遺産分割協議書の作成は誰に頼むのが良い?費用はどのくらい?【行政書士監修】
遺産分割協議書の作成を依頼する際に、気になるのはその費用だと思います。また行政書士や司法書士など、どの専門家に頼めば良いかわからない人も多いのでは?
この記事では、遺産分割協議書の作成を依頼すべき士業や、費用について説明します。是非、参考にしてください。
この記事はこんな方におすすめ:
「遺産分割協議書の作成をしたい人」「遺産分割協議書の作成を頼みたい人」
この記事のポイント:
- 戸籍などの必要書類の収集や銀行の解約手続き等を一緒に依頼したい場合は、行政書士がおすすめ
- 遺産分割協議書に記載したい財産が不動産だけの場合は、司法書士がおすすめ
- 紛争が予想されている場合や生じている場合は、弁護士に依頼するしかない
この記事の監修者
〈行政書士、宅地建物取引士、相続診断士〉
山口県周南市、下松市、光市、防府市の4市で、相続(終活)を専門として日々活動しております。「笑顔相続」の案内人として一つ一つの案件に丁寧に対応させて頂いております。
▶玉野行政書士事務所
遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書とは、その名称のとおり、遺産分割協議の結果を書面にしたものです。預金や不動産の手続きや相続税申告など、相続手続きのさまざまな場面で、遺産分割協議書の提出を求められます。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは相続人全員が参加して行うもので、誰がどの遺産をどれだけ相続するかを話し合います。遺産分割協議の内容に相続人全員が合意したら、遺産分割協議書を作成します。作成することによって、遺産分割協議の内容を対外的に証明し、のちの相続人同士の紛争を防ぎます。
遺産分割協議書にテンプレートはある?
遺産分割協議書の書式は法的には定められていませんが、使用する先が独自のひな形(テンプレート)での作成を要求する場合があります。もし、すでに作成してしまっているときは、先方のひな形と違うけれど使用できるかどうか確認してみましょう。
▶テンプレートから書き方まで詳しく知りたい方は「遺産分割協議書のひな形をダウンロードして自分で簡単に作成する方法」を参照してください。
遺産分割協議書は誰が持つべき?
遺産分割協議書には相続人全員が署名し、押印(捺印)をする必要があります。また印鑑証明書も添付します。完成した遺産分割協議書は、相続人全員が同じものを1通ずつ所持します。
ですから、通常専門家は遺産分割協議の内容を証明する「遺産分割協議証明書」を作成しています。この証明書であれば、相続人ごとに署名捺印して頂くので、相続人が遠方に住んでいる場合や、相続人が多い場合など、郵送で回す手間を省き、書類の破損や紛失を防ぐことができます。相続人全員の遺産分割協議証明書をまとめると、遺産分割協議書と同じ役目を果たします。
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書の違いについては「遺産分割協議証明書とは?メリットデメリットや遺産分割協議証明書との違い、書き方の見本付き【行政書士監修】」を参考にしてください。
遺産分割協議のやり直しはできる?
遺産分割協議は、相続人全員の合意があれば「やり直し」は可能です。
ただし遺産分割協議をやり直すには時間も手間もかかりますし、相続人全員の合意が再度必要になります。本当にやり直したほうが良いのか、よく検討する必要があるでしょう。
▼今すぐ診断してみましょう▼遺産分割協議書の作成は誰に頼むべき?
この記事を読んでいる方は、おそらく遺産分割協議書の作成を専門家に依頼を検討しているかと思います。
実際、遺産分割協議書は自分で作成することもできますが、不慣れな人が作るのは時間と手間がかかりますし、不備が(相続財産の漏れや大事な文言を記載していない場合等)生じる可能性もあります。
遺産分割協議書に不備があると、記載の訂正が必要になります。特に、被相続人の相続財産に関する記載の訂正には、相続人全員の押印(捺印)が必要です。
そのため、自分で作成する時間がない方や不備があった場合など自分で修正する等の手間をかけたくない方、話し合いに集中したい方、他の手続きをしたい方などは専門家に作成を依頼すると安心です。
遺産分割協議書の作成を代行してくれる専門家は、以下の3士業です。
行政書士に依頼すべき場合
行政書士に遺産分割協議書の作成を依頼すべき場合は、遺産分割協議が整い、遺産分割協議書の作成のみお願いしたい場合です。
遺産分割協議書作成の料金の目安は88,000円程で、他の士業より安価になる場合もあります。
さらに行政書士は、必要書類である戸籍の収集や銀行口座の解約手続きなど財産調査も一緒に依頼することができます。どちらも自分で行うのは結構な手間のかかる作業ですので、合わせて依頼するのもひとつの手です。今現在、働いている方やまとまった時間がとれない方、又は相続登記や相続税の申告等他の士業にも関わる相続手続きをを依頼したい方は行政書士に依頼することをおすすめします。
行政書士の仕事は多岐に渡り、相続業務を専門としていない場合もあります。いい相続では、相続に強い行政書士を紹介していますので、お気軽にお問い合わせください。
司法書士に依頼すべき場合
司法書士も遺産分割協議書の作成を依頼することは可能です。ただし、料金については行政書士より高くなる可能性があります。
