非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価額の計算方法
本記事は、いい相続の姉妹サイト「遺産相続弁護士ガイド」で2020年10月23日に公開された記事を再編集したものです。
非上場株式(取引相場のない株式)は、相続税や贈与税の計算上、どのように評価すればよいのでしょうか?
また、評価明細書はどのように記載すればよいのでしょうか?わかりやすく丁寧に説明します。
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非上場株式の評価方法
非上場株式は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。
原則的評価方式よりも配当還元方式の方が低く評価されるため、同族株主等に当たらない方が有利になります。
同族株主等に当たる場合は原則的評価方式で評価しますが(特定の評価会社に当たらない場合)、原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、原則として、それぞれ、類似業種比準方式、類似業種比準方式と純資産価額方式との併用、純資産価額方式によって評価をすることになっています。
類似業種比準方式は、類似業種の株価等を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。
大会社は、前述のとおり、原則として、類似業種比準方式で評価することになっていますが、純資産価額方式で評価することも認められています。
もっとも、純資産価額方式よりも類似業種比準方式の方が低く評価されるので、原則通り類似業種比準方式で評価した方がよいことが多いでしょう。
小会社は、前述のとおり、原則として、純資産価額方式で評価することになっていますが、類似業種比準方式との併用によって評価することも認められており、その場合は、「類似業種比準方式50%+純資産価額方式50%」で評価します。
前述のとおり、純資産価額方式よりも類似業種比準方式の方が低く評価されるので、併用方式で評価した方がよいことが多いでしょう。
中会社は、原則として、類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して評価します。それぞれの方式の割合は、中会社の会社規模をさらに3段階に区分し、規模が大きい方から、「類似業種比準方式90%+純資産価額方式10%」、「類似業種比準方式75%+純資産価額方式25%」、「類似業種比準方式60%+純資産価額方式40%」です。なお、純資産価額方式100%で評価することも認められていますが、前述のとおり、純資産価額方式よりも類似業種比準方式の方が低く評価されるので、併用方式によって評価した方がよいことが多いでしょう。
配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。
同族会社に当たるかどうかと会社規模に応じた評価方式についてまとめると、下の表ようになります。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼同族株主等かどうか | 評価方式の大区分 | 会社規模 | 具体的な評価方式 ※選択できる場合はおすすめの方式 |
---|---|---|---|
同族株主等 | 原則的評価方式 | 大会社 | 類似業種比準方式 |
中会社の大 | 併用 (類似業種比準方式90%+純資産価額方式10%) | ||
中会社の中 | 併用 (類似業種比準方式75%+純資産価額方式25%) | ||
中会社の小 | 併用 (類似業種比準方式60%+純資産価額方式40%) | ||
小会社 | 併用 (類似業種比準方式50%+純資産価額方式50%) | ||
同族株主等でない | 特例的な評価方式 | − | 配当還元方式 |
非上場株式の評価明細書の書き方
相続、遺贈又は贈与によって非上場株式を取得し、相続税又は贈与税の申告をするときは、申告書に「取引相場のない株式の評価明細書」を添付しなければなりません。
評価明細書の書き方については、国税庁作成の「取引相場のない株式(出資)の評価明細書の記載方法等」をご参照ください。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼まとめ
以上、非上場株式の評価について説明しました。
非上場株式の評価は複雑なので、税の申告や事業承継計画の策定については、相続税と事業承継に強い税理士に相談されることをお勧めします。
▼実際に「いい相続」を利用して、税理士に相続税申告を依頼した方のインタビューはこちら
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