遺言書がある場合の相続の流れは?手続きの流れや検認、遺言執行者など
本記事は、いい相続の姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2020年12月25日に公開された記事を再編集したものです。
遺言書がある場合の相続は、どのように進めるのでしょうか?わかりやすく丁寧に説明します。是非、参考にしてください。
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遺言書がある場合の相続の流れ
遺言書がある場合の相続の流れは、概ね下の図のようになります。
関係者全員の同意があれば、遺言内容と異なる遺産分割ができる
ここでまずお伝えしたいのは、遺言書があっても遺言内容のとおりに財産を取得する必要はなく、相続人、受遺者(遺言によって財産をもらい受ける人)、遺言執行者(いる場合)全員の同意があれば、遺産分割協議をして遺言内容と異なる遺産分割をしても構いません。
なお、遺言執行者がいて、遺言内容と異なる遺産分割をする場合に、遺言執行者の同意が必要かどうかは専門家の間でも見解が分かれているため、相続人と受遺者は全員同意しているのに、遺言執行者が同意しないという場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
なお、遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことで、遺言で指定されているケース等があります。
また、遺言書を無視して遺産分割する場合の相続手続きは、遺言書が元々ない場合と特段違いはありません。要するに、一般的な相続手続きになります。遺産分割協議については「遺産分割協議を揉めずに有利に進めるために知っておくべきポイント」をご参照ください。
遺言方式によって遺言書の検認の要否が決まる
遺言に基づいて遺産を分割するケースについて説明します。遺言方式によって、遺言書の検認が必要なケースがあります。検認が必要となるのは、次の2つの場合です。
- 法務局に保管されていない自筆証書遺言書
- 秘密証書遺言書
他方、次の2つの場合は、検認は不要です。
- 法務局に保管されている自筆証書遺言書
- 公正証書遺言書
自筆証書遺言とは、遺言者の自筆で書かれていて、公証人が手続きに関与していない遺言のことです。(「自筆証書遺言が無効となるケースとケース別の正しい書き方を完全解説」参照)。自筆証書遺言は「法務局における自筆証書遺言書保管制度」を利用することができます(詳しくは「遺言書を法務局で保管する制度について弁護士がわかりやすく説明」参照)。
公正証書遺言とは、公証役場で公証人に遺言書を作成してもらってする遺言のことです(「公正証書遺言で最も確実かつ誰でも簡単に遺言をする方法を丁寧に解説」参照)。
秘密証書遺言とは、遺言の内容を誰にも明かさずに、かつ、遺言の存在が公証人によって証明される形式の遺言のことです(「秘密証書遺言を利用すべき場合と雛形から秘密証書遺言を作成する方法」参照)。
見つかった遺言書がどの方式によるものか、その見分け方について説明します。
まず、公正証書遺言書は、封筒や表紙に「公正証書遺言」と記載されているので、見分けられます。
また、「法務局における自筆証書遺言書保管制度」が利用されている場合は遺言書原本は法務局に保管されているので、原本が見つかった場合は、この制度は利用されていないことが分かります。
つまり、「公正証書遺言」の記載がない遺言書原本が見つかった場合は、遺言書の検認が必要ということになります。
遺言書が見つからない場合、公正証書遺言や法務局における自筆証書遺言書保管制度が利用されていないかどうかについては、それぞれ公証役場と法務局で確認できます。
遺言の検認が必要な場合(「法務局に保管されていない自筆証書遺言」又は「秘密証書遺言」)で、遺言書に封がされている場合は、検認前に開封していけません。開封すると5万円以下の過料(行政罰)に処せられることがあります。なお、検認前に開封しても、遺言書が無効になることはありません。
遺言書の検認手続については「遺言書の検認とは。遺言書を探しだす前に知っておくべき検認の全知識」をご参照ください。
遺言書に定めのない財産がある場合
遺言書に定めのない財産がある場合は、その財産は、原則として法定相続分に基づき法定相続人が相続することになります。
遺言執行の方法
遺言執行については別記事にまとめました。「遺言執行の流れと手続き、遺言執行者が必要なケースなど」をご参照ください。
よくある質問
以上、遺言書がある場合の相続について説明しました。最後にまとめとして、よくある質問とその回答を示します。
遺言と異なる遺産分割は許される?
遺言書があっても、遺言内容のとおりに財産を取得する必要はなく、相続人、受遺者(遺言によって財産をもらい受ける人)、遺言執行者(いる場合)全員の同意があれば、遺産分割協議をして遺言内容と異なる遺産分割をしても構いません。なお、遺言執行者がいて、遺言内容と異なる遺産分割をする場合に、遺言執行者の同意が必要かどうかは専門家の間でも見解が分かれているため、相続人と受遺者は全員同意しているのに、遺言執行者が同意しないという場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
遺言書の検認が必要なケースは?
「法務局に保管されていない自筆証書遺言書」及び「秘密証書遺言書」については、遺言書の検認をしなければ遺言を執行できません。「法務局に保管された自筆証書遺言書」及び「公正証書遺言書」については、遺言書の検認は不要です。
遺言書に定めがない財産がある場合は?
遺言書に定めのない財産がある場合は、その財産は、原則として法定相続分に基づき法定相続人が相続することになります。
遺言執行者とは?
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きや遺言書の作成を依頼した方のインタビューはこちら
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