換価分割の遺産分割協議書の文例とひな形
遺産分割の方法のひとつに換価分割という方法があります。遺産を売り、その代金を相続人で分割する方法です。
この記事では、換価分割を行った場合の遺産分割協議書の文例ついて紹介します。ひな形も掲載しているので、参考にしてください。
この記事はこんな方におすすめ:
「換価分割の遺産分割協議書について知りたい人」
この記事のポイント:
- 換価分割とは、不動産などを売却し得られた売却金を相続人間で分割する方法
- 不要な遺産を処分でき、かつ公平に遺産を分けられるのがメリット
- 換価分割をする前に不動産の名義変更をする必要があり、登記のやり方によって遺産分割協議書の記載の仕方が異なる
換価分割とは
換価分割とは、不動産などを売却し得られた売却金を相続人間で分割する方法です。換価分割は不要な遺産を処分でき、かつ公平に遺産を分けられるメリットがあります。
換価分割のほかに、現物分割や代償分割といった分割方法があります。
現物分割とは
最も一般的な分け方で、預貯金や株、不動産などの財産を「そのまま分割」する方法です。例えば不動産は長男、株式は次男、預貯金と車は長女が相続する場合などです。
現物分割のメリットは「対象の遺産を一人ずつ引き継ぐ」だけなので、手続きが簡単なことです。一方デメリットとして、財産によっては公平に分けるのが難しいことも。
代償分割とは
代償分割は、相続人のうち一人もしくは数人で不動産などを現物で相続して、不動産を取得した人がほかの相続人に見合った代償金を支払うものです。
スムーズかつ公平に遺産分割ができるというメリットがある一方、代償金を支払う相続人にかなりの資金力が必要になるというデメリットがあります。
▼めんどうな相続手続きは専門家に依頼しましょう▼共有登記か単独登記かによって遺産分割協議書の書き方が異なる
換価分割をする前に、亡くなった人の名義のままでは遺産を売却することはできないので、遺産の名義を亡くなった人から相続人に変更しなければなりません(不動産の場合は所有権移転登記)。
換価分割の対象が不動産の場合、事前準備のための登記の方法として、次の2つがあります。
- 換価代金の取得割合に応じた持分で共有登記をする方法
- 換価代金を取得する相続人の中から換価手続きを行う代表者を一人選び、その人の単独登記をする方法
どちらの方法を採用するかによって遺産分割協議書の書き方が異なります。それぞれのメリット・デメリットについて、見ていきましょう。
換価代金の取得割合に応じた持分で共有登記をする方法
メリット
共有登記は複数人の名義で登記する方法です。相続人の間で話し合って代表者を決める必要がないので、そのトラブルを回避することができます。
また、登記が実態に即したものとなるため、税金関係の問題が起こりにくいというメリットもあります。
デメリット
複数人が名義となっていると、不動産売買などの場面で全員が当事者として関わらなければなりません。不動産会社との売買契約書やいろいろな書面でも、相続人全員が署名押印をしなければなりません。
換価代金を取得する相続人の中から換価手続きを行う代表者を一人選び、その人の単独登記をする方法
メリット
相続人の一人が代表者として売却手続きができるので、スムーズに進められます。書類の押印なども一人分で済むようになります。
デメリット
「相続人間で意見が合わなかったのに、代表者が進めてしまった」「代表者が売却金を渡してくれない」などのトラブルが発生する可能性があります。
また名義人となった代表者のもとに固定資産税の納税通知書が届くので、誰が支払うかのトラブルになるリスクも。長期に渡って放置せず、速やかに売却手続きを進めるのが良いでしょう。
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換価分割の遺産分割協議書の文例
共有登記では売主が複数いることで換価手続きが煩雑になるので、単独登記が選択されることが多いようです。
よって今回は、単独登記の場合の遺産分割協議書の書き方について説明します。
換価分割する場合の遺産分割協議書の文例を以下に示します。
1.次の土地については、売却し、その売買代金から売却に要する一切の費用を控除した残金を、甲、乙及び丙が、それぞれ3分の1の割合で取得する。 所 在 東京都〇〇市〇〇町△丁目 2.乙は、相続人を代表して前項の土地の売却・換価手続を行うものとし、前項の土地を売却後、甲及び丙に対して、同項の残金について同項に定める割合を支払う。 3.甲、乙及び丙は、第1項の土地を売却し買主に引き渡すまで、これを共同して管理することとし、その管理費用は、同項に定める割合に従って負担する。 |
上記は不動産の換価分割の際の文例になりますが、遺産分割協議書に「換価分割のために便宜上名義変更をする」と換価分割を行ったことの分かる記載をすれば、分配した換価代金に贈与税がかかることは基本的にはありません。
しかし登記後、換価(不動産の売却)までに相当の期間が空いてしまった場合等は、実態としては「贈与」とみなされ、贈与税が課される可能性があるので、速やかに換価(不動産の売却)をすることをおすすめします。
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換価分割のよくある質問
換価分割についてよく聞かれる質問を集めました。
換価分割とは何ですか?
換価分割とは、不動産などを売却し得られた売却金を相続人間で分割する方法です。
換価分割のメリットを教えてください。
換価分割は不要な遺産を処分でき、かつ公平に遺産を分けられるメリットがあります。
換価分割のほかに、どんな分割方法がありますか?
換価分割のほかに、現物分割や代償分割といった分割方法があります。
▼相続手続きは一人で悩まず専門家に相談しましょう▼まとめ
以上、換価分割の場合の遺産分割協議書について説明しました。
換価分割の遺産分割協議書は、前述のとおり、書き方を間違えると、換価代金の分配金に贈与税が課されるおそれがあります。
そのようなことにならないように、遺産分割協議書の作成は行政書士などの専門家に作成を依頼することをおすすめします。
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