相次相続控除で相続税を安くするために絶対に知っておくべき10のこと
本記事は、いい相続の姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2018年11月26日に公開された記事を再編集したものです。
父が亡くなり、遺産を相続した母がすぐに亡くなった場合のように、相次いで相続が生じた場合に、度々相続税を支払うはめになってしまいます。
そのような場合には、相次相続控除の適用を受けることで、相続税を安くすることができる場合があります。
相次いで大切な人を亡くしてしまった心の痛みに加えて、余計な相続税まで支払うはめにならないよう、相次相続控除の仕組みをしっかりと理解して、大切な人が遺してくれた財産を無駄にしないようにしましょう。
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相次相続控除とは?
相次相続の読み方
相次相続の読み方は「そうじそうぞく」です。
相次相続とは?
相次相続とは、相次いだ(あいついだ)相続のことを言います。
ある人が亡くなり、その遺産が相続され、それからあまり年月が経たないうちに、今度は先ほどの遺産を相続した人が亡くなって次の相続が行われた場合の一連の相続を相次相続と言うのです。
相次相続控除とは?
相次いだ相続の間の期間が10年以内であれば、相続税の控除(こうじょ)を受けることができます。
この控除のことを相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)と言います。
相次相続控除の要件
相次相続控除の要件は次の通りです。なお、被相続人とは亡くなって財産を残す人のことです。
- 控除適用者が二次相続の相続人であること
- 一次相続から10年以内に二次相続が生じていること
- 二次相続の被相続人が一次相続で財産を取得し相続税が課税されていること
相次相続控除を受ける人は、二次相続の相続人でなければなりません。
相続人以外で、遺言によって財産を贈られた人は対象外です。
相続放棄して死亡保険金だけもらって相続税を納めた場合も対象外です。
また、二次相続の被相続人が一次相続の際に相続税が課税されていることが要件となっています。
一次相続で財産を取得しただけで、相続税が課税されていなければ、対象外です。
出典:国税庁ウェブサイト
兄弟でも相次相続控除は受けられる
前述の要件を満たせば兄弟でも当然、相次相続控除の適用を受けることができます。
一次相続が兄弟間相続でも、二次相続が兄弟間相続でも、両方が兄弟間相続でも構いません。
被相続人と相続人の続柄は問われないのです。
父死亡、母死亡のケースでも相次相続控除は受けられる
この点も質問を受けることがあるので、念のため触れておきますが、父死亡、母死亡のケースでも相次相続控除の適用を受けることができます。
相次相続と言うと、祖父母世代が一次相続で、二次相続が父母世代のケースを想像する人が多いようですが、実際は、世代は関係ありません。
配偶者控除を受けていても相次相続控除を受けられる
一次相続で相続税の配偶者控除(配偶者の税額の軽減)を受けた人が亡くなって相次相続が生じた場合でも、前述の要件を満たす場合は、相次相続控除の適用を受けることができます。
もっとも、配偶者控除を受ける場合は、相続税が課税されないこと多いですが、一次相続で相続税が課税されていない場合は、相次相続控除の適用を受けることはできません。
なお、これは、資産額が非常に大きい場合の話ですが、一次相続で配偶者が多額の財産を相続した場合には、二次相続時の相続税と合算した総相続税額で不利になることがあります。この点は、税理士の中でも特に相続に精通した税理士でなければ把握していないこともあるぐらい非常に専門的な話になります。資産額の大きい方は、相続に精通した税理士に早めに相談するようにしましょう。
また、二次相続で配偶者控除と相次相続控除を併用することは問題ありません。
もっとも、前述の通り、配偶者控除を受けるとそもそも相続税が全額控除されている状態になり併用の必要性はないケースが多いでしょう。
未分割でも相次相続控除を受けられる
遺産分割前でも相次相続控除を受けることができます。
「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出する必要もありません。
遺産分割前に相続税を申告する場合は法定相続分で相続したと仮定して相続税の申告を行います。実際の相続分が法定相続分と異なった場合は、修正申告や更正の請求を行います。
同時死亡は相次相続ではない
相続開始時に生きている人でなければ相続人とはなれません。
よって、同時に死亡した人同士の間では相続は発生しません。
したがって、同時死亡の場合は、相次相続控除の対象にもなり得ません。
なお、同時に死亡した場合だけでなく、どちらが先に死亡したか分からない場合も同時死亡が推定されることになっています。
相次相続控除による控除額の計算
相次相続控除額は次の式で計算することができます。
A × C ÷(B − A)× D ÷ C ×(10 − E) ÷ 10
※C ÷(B − A)が100/100を超えるときは、100/100とする。
- A:二次相続の被相続人の一次相続における相続税額
- B:二次相続の被相続人の一次相続における純資産価額
- C:二次相続における純資産価額の合計額
- D:二次相続における相次相続控除適用者の純資産価額
- E:一次相続の開始から二次相続の開始までの経過年数(端数切捨て)
相次相続控除の申告方法
相次相続控除によって相続税がかからなくなる場合は、相続税の申告は不要です。
相次相続控除がなければ相続税がかかるケースでも、相次相続控除によって相続税がかからなくなるのであれば、申告不要です。
相次相続控除を受けても相続税がかかる場合は、相続税の申告が必要です。
相次相続控除の適用を受ける場合は、相続税申告書の第7表(相次相続控除額の計算書)を提出する必要があります。
また、一次相続の申告のうち、「第1表」「第11表」「第11表の2」「第14表」「第15表」のコピーの添付が必要です。
なお、「11表の2」と「14表」については一次相続時に提出していない場合がありますが、その場合は不要です。
申告期限は、相次相続控除の適用を受けようとする場合も、そうでない場合も変わりはありません。
相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
申告時に相次相続控除を適用しなかった場合でも、更正の請求時や修正申告時に適用を受けることができます。
相次相続と、数次相続、再転相続との違い
相次相続と似た言葉に、数次相続(すうじそうく)と、再転相続(さいてんそうぞく)があります。
いずれも、ある相続の相続人が相続後ほどなくして亡くなり次の相続が生じるケースのことであるという点で共通しています。
二つ目の相続(二次相続)が生じたタイミングが、一つ目の相続(一次相続)を基準にしていつなのかという点から、これらの用語を使い分けることができます。
相次相続控除は法定の制度なので、この点、明確な定義があり、一次相続と二次相続の間の期間が10年以内の場合に該当することとされています。
対して、数次相続や再転相続は、関連した法定の制度はないので、明確な定義はありません。
よって、ここでは、一般的に使われている意味をお伝えします。
再転相続は、ある人が死亡し、その相続に関する熟慮期間(相続を承認するか放棄するか決める期間)中に、相続人が死亡した場合です。
数次相続は、一次相続の相続手続が済む前に二次相続が発生した場合です。
したがって、一次相続開始からの期間の短さは、再転相続が最も短く、数次相続が次、相次相続が最も長いということになります。
なお、数次相続について詳しくは「数次相続とは?数次相続の手続を損なくスムーズに進めるための全知識」をご参照ください。
まとめ
以上、相次相続控除について説明しました。
相次相続控除以外にも、知っていれば相続税を安くできる制度はあります。
相続税対策に精通した税理士を探して早めに相談するようにしましょう。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
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