を受ける等して、税額が生じないこともあります)。
また、財産を隠蔽又は仮装していた場合は、無申告加算税に代えて、より税率の高い重加算税が課されることなります。
なお、税務署の指摘に従わず、期限後申告をしない場合は、税務署が相続税の税額を決定する処分が下されることになります。
▼どの程度相続税がかかるか計算してみましょう▼税務調査が入る可能性が高いケース
無申告の場合に税務調査が入る可能性が最も高いのは、税務署から事前に「相続税の申告等についてのご案内」という書類が届いているケースです。
「相続税の申告等についてのご案内」は、被相続人の死亡の半年後頃に、相続人の住所地に郵送されます。
相続税の申告等についてのご案内には、「相続税の申告書または相続税の申告要否検討表の提出をお願いします。」と記載され、返信用封用が同封されています。
相続税の申告書と相続税の申告要否検討表のどちらも提出しなくても罰則等はありませんが、その場合は、税務調査の対象となる可能性が高いです。「相続税の申告等についてのご案内」が届いた場合は、税務署が、事前に掴んでいる情報から、申告が必要である可能性が極めて高いと判断しているケースです。
ちなみに、相続税の申告要否検討表に事実と異なる記載をしても直接の罰則はありませんが、それによって申告要否の判断を誤る可能性があり、結果的に、無申告加算税や延滞税を課せられることになる可能性がありますし、税務調査と対象となる可能性も益々高まるでしょう。
したがって、「相続税の申告要否検討表」に記入する際は、しっかりと財産調査をした上で、正確に記載しましょう。
また、書き方がわからない場合は税務署か税理士に相談するとよいでしょう。
また、被相続人の死亡の半年後頃に、「相続税の申告等についてのご案内」ではなく、「相続税についてのお知らせ」という書類が届くことがあります。
「相続税についてのお知らせ」が届いた場合は、要否検討表のような提出書類はありませんが、内容物に目を通し、申告要否を検討しましょう。
なお、相続税の申告等についてのご案内も相続税についてのお知らせも届かない場合でも、無申告で税務調査の対象となった事例は存在しますので、何も届かない場合でも、申告の要否はしっかりと検討しましょう。
自分で申告要否を検討することが難しい場合は、税理士に相談するとよいでしょう。
▼今すぐ診断してみましょう▼税務調査の連絡前に期限後申告をすると無申告加算税の税率が低くなる
期限後申告をした場合、原則として、無申告加算税が課せられますが、その税率は、税務調査の事前通知の前後、及び、税務調査の前後で、それぞれ異なります。
税務調査の事前通知前が最も税率が低く5%、税務調査の事前通知後から税務調査前の期間が、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%、税務調査後が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%です。
なお、期限後申告を法定申告期限から1か月以内に自主的に行った場合は、無申告加算税は課されません。
したがって、期限内に後から申告の必要があったことに気が付いた場合は、なるべく早く期限後申告をした方がよいでしょう。
税務調査の時期
相続税の税務調査の対象となった場合、通常、申告の翌年か翌々年の8月〜11月に税務署から連絡がきて、9月〜12月に実施されます。
この時期を過ぎると、税務調査が入る可能性は格段に低くなります。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼無申告の場合の税務調査の流れ
税務調査は、一般的に以下のような流れでおこなわれます。
税務署から税務調査の連絡が来る
無申告で税務調査の対象となった場合は、税務署から相続人へ連絡があります。連絡の目的は実地調査の日程調整です。他の相続人とも日程を調整して、実地調査の日程を決めます。
税務調査の連絡があった場合は、すぐに相続税に強い税理士に相談することをお勧めします。
実地調査までの間に、税理士と相談のうえ、相続財産の洗い出しや評価を行い、本当に申告の必要がなかったかを検討しましょう。
調査当日までに、次の資料を手元に用意しておくと、調査官から求められたときに慌てずに調査がスムーズに進むのでよいでしょう。
- 相続税申告時に用いた資料の原本
- 預貯金通帳(被相続人と相続人のもの)
- 土地の権利証や不動産購入時の資料
- 相続人の認印
また、税務調査を待たずして申告が必要であったことが明らかになった場合は、税務調査前に期限後申告をしましょう。前述のとおり、無申告加算税の税率が低くなります。
調査当日
必ずしも、相続人全員が立ち会えなくても構いませんが、出来る限り立ち会った方がよいでしょう。
実地調査は、被相続人が最後に住んでいた家で行われることが多いですが、既に手放していたり、財産を別の場所に移している場合は、相続人の自宅や、財産を移した場所で行われます。
実地調査は、通常、1日で終わりますが、1日で終わらない場合は、別日に再度実地調査が実施されることもあります。
調査当日は、申告を依頼した税理士や、調査に先立ち新たに依頼した税理士に同席してもらうことができます。
調査は、午前10時に開始され、早ければ午後3時頃、遅くとも午後5時頃には終わります。調査官は通常2人で来て、午前中は、調査官から質問に答えるかたちで進みます。
午後は通帳などの資料や、貴重品の保管場所等を確認したうえで、調査官から申告漏れ等に関する具体的な指摘があることもあります。
また、調査官からの質問に対して回答した内容を、調査官が書面にまとめるので、その書面を確認して、間違いがなければ署名押印します。
税理士に立ち会ってもらっている場合は、税理士にも確認したうえで、署名押印した方が良いでしょう。
調査結果
実地調査のあとは、税務署職員は申告内容に誤りがないか最終確認し、後ほど調査結果の連絡があります。
明らかな誤りがあった場合は、修正申告書を作成して提出することになります。提出後、税務署から延滞税や過少申告加算税の連絡があるため、延滞税等を支払って税務調査は終了になります。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼相続税の時効
相続税は、原則として、法定納期限から5年で時効にかかり納付義務がなくなります(相続税の法定納期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月)。
したがって、法定納期限から原則として5年経てば、税務調査が入ることもありませんし、自ら期限後申告をする必要もありません(しようとしても受け付けてもらえません)。
ただし、偽りその他不正の行為により税額を免れた場合は、時効期間が7年になります。
▼あなたに必要な相続手続き、ポチポチ選択するだけで診断できます!▼期限後申告でも配偶者控除を受けられる
相続税の配偶者控除とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
- 1億6千万円
- 配偶者の法定相続分相当額
期限後申告(法定申告期限後の申告)でも配偶者控除を受けることはできます。なお、この制度の対象となる財産には、仮装または隠蔽されていた財産は含まれません。
例えば、仮装又は隠蔽されずに期限内に申告されていた財産が6千万円で、仮装または隠蔽されていた財産が1億円あったとすると、配偶者控除を受けられるのは前者の6千万円についてのみになります。
▼まず、どんな相続手続きが必要か診断してみましょう。▼まとめ
今回は、相続税の無申告について説明しました。相続税の無申告はほぼばれると思いますので、期限が過ぎても早めに相続税申告・納付をしてください。
相続税の申告要否の判断がつかない場合は、相続税に強い税理士に相談したほうがよいでしょう。いい相続では相続に強い税理士を紹介していますので、ぜひご利用ください。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
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