それでも司法書士に依頼する場合があります。それは、遺産に不動産が含まれており、相続登記を一緒に頼む場合です。
相続登記とは、不動産を相続したときに必要な名義変更のことです。相続登記は義務化が決定しているため、そのまま放置せず速やかに手続を行いましょう。(相続登記の義務化について知りたい方は「【令和6年4月1日から施行】相続登記の義務化が決定!違反の場合は過料も【必須知識】」を参照してください。)
司法書士事務所によっては、相続登記と遺産分割協議書の作成、戸籍収集などのトータルの料金で7~15万円程度のパック料金を設定しているようです。
弁護士に依頼すべき場合
弁護士に遺産分割協議書の作成を頼む場合は、遺産分割協議がうまくまとまらなかったりトラブルを解決して欲しい場合です。
遺産分割協議が整わないと、家庭裁判所を利用することになります。遺産分割協議は相続人の合意がなければ成立しませんから、その解決を図るために弁護士に依頼するというわけです。
法律を駆使した交渉や法律相談は、弁護士のみ認められている行為です。司法書士や行政書士が行うと「非弁行為」として弁護士法に違反します。
遺産分割調停(相続人同士の間に家庭裁判所を挟み話合いの仲裁をする手続き)又は、その調停が不成立になった場合には、自動的に遺産分割審判(裁判官が相続人同士の主張等を考慮して決定する手続き)が終了すると、それぞれ家庭裁判所が調停書、審判書を作成してくれます。相続人が仕事が忙しく裁判所の呼び出しに応じることができなかったり、法律の知識を使って自身の主張を正当化したい場合に相続人本人の代わりに弁護士が本人を代理して裁判所との話合いに応じるのです。
だからこそ、弁護士に依頼すると難しい相続人間の対立も解決してもらえますが、その分費用は高くなります。
弁護士費用の種類には、主に3つ挙げられます。
相談料
弁護士に遺産相続トラブルについて相談したときにかかる費用です。事務所によっては初回相談無料のところもありますが、目安としては30分5,500円~程度です。
着手金
弁護士に正式に依頼をしたときにかかる費用です。金額としては20~30万円程度が相場ですが、難易度が高かったり遺産の価額によって金額が上がることもあります。
報酬金
問題が解決したときに支払う費用です。金額は回収した金額の何%という形で計算されます。したがって完全に敗訴となれば、報奨金は発生しません。
▼まずは、必要な手続きを把握するところから始めましょう▼
遺産分割協議書の作成費用は誰が負担すべき?
遺産分割協議書の作成費用を誰が負担するかという決まりはありませんので、相続人で話し合って自由に決めて構いません。
話し合いで決まらない場合は、相続分(相続割合)に応じて負担するのが公平ではないでしょうか。なお、遺産分割協議書の作成費用は、相続税の計算時に控除することはできません。
遺産分割協議書を依頼できる専門家へのよくある質問
遺産分割協議書の作成依頼についてよく聞かれる質問を集めました。
遺産分割協議書の作成は、誰に依頼することができますか?
遺産分割協議書の作成を代行してくれる専門家は、行政書士、司法書士、弁護士です。
行政書士に依頼するメリットは何ですか?
他の士業より割安で遺産分割協議書を作成してくれることが多い点です。また、疑問等を聞きやすい点もメリットです。
司法書士に依頼するメリットは何ですか?
司法書士に依頼するメリットとしては、協議書に記載する相続財産が不動産のみの場合等、相続登記の手続きを一緒に依頼できる点です。
弁護士に依頼するメリットは何ですか?
遺産分割協議がうまくまとまらなかったりトラブルを解決して欲しい場合は、弁護士に依頼したほうが良いでしょう。
この記事のポイントとまとめ
以上、遺産分割協議書の作成費用について説明しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 遺産分割協議は相続人全員が参加し、誰がどの遺産をどれだけ相続するかを話し合います。合意が得られたら遺産分割協議書を作成します。
- 遺産分割協議書は法的な書式が定められていないため、テンプレートが用意されていることもあります。相続人全員の署名と押印(捺印)が必要です。遺産分割協議は、相続人全員の合意があれば「やり直し」は可能です。ただし、遺産分割協議をやり直すには時間も手間もかかります。
- 遺産分割協議書の作成費用は誰が負担するかという決まりはありませんので、相続人で話し合って自由に決めます。
遺産分割協議がトラブルなく終了した場合、遺産分割協議書の作成は行政書士に依頼することが多いようです。費用は多少かかるものの、ご自身の手間をぐっと減らすことができます。また、中立公正な第三者に依頼することで、相続人全員の合意が早くスムーズになります。
また相続手続きには、遺産分割協議書の作成だけでなく相続財産の調査や必要書類戸籍収集などの必要書類の収集が必要になることも。合わせて相談してみても良いですね。
いい相続では、相続に強い専門家を紹介しています。「行政書士の知り合いがいない」「誰に依頼すれば良いかわからない」という方にも安心です。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
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