エンディングノートと遺言の違いや遺言書でトラブルになりやすい事例を解説
近年、エンディングノートや遺言という言葉を耳にすることが多くなった気がしませんか。
終活という言葉が定着してきたことも一つの要因かもしれません。遺言については2020年7月に自筆証書遺言の保管制度が始まり、法務局などの公的機関がその周知活動をしていることもあるでしょう。
この記事では遺言を検討している方へエンディングノートとの違いを含めて遺言書で起こりがちなトラブルについてやさしく解説します。しっかりと知りたい方は記事の中で詳しく説明しているおすすめの記事を紹介していますので是非参考にしてください。
この記事を書いた人
鎌倉新書にパートタイマーとして入社。2020年チャレンジ制度をクリアし正社員に。
目前に控えたシニアライフを楽しく過ごすため、情報集めに奔走するアラカン終活ライター
資格:日商簿記1級・証券外務員二種・3級FP技能士
エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートには法的な効力がないことが遺言書との大きな違いです。
相続で有効な遺言書は法律で決められた形式があり、それに則って作成されたものは法的な効力を持ちます。
一般的なエンディングノートは遺言書としての形式が取られていないものがほとんどなので、相続に備えるための遺言書の代用にはなりません。
そのため、遺言書の代わりにと、エンディングノートを使って自分の財産をこうしてほしいという希望を書いたとしても、相続人は法的にはその通りにしなくても良いのを知っておきましょう。
遺言書は、いわゆる遺書(いしょ)とは違います。
自分の死後に言い残す言葉を一般的に「遺言(いごん・ゆいごん)」と言います。遺書(いしょ)は、紙に書かれているケース以外に、録音や録画、口頭で伝えられるケースもあります。現在ではメールやSNSなどのデジタルツールを使って残すケースもあるでしょう。
これらはエンディングノートと同様、法的に有効な形式で作られていなければ相続に対して効力はないので、遺言書の代わりにはなりません。
法的に有効でなくてもエンディングノートにはメリットがたくさん!
法的な効果がないからといってエンディングノートを書くのは無駄ということはありません。
エンディングノートは本屋さんや、インターネットで気軽に手に入れることができます。項目に沿って書いていくことができるので、自分が死んだらどうして欲しいという事も自然な流れで書けるようになっているものがほとんどです。
自分の財産や意思を明確に記すためのとても便利なツールなので、年齢関係なく誰でも用意しておきたいものです。
例えば、家族と離れて暮らしている20、30代の若い方でも、万一の事態に備えて保険に入るように、万一の事態に備えて自分の財産や大事なモノやコト、例えば、自分の趣味で集めたコレクションや、SNSのアカウントなどをどのようにしてほしいか意思表示しておくのもよいでしょう。自分の人生を振り返る機会や、生活関連の備忘録として使うのも便利です。
遺言書のトラブル
遺言書の書き方を間違う
インターネットや本などの情報を頼りに自分で書いたとします。しかし、作成日が書かれてない、署名がない、間違った部分を修正液で消したなどのケアレスミスによって無効になってしまうこともあるのです。
詳しくはNGな記入例のある以下の記事をご覧ください。
しかし、きちんと法的拘束力のある遺言書を作ったとしても問題が起きることがあります。次からはそのような事例を説明していきます。
遺言書の内容と事実が違う
遺言書に書いてあるとおりの財産が無かった場合などです。
例えば、「遺産の5000万円は配偶者に、3000万円は子供に相続する」という内容の遺言書を作り、生前からその内容を相続人に伝えていたとします。
相続が発生し、遺産を確認したところ、4000万円しかなかった・・・、つまり遺言書に書いてある金額通りに配分できなくなってしまった場合、すでに子供が聞かされていた自分への遺産の3000万円を当てにしてローンを組んでしまっていたとしたら、残された親族でもめ事が起きるかもしれません。
金額は書いてある通りでなかったとしても遺言書の配分割合に沿って分けようと円満に遺産分割で話がまとまればよいですが、やはり、「争族」の火種は作りたくないものです。
遺言書が複数ある
複数の遺言書が見つかるケースもあります。この場合は日付が新しいものが有効となります。複数の遺言書があるということは故人が思うところあって書き直したのでしょうから、内容はそれぞれ違うでしょう。
万一、古い日付の遺言通りに遺産分割を済ませた後に、新しい日付の遺言が見つかったら再度遺産分割をやり直すことになるかもしれません。
また、変更内容を知ることでトラブルに発展する心配もあります。
例えば、「長男に1000万円と家を、次男に2000万円を相続する」と書いていたが、不動産の価値が高いと思い不公平を是正するために「長男に家を、次男に3000万円を相続する」と内容を変更したものを書き、両方の遺言書が残っていたとします。
相続手続きが開始され、長男が相続した家の価値が低く、次男の相続分より遥かに下回ってしまっていたとしたらどうでしょうか。この2つの遺言書を見ていた長男は不満に思うかもしれません。しかも金額が変更されていたことで弟が何か働きかけをしたのでは?と、いらぬ誤解を生むかもしれません。
遺言書が見つからない
遺言書を書いたと聞いていたが、どこを探しても見つからないのであきらめ、親族で話し合いの末やっとの思いで相続の手続きをしたあとに遺言書が見つかった・・・。
相続の手続きは期限が決められているものが多く、遺言書探しに時間を取られてしまうととても大変です。全ての手続きが終わった後に遺言書が見つかった場合でも、遺産分割のやり直しになることもありうるのです。
▶Q&A 遺産分割が終わったあとに遺言書を発見。配分割合が違ったら?まとめ
このように遺言書に関するトラブルは意外なところでおきます。
本屋さんなどで「遺言書キット」という自分で手軽に書けるものも販売されていますが、相続のために準備する遺言書はルールを踏まえて作成することが大切です。加えて、遺言には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言などの種類もあります。どれが自分にとって最適な方法なのか、遺言を作成するときは専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。
最適な遺言書を残して、ご自身の気持ちを伝え財産を引き継ぐとともに、家族の絆を守れたら嬉しいですね。
▼実際に「いい相続」を利用して、行政書士に相続手続きや遺言書の作成を依頼した方のインタビューはこちら
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