【代償分割】遺産分割協議書の書き方、記載例、雛形まで徹底解説【行政書士監修】
遺産のほとんどが不動産というケースは相続においてよく見られます。不動産が分割しにくい財産であることから最も揉めやすいケースの一つです。
特に、不動産を共有(共同で所有すること)状態で相続してしまうと、相続人の代だけでなく、相続人の子の代まで共有状態が続く可能性があり、後々のトラブルにつながりかねません。
そのような場合に、「代償分割」という方法を利用して、円滑に遺産分割を進める方法があります。ここでは、代償分割の遺産分割協議書の書き方、記載例についてご説明します。
この記事はこんな方におすすめ:
「代償分割の遺産分割協議書について知りたい人」
この記事のポイント:
- 代償分割とは、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式
- 贈与税が課税されないように、遺産分割協議書には代償分割の旨を記載する必要がある
- 遺産分割協議書の作成に不安のある方は、行政書士などの専門家に依頼すると安心
この記事の監修者
〈特定行政書士〉
相続特化した事務所に勤務後、行政書士事務所を開業。相続を専門に培ってきた知識でお客様に寄り添い、より良い相続となるようなご提案・ご提供をしていきます。また、相続以外にも生前対策として遺言等についても力を入れています。
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代償分割とは?
代償分割とは、現物分割によると、法定相続分どおりにうまく分割できない場合等に、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式のことです。
代償分割は、遺産が分けにくいような場合に適しています。
例えば、遺産の大部分が不動産の場合、不動産を共有にすると、後で売却するかどうか等の点について相続人の間で揉める可能性があるため、それを避けるために、相続人の一人が相続する代わりに、他の相続人には代償金を支払うというような場合です。
代償分割についてさらに詳しく知りたい方は「代償分割により相続税を節税して贈与税も課税されないようにする方法」をご参照ください。
▼今すぐ診断してみましょう▼代償分割であることを遺産分割協議書に記載する意義
遺産分割協議書において、代償金について記載をするのは、万が一その約束が守られなかったときに備えておくという目的に加え、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかってしまうのを防ぐためという目的があります。
代償分割においては、相続人間で代償金の受け渡しが行われますが、遺産分割協議書に代償金についての記載がないと、その金銭の受け渡しが贈与と認定されて贈与税が課税されてしまうことがあるのです。
▼忘れている相続手続きはありませんか?▼代償分割の遺産分割協議書の書き方、記載例
代償分割の遺産分割協議書は、次のように記載します(あくまで一例です)。
1.甲は、以下の遺産を取得する。 (1)土地 (2)建物 所 在 東京都△△区〇〇 ○○番○ (3)動産 上記(2)の建物内にある家具家財等一切の動産 2.乙は、以下の遺産を取得する。 (1)預貯金 〇〇銀行〇〇支店 3.甲は、第1項に記載の遺産を取得する代償として、乙に対し、金○○万円を令和○年○月○日までに支払う。 |
▼遺産分割協議書の作成は、行政書士に依頼することが可能です▼
代償分割の遺産分割協議書の雛形
上記の文例は、代償分割に関係する部分を抜粋したものですが、この前後も含めた代償分割の遺産分割協議書の雛形は、以下のとおりです(あくまで一例です)。
遺産分割協議書(記入例) 被相続人 ○○○○(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ) 被相続人○○○○(以下「被相続人」という。)の遺産相続につき、被相続人の妻○○○○(以下「甲」という。)、被相続人の長男○○○○(以下「乙」という。)、被相続人の長女○○○○(以下「丙」という。)の相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに遺産分割の協議が成立した。 1.甲は、以下の遺産を取得する。 令和〇〇年〇月〇日(作成日の日付) |
代償分割のよくある質問
代償分割についてよく聞かれる質問を集めました。
代償分割とは何ですか?
代償分割とは、現物分割によると、法定相続分どおりにうまく分割できない場合等に、法定相続分よりも多く相続する人から、少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式のことです。
代償分割はどのような時に選択されますか?
例えば、遺産の大部分が不動産の場合、不動産を共有にすると、後で売却するかどうか等の点について相続人の間で揉める可能性があるため、それを避けるために代償分割が行われます。
どうして代償分割であることを遺産分割協議書に書くのですか?
遺産分割協議書において代償金について記載をする理由は、万が一その約束が守られなかったときに備えておくという目的に加え、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかってしまうのを防ぐためという目的があります。
▼まずはお電話で相続の相談をしてみませんか?▼この記事のポイントとまとめ
以上、代償分割の遺産分割協議書について説明しました。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 代償分割は、法定相続分よりも多く相続する人から少なく相続する人に対して、法定相続分との差額分を代償する分割方式である。
- 遺産が不動産などで分けにくい場合に適している。
- 遺産分割協議書に代償分割を記載する目的は、代償金の支払いが贈与とみなされて贈与税がかかることを防ぐためと、約束が守られなかった場合に備えておくためである。
代償分割の遺産分割協議書は、書き方を間違うと、代償金に贈与税が課されるおそれもあります。そのようなことにならないように、専門家に作成を依頼することをおすすめします。
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