自筆証書遺言の改正点をわかりやすく説明!
本記事は、いい相続の姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2019年10月2日に公開された記事を再編集したものです。
2018年7月6日、相続に関する民法等の規定を改正する法律が成立し、13日に公布されました。今回の改正は、約40年ぶりの相続法の大きな見直しです。
相続法の改正点は多岐にわたりますが、この記事では、自筆証書遺言についての改正点について、詳しくわかりやすく説明します。
是非、参考にしてください。
この記事を書いた人
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自筆証書遺言の改正点
今回の相続法改正における自筆証書遺言に関する改正点は、次の2点です。
- 自筆証書遺言に添付する財産目録が自書でなくてもよくなる
- 自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになる
以下、それぞれについて説明します。
自筆証書遺言に添付する財産目録が自書でなくてもよくなる
改正点
自筆証書遺言とは、自筆(自書)で書かれた遺言のことです。改正前は、自筆証書遺言は、全文自書しなければなりませんでした。
特定の財産を特定の人に与える場合は、財産を特定できる項目を記載する必要があります。
例えば、預貯金であれば金融機関名や口座番号、不動産であれば登記事項(所在地、地目、地番、地積など)を記載しなければなりません。
改正前は、これらも含めて全文を自書しなければなりませんでした。
この点、改正法では、パソコンで作成した財産目録や預貯金通帳のコピー、登記事項証明書を添付することができるようになりました。
自書ではない別紙を添付する場合は、別紙のすべてのページ(両面ある場合は両面にそれぞれ)に署名と押印が必要です。
いつから施行された?
この改正の施行日は2019年1月13日です。
施行日より前に作成した自筆証書遺言は、改正前の要件を満たしていなければ(つまり、財産目録も含めて全文自書しなければ)無効になります。
施行日が関係するのは、相続開始日ではなく、遺言書の作成日なので、ご注意ください。
相続開始が施行日以降でも、遺言書作成日が施行日より前であれば、財産目録も自書でなければなりません。
自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになる
改正点
改正前の現行法の下では、自筆証書遺言を公的機関で保管する制度はありません。
この点、改正法(「法務局における遺言書の保管等に関する法律」、略称「遺言書保管法」)では、自筆証書遺言を法務局で保管することができるようになります。
この制度の手続の流れは次のようになります。
- 遺言者(代理不可)が、(遺言者の住所地・本籍地または遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する)法務局に、法務省令で定める様式で作成した無封の遺言書を持参して申請
- 法務局で本人確認と形式審査を行い、問題がなければ、遺言書を保管
- 相続開始
- 相続人や受遺者(遺言によって遺産を与えられる人)等の相続関係人が、法務局に、遺言書情報証明書の交付や、遺言書の閲覧を請求
- 遺言書が保管されていれば、法務局は、請求に応じるとともに、他の相続人や受遺者等に、遺言書を保管していることを通知
- 遺言書の検認手続は不要で、遺産の承継者は、すぐに相続手続が可能
この制度を利用する主なメリットには、次の3つがあります。
- 遺言書の紛失や破棄の心配がない
- 形式不備で無効となる心配がない
- 検認不要ですぐに相続手続に入れる
いつから施行される?
遺言書保管法の施行日は、2020年7月10日です。施行日から法務局で遺言書を保管してもらえるようになります。
まとめ
以上、自筆証書遺言の改正点について説明しました。
不明な点については相続の専門家に相談するとよいでしょう。
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