相続税の未成年者控除とは?適用要件や計算方法などを解説
未成年の相続人でも相続税を納める必要がありますが、未成年は、相続税の未成年者控除を受けることができます。その分、相続税が安くなります。
しかし、控除額や相続税の税額は税務署が計算してくれるわけではなく、税理士に依頼するか、自分で計算して申告しなければなりません。
自分で申告する場合は、適用漏れがないように注意しましょう。税理士に依頼する場合は未成年者控除を適用させて税額を計算してくれます。
この記事では、未成年者控除についてわかりやすく説明します。
相続税の未成年者控除とは?
相続税の未成年者控除とは、相続人が未成年者の場合に利用できる相続税の軽減制度です。本来納めるべき納税額から一定額を控除することができます。
未成年者控除が受けられる人
未成年者控除が受けられるのは次のすべてに当てはまる人です。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除きます。)又は、相続や遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がない人でも次のいずれかに当てはまる人
- 日本国籍を有しており、かつ、その人が相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人。
- 日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除きます。)。
- 日本国籍を有していない人(被相続人が、一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人である場合を除きます。)。
※「一時居住者」については、相続人が外国に居住しているときのQ相続税の納税義務者の範囲等をご覧下さい。
※「一時居住被相続人」、「非居住被相続人」及び「非居住外国人」については、相続人が外国に居住しているときをご覧下さい。
- 相続や遺贈で財産を取得したときに18歳未満である人
- 相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であること。
法定相続人とは、民法の規定によって相続人となる人です。
未成年者控除額の計算方法
未成年者控除の額は、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額です。計算式は以下のとおりになります。
未成年者控除=(18歳-相続したときの年齢)×10万円
また、年数の計算は満年齢でおこなうため、1年未満の期間があるときは切り捨てて計算します。
例えば、未成年者の年齢が15歳9か月の場合は、9か月を切り捨て15歳で計算します。この場合、18歳までの年数は3年になります。したがって、未成年者控除額は、10万円×3年で30万円となります。
未成年者控除が余った場合
なお、未成年者控除額が、その未成年者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない(余る)ことがあります。この場合は、その引き切れない部分の金額をその未成年者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。
扶養義務者とは、配偶者、直系血族(父母、子、祖父母、孫など)及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族(おじ・おば、甥姪など)のうち一定の者(家庭裁判所が扶養義務者と定めた者)をいいます。
未成年者控除の申告方法
相続税の未成年者控除を受けることによって相続税額の全額が控除される場合は、相続税の申告も、未成年者控除を受ける旨の申告も不要です。ただし、遺産額等の計算については、法的な見解が必要となる場合もありますので、税理士等専門家への相談を行った方が安心です。
控除額を差し引いても税額が残る場合は相続税の申告が必要です。
未成年者控除を受けて相続税申告をする場合は、申告の際に、相続税申告書の第6表(「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」)に必要事項を記入して提出します。様式等は国税庁ホームページよりダウンロードしてください。
未成年控除をしないで相続税申告をしてしまった場合
未成年者控除を受けられたにもかかわらず、適用せずに申告・納付してしまった場合は、申告期限から5年以内であれば、「更正の請求」という手続きをとることによって、払い過ぎた相続税を取り戻すことができます。
更正の請求の手続き方法が分からない場合は、相続税に強い税理士に相談するとよいでしょう。
まとめ
今回は相続税の未成年者控除について説明しました。
相続税には未成年者控除に限らず、配偶者控除や小規模宅地の特例などさまざまな税額軽減制度があります。税理士に依頼することで相続税の計算ミスを防げたり、相続税を減らせる可能性もあります。
相続に強い税理士をお探しの方はお気軽に「いい相続」までご連絡ください。
